シスハのお願い
クリスティアさんと会ってから翌日。
今日からしばらくはどこにも行かず、自宅で待機することになった。
クェレスから王都に行くのは10日近くはかかるので、それに近い日数は空けるつもりだ。
そんな訳で俺は自室のベッドの上で本を読みながらくつろいでいたのだが……コンコンと扉を叩く音が聞こえた。
「入っていいぞー」
俺がそう言うと、シスハが部屋に入ってきた。
なんだ、てっきりエステルが来たのかと思ったぞ。
こないだのノールと同じく、シスハが俺の部屋に来るというのは珍しいな。
……なんだか凄く嫌な予感がするんだけど。
「んで、俺の部屋に来るなんてどうしたんだ?」
「実は大倉さんにお願いがありまして」
「それってコンプガチャの時のあれか?」
「はい、それですよ」
シスハを椅子に座らせてから何の用事か聞くと、どうやらお願いがあるらしい。
コンプガチャからもう結構経っているけど、ここに来てようやく最初の1人。
ついにこの時がきてしまったか……まあいい、あの時のことは本当に感謝しているし、ここは気合を入れてそれに応えてやらないと。
「ふふ、いいだろう。お前の望み、しかと聞き届けてやる! ……できる範囲で頼むぞ」
「自信満々な態度から急に情けないこと言わないでください! でもご安心ください、そんな無茶な要求はいたしませんよ」
俺のできる範囲ならなんでもしてやるって約束だったからな。
可能な限りはシスハ達の働きに応じてやりたいが、あまり無茶なことを言われても対応してやれない。
でもまあ、シスハなら無茶な要求はしてこないだろう。
「私を、ルーナさんと仲良くさせてください!」
「駄目だ。その願いは俺の力を超えている」
「どうしてですかー!」
無茶振りでした。
俺がそれはできないと言うと、シスハは立ち上がって顔をしかめている。
「いや、だってさ……わかるだろう?」
「わかりません! いえ、理解したくありません!」
「ご理解してくれよ!」
シスハとルーナを仲良くさせるって……それは最上級に困難な要求なんじゃないのか?
どうしていいのかまるでわからんぞ。
「そもそもな、仲良くなりたいのなら、自分で努力するべきなんじゃないか?」
「私が努力していないように見えます?」
「……しているな」
仲良くなることを人に手伝ってもらうのはどうなのかと思ったが、既にシスハは仲良くなる努力はしていた、過剰なぐらいに。
そうなると確かに、もう他人にも考えてもらうしか手はないかもしれない。
「んー、仕方ない。ここは俺が一肌脱いでやろう」
「本当ですか!」
俺が頷いて了承すると、シスハは胸の前で両手を握り締め目を輝かせて喜んでいる。
ここまで喜ぶなんて、よっぽど仲良くなりたいんだな。
まあ俺としても、ルーナとシスハの関係がこのままなのはどうかと思っていたところだ。
どうしたらいいのかわからないけど、この機会にじっくり考えてみようか。
●
シスハに相談されてから2日後。
「ルーナさん、どうぞ」
「……ありがと」
「いえいえ」
シスハは起きてきて椅子に座ったルーナの前に飲み物が入ったコップを置いて、軽く微笑んで立ち去っていく。
「平八、シスハに何かあったのか?」
「ん? さぁ?」
いつもなら、もう、お礼なんていいんですよ! なんて言いながら過剰に喜ぶのだが、俺の提案によりあの日の夜から作戦を実行しているのだ。
初日は特に気にしていなかったけど、それが3日も続いているせいかルーナは首を傾げていた。
そして俺に何かあったのか聞いてきたが、知らない振りをしてそれに返事をする。
「素っ気ない態度をする、ですか?」
「ああ、いつもシスハは過剰にルーナに接していただろう。だから、しばらくそれを控えてみたらどうだ? 今までそうだったものが急に変わると、結構気になるからな。もしかしたらそれで、ルーナがシスハのことを恋しく思うかもしれない」
「な、なるほど。なんだか妙な説得力がありますね……」
なんて話をして実行しているのだが、本当にこれでよかったのだろうか。
いつも過剰なぐらい愛情表現をしてくるシスハが、急にそれを止めてあまり構ってくれなくなったら気にすると思うんだけど……。
「もしかしてシスハのことが気になるのか?」
「いや、別に」
ルーナはどうでもよさそうにコップを傾けて飲み物を飲み始めた。
あれれ……もしかして効果なしか?
「大倉さん! どこが恋しく思うはず、ですか! 全く気にしていないじゃないですか!」
「お、落ち着けって!」
シスハが向かった洗面所へ行くと、彼女は俺に詰め寄ってどういうことだと言ってきた。
どうやらこっそりルーナの様子を見ていたみたいだ。
まだ始めて3日目なんだし、そんな早く影響が出るもんじゃないだろう。
「こんなところで何をしてるでありますか?」
もう少し頑張れとシスハをなだめていると、奥からノールが出てきた。
手にはバケツを持っていて、廊下で騒いでいた俺達を見て不思議そうにしている。
「な、なんでもないぞ。ノールは馬の世話をしていたのか?」
「そうでありますよ」
「任せてしまってすみませんノールさん」
「好きでやってることなので気にしないでいいのでありますよ! まあ、モフットがそのせいでまた怒り気味でありますけど……これから一緒に遊ぶから、機嫌直してくれるといいのでありますが」
馬の世話はどうしようかと思っていたが、ノールが引き受けてくれるというので任せていた。
動物の世話をするのが好きみたいで、本人はかなりノリノリだ。
餌は食材販売機に乾草とかもあったからそれを食べさせている。
それとこの前小屋に馬を入れてモフットが怒っていたけど、馬の世話をし始めてまた怒っているみたいだ。
もしかしてノールを取られたと思い嫉妬しているのか?
一応この前はご機嫌取りに販売機にあった高級パイナップルを食べさせたけど、また何かしらあげないと駄目か……。
「早く行ってやらないと、モフットがまた怒るんじゃないか?」
「あっ、そうでありますね」
早く行った方がいいんじゃないかと促すと、ノールは小走りで居間の方へと向かっていく。
ふぅ、どうやら上手く誤魔化せたみたいだな。
「シスハ、大倉殿、なんだか最近妙なことやっているでありますけど、ほどほどにしておくでありますよ」
居間に続く扉の前で、突然ノールが振り返りそんなことを言った。
俺とシスハは顔を見合わせてそれに驚く。
ノール達にも俺達が実行していることを言ってもいいけど、人数が増えるとルーナに察知されるかもしれない。
なので可能な限り俺とシスハだけでやろうと思っていたんだが……どうやらノールには既に何かやっているとバレていたみたいだ。
それからさらに日を空けて5日後。
「ぐあー、また負けたのでありますよ……」
「ふふ、ノールはまだまだね」
「相変わらずエステルは強いな」
全員で居間に集まってボードゲームをしていた。
またノールとエステルが勝負をしていたが、結果は惨敗。
その様子を見ているルーナは楽しそうにしている。
「ふわぁ……ん、そろそろ寝ましょうか」
「そうでありますね。ルーナはもう少しモフットと一緒にいるでありますか?」
「いや、モフットも一緒に寝かせてくれ。私につき合わせるのは悪い」
「わかったのであります」
ルーナが起きてきてからまだ数時間だが、朝から起きているエステル達はそろそろ眠くなる時間だ。
寝ると言われて、楽しそうにしていたルーナは若干残念そうにしている。
モフットを膝に乗せて撫でていたが、自分に合わせるのは悪いと言いノールに渡す。
「それでは私もそろそろ寝ることにしますね」
「……またなのか」
「どうかいたしましたか?」
「いや、別に……」
シスハもそれに合わせて立ち上がって寝ると言った。
するとルーナは小さな声で呟いてシスハを見ている。
彼女がそれに反応してルーナに聞くが、すぐにそっぽを向いてしまう。
これも今日で8日目。
今まではこの後も数時間ルーナに合わせてシスハは起きていたけど、今はそれをしていない。
3日目までは気にしていなかったけど、5日目辺りからは少しずつ反応が増えてきた。
こう連日続いていると、さすがにルーナも気になり始めたみたいだ。
その後、シスハは俺に用事があると言って一緒に俺の部屋に行くことに。
たぶん今後の相談だろう。
居間から出る途中、ふとルーナがいる机の方を見た。
すると、彼女は肩を落として下を向き、寂しそうな雰囲気で椅子に座ってジッとしている。
うーん、ちょっとやり過ぎか? でも、さっきシスハが聞いた時まだ素っ気ない感じをしていたもんな。
このまま継続させるべきなのか、それとも諦めていつも通りにさせるべきなのか……悩むぞ。
「うぅ、これ本当に効果があるのでしょうか? こんな早くに寝ると、ルーナさんと触れ合う時間が全然ありませんよ……禁断症状が出てきそうです」
「なんだよ禁断症状って……」
座って話をしていると、シスハは泣きそうな声で聞いてきた。
さらに体を震えさせて禁断症状が出てくるかもとか言い出す。
ルーナと触れ合えないだけでそんなになるのかよ……全く、しょうがない奴だ。
「お兄さんとシスハ、最近何をこそこそしているのかしら?」
「うおっ!?」
「エ、エステルさん!? ど、どうしてここに……」
「あら、お兄さんが居る所に私が来るのは当たり前じゃない」
シスハと話していると、突然エステルの声が聞こえた。
振り返るとそこには、ベッドの横でしゃがんだ体勢のエステルが。
なんでいるのかシスハが聞くと、ニコニコしながら彼女は答えた。
い、一体いつからそこに……扉から普通に入ってきて俺達が気づかないと思えない。
ま、まさか、最初からこの部屋にいたんじゃ……いや、まさかそんなこと……。
「それより、2人で一体何をしていたの? 最近様子がおかしいのもそれが原因?」
「ああ、実はな……」
どうやらエステルにまで察知されていたみたいだ。
これ以上やるかどうかも悩んでいたから、素直に事情をエステルに話すことにした。
「ふぅん、そんなお願いをしたのね」
「そ、そんな目で見ないでくださいよぉ。仕方ないじゃないですか……頑張ってるのに、仲良くなるどころかどんどん嫌われている気がしますし……。もう、どうしたらいいのかわからないですよ……」
話を聞いたエステルはジト目でシスハを見ている。
そんな目で見られた彼女は、顔をしかめしゅんとして泣きそうな声で弱音を吐く。
ここに来てようやく本音が出てきたみたいだな。
どうやら俺が思っていた以上に思いつめていたらしい。
「シスハ、そう落ち込まないで。ルーナもそこまで嫌ってはいないはずよ」
「そ、そうでしょうか?」
「ええ、シスハと居る時のルーナって楽しそうだもの」
シスハに対してよく怒っているエステルだが、近寄って背中を撫でつつ慰めるように言葉をかけていく。
ルーナは確かに冷たい態度をよくしているけど、最近はかなりマシになっていたと思う。
噛み付くのだってシスハが過剰に接した時ぐらいだし……寝惚けている時を除いてだけど。
「そうね……それじゃあ、本人に直接聞いてみたらどう?」
「えっ?」
頬に手を当て考え込んだエステルが、そんなことを言い出した。
本人に聞いてみる、か……うーむ、もう手詰まり感あるし、ここはそうしてみるのもありかもしれないな。
●
「私に用事とはなんだ。寝るんじゃなかったのか?」
「いや、ちょっとな。まあいいから座ってくれ」
さっそくルーナを俺の部屋に呼び出して話をすることにした。
シスハ達には部屋に戻ってもらったから、俺とルーナ2人だけだ。
たぶんシスハがいたら恥ずかしがって本音を言わなくなるだろうからな。
それでもどうしても直接聞いてみたいとシスハが粘ってきたから、トランシーバーを繋いで声だけは聞こえるようにしている。
「回りくどいのは面倒くさいだろうから、単刀直入に聞くぞ。ルーナはシスハのこと、どう思っている?」
「ぬぅ、なんだその質問。平八、シスハが最近おかしいのは貴様のせいなのか」
「いいからどう思っているのか聞かせてくれ」
ルーナはめんどくさいことが嫌いだし、前振りをしてから聞いていくより直球の方が素直に話してくれるはず。
そう思ったのだが、ルーナは黙り込んで下を向いて返事をしない。
困ったな……これじゃ聞けそうにないぞ。
「本当にシスハのこと嫌いなのか? もしそうなら、シスハに言って今後も続けさせてもいいぞ」
「えっ……そ、それは……」
最近のシスハがおかしいことについては、もう俺が関わっていると気が付いただろう。
なのでそれを逆手に取って、本当に嫌ならこのままにするぞと言ってみた。
するとルーナは眉を寄せ本当に困ったような表情をしている。
今日までの反応を見ていれば本心から嫌っていないってわかるからな。
こう言えば観念して何かしら言うはずだ。ちょっと脅しみたいになってかわいそうだけどさ。
ただ、これをトランシーバー越しに聞いているシスハが今頃、何言ってやがんだ! とか発狂していそうで怖い……ある意味俺の体を張った一手だな。
「……嫌いじゃない。確かに最初は嫌悪感があったけど、悪い奴じゃないのはわかった」
「じゃあ、どうして未だに素っ気ない態度するんだ?」
ルーナがようやく出した答えは、嫌いじゃない、という言葉だった。
うーむ、もう少し好意的な言葉が欲しかったな。
でも、この一言を引き出せただけでも、大進歩だ。
しかし俺としてはもう少し先に進ませたい。
「……恥ずかしい」
「恥ずかしい?」
「ずっと冷たくしていたのに、今更仲良くするなんて恥ずかしいだろ」
悪く思っていないのに冷たい態度をしていたのは、どうやら羞恥心からだったみたいだ。
召喚直後あれだけシスハに敵対心剥き出しにしていたからな……仕方ない。
「でも、最近素っ気ない対応されてわかった。ああいうことされるのは、寂しいものだな」
続けてルーナの口から出てきた言葉は意外なものだった。
自分がシスハから素っ気なくされて、寂しく感じたみたいだ。
話している彼女は寂しそうな雰囲気を漂わせているが、同時に申し訳なさそうにもしている。
自分がいつもやっていることをやられて、シスハが感じていたことを理解したからかもな。
「これからは少しでもいいから、シスハに優しくできるか?」
「……うん」
ルーナは少し間を開けてから、首を縦に振って頷く。
もう少し手こずるかと思ったけど、連日のシスハの行動が効いていたのか意外と素直だった。
これでシスハのお願いは達成できたか。いやはや、無事に終わりそうで何よりだよ。
そう安心していると、突然俺の部屋の扉が開いた。
そして飛び込んできたのは――シスハだ。
「ル、ルーナさん! ごめんなさい! もう寂しい思いはさせませんからね!」
「どうしてこのタイミング出てくるんだよぉぉ!?」
「だってルーナさんが寂しいって言ってるんですよ! 放っておくなんてできませんよ!」
この馬鹿野郎ぉぉ! どうして大人しくしていないで来ちゃうのぉぉ!?
飛び込んできたシスハは椅子に座っていたルーナを抱き締めて泣いている。
会話を聞いていて我慢できなくなったのか……。
恐る恐る抱き付かれているルーナを見ると、真っ赤に輝く瞳が俺を睨みつけていた。
顔を真っ赤にさせて全身ぷるぷると震わせ、羞恥心に耐えるよう牙を見せ歯を食いしばっている。
あっ、これ駄目だ。完全に激おこですわ。やっちゃったぜ。
俺が逃げ出そうかと考えていると、シスハは噛み付かれてその場に崩れ落ちた。
「あっ、あっ……ル、ルーナさん……」
「ひぃ!?」
いつも通りビクビクと痙攣して床に横たわるシスハ。
ルーナは無言で立ち上がると、俺の目の前までやってくる。
やだ、いやだぁ……まさか俺も同じ目に遭わされるのか?
だからシスハに聞かせるのは嫌だったんだぁ……俺は悪くねぇ!
「この野郎……平八、私をはめたな?」
「ち、違う! シスハがどうしても気になるって言うから、会話だけ聞かせてやって――」
「問答無用だ! この馬鹿共がぁぁ!」
「あっ、ああ――うぎゃああぁぁ!?」
●
「ひ、酷い目に遭った……」
「全く、だからほどほどにしておけと言ったのでありますよ」
「ふふ、でもあの2人が仲良くなったみたいで良かったわね」
あれからちょっとした騒ぎになり、ノール達まで駆け付ける事態にまで発展。
興奮していたルーナを取り押さえてもらい、噛み付かれて行動不能になった俺とシスハも回収してもらい事なきを得た。
ふぅ、やれやれだぜ。まさか俺まで噛み付かれるなんて。
照れ隠しの一面もあるのかもしれないが、それで噛み付くのは止めていただきたい。
まあ今回は俺のせいだから自業自得だけどさ……。
「はい、どうぞルーナさん」
「ん」
「どうですか? 美味しいですか?」
「……うん」
さっきの騒ぎで吹っ切れたのか、ルーナはシスハの膝の上に乗って果物を食べさせてもらっていた。
シスハも8日間ルーナと触れ合えなかったせいか、満面の笑みを浮かべて凄く幸せそうだ。
「シスハ」
「はい、なんでしょうか?」
「その……悪かった。今までずっと冷たくして」
「……っ、もう、いいんですよルーナさん! 気にしてなんていませんよ!」
ルーナは顔を赤くして恥ずかしそうにしながら後ろを向き、シスハに謝った。
それを聞いたシスハは一瞬呆けた顔をして、それから目元に涙を滲ませ笑顔でルーナを抱き締める。
なんとも微笑ましい光景じゃあないか。
これを見ていると犠牲になった価値もあるというものだ。
「はぁ、羨ましいわね。お兄さんも私を膝の上に乗せて、ギュッとしてくれてもいいのよ?」
「そ、それは恥ずかしいから勘弁してくれ……」
「なら、私が大倉殿をギュッとしてあげるでありますよ!」
「どうしてそうなる!」
その様子を見ていたエステルがピタッと俺にくっ付いてきて、同じようにしてくれと言ってくる。
恥ずかしいから嫌だと言うと、今度はノールがもう片側に張り付いて私がやると言う。
ど、どうしてこんなベタベタくっ付いて来るんだ……シスハとルーナがそんなに羨ましいのか?
「シスハ、今回は俺何にもしてなかったけど、本当にお願いってことでよかったのか?」
「はい、構いませんよ。だって、きっかけは大倉さんが作ってくれたんですからね。ありがとうございました、大倉さん」
「そ、そうか……それならいいんだけどさ」
今回はコンプガチャのお礼であるお願いということで始めたけど、結局俺はほぼ何もしていない。
お願いとしては正直微妙なんじゃないか?
なんて思いシスハに本当にいいのか確認をしてみると、彼女はニッコリとした笑顔で俺にお礼を言う。
その表情を見て、俺は少しドキッとした。
むぅ、まさかシスハに笑顔を向けられて俺が動揺するだと……でも、まあ、今の嬉しそうにしているシスハは本当に魅力的だって思うよ。




