絶望少年
他愛のないことで 喧嘩した
病気がちの 姉貴がイヤで
家を飛び出したんだ
姉貴の顔 見たくもなくなって
駆け込んだ 路地裏の街
姉貴は 僕のこと 思って 言っただけだと 知ってたのに
「あんな奴 死んじゃえ」 心から叫んだよ
だけど路地裏のルールは過酷すぎて
「あんな奴 消えちゃえ」 もう一度叫ぼうとも
暗い瞳の 「現実」達は 僕の心になんて 見向きもしない
路地裏の 掟は やけに厳しくて
家の灯 懐かしくて
ポケットから 出した写真 眺めていたよ
そこでは 姉貴と笑い合う 僕がいたよ
「あんな奴 死んじゃえ」 空に叫んでも
本当の心は その言葉には潜んではいなくて
「ゴメンね 姉貴 本当は 大好き」
気づいたら 路地裏の街から抜け出してた
僕は転がるように 家に帰っていた
家に帰ったら 姉貴が倒れたと 親が僕を抱きしめた
「あんな奴 死んじゃえ」 そう叫ぼうとも
本気で 望んだことは 一度もないのさ
「あんな奴 消えちゃえ」 そんな言葉 口にしても
姉貴が本当に消えるだなんて 嘘だと言ってよ
いつの間にか 涙でグシャグシャ
病院に駆けつけて 姉貴の顔を見る
今は静かに 眠る姉貴よ
本当は心の底から「大好きだった」と
夕暮れ時に 失って気づく
宝石のような想い出 ダイヤにも似た輝き
そんなことをようやく知った僕は 絶望少年
暗い夜道で 父と母と 手をつなぎながら
帰り道は 涙でグシャグシャに濡れていた
「大切なもの」を失ったと知り 前を向いた 僕は絶望少年