世にも××な誘拐犯の話
「ーーーーーーーー、」
目の前の箱が言っている意味がわからなかった。
「(彼が……、行方不明?)」
何を馬鹿なことを、いい加減にしてと言おうとしたら向こうから強制終了させられてしまい、行き場のない気持ちを吐き出すこのもできなくなってしまった。
そうだ、電話!
そう思い充電器にさしっぱなしの携帯を乱雑に取り彼の着信履歴を探した、
あの人たちも馬鹿ね、こんなすぐにバレる嘘ついて。
と、いつも馬鹿にした表情のあの女と一部の使用人の顔を思い出しながら鼻で笑い、発信ボタンを押し数秒後、
《ーーー…おかけになった番号は現在使われてないか…ーーー》
そう聞こえた瞬間携帯を持つ力が抜け、手から抜け落ち鈍い音が足元から聞こえた。
「…なに、よ、これ……。」
その後すぐに携帯を拾いメールも送ってみたが存在しないメールアドレスということですぐに返されてしまった。
「はぁ……。」
力が入らなくなり膝から落ちてしまった。
「どういうこと……?」
なにかの悪い夢よ!
だって彼と別れてまだ10時間経ったか経っていないかそんなもんだもの。絶対にあの人たちが何かしたんだわ。
そんなことを沸々を苛立ちと悲しみを思いながらベッドに深く座った。
こんなところあの人達に見られたら「そんなに深く座ってはしたないっ。」と言われるだろう。特にあのヒステリックな女に見つかったら平手打ちもされるだろう。
はぁー……まったく、この家は牢獄といっても間違えではないと思う。この部屋だけがまだ呼吸が出来る程度で息苦しさを感じる。
「(あ…、)」
少し遠くからあの女の耳に劈く嫌な笑い声が聞こえた。
いつ聴いても嫌な声。しかもあの女が笑ってるだなんてこっちまでヒステリックになりそう。
恐らく今日も誰か呼んで酒乱会でも開いてるのだろう。はぁ、これは朝になって見たらまた酒の水たまりが何個かと鼾の五月蝿い酒臭い死体擬きが数体あるだろ。
考えただけでも嫌気が差してきたので気晴らしに携帯の中の写真を見ようとしたら、廊下から数名の足音が聞こえた。誰だと思ったら、
「――――――あの子ったら、たかがそこらへんにいるふっつーのガキが行方不明になっただけど沈んじゃってバッカみたい!おっもしろいわーっ!」
「っ」
そう言うと高らかに雄叫びのように笑い散らし、他の人もつられるようにしていた。
しかも性格悪く態々私の部屋の前に来て最後にドアに向かってバリンと恐らくワインボトルを投げつけて去っていった。
去った後はドア越しでも分かる酒の匂いとなにかの薬品のような悪臭。
こんな理不尽なこと慣れているのになんだか泣きそうになった。
恐らく彼が行方不明になったことを知り、この短時間で色々と弱ってしまったのだろう。
目頭が熱くなってきて、泣いてたまるかと思ったが耐えれそうにないみたい。
「(あ、)」
そうだ、携帯の中の画像を見ようとしたんだった。
そう思ったら、
「………なによ……………。」
ドアの横にあるインターフォンの画面が光り現れたのはこの家で私的には白よりのグレーな存在である執事の老人だ。
何言われるのやら、なんてったってさっきの行方不明のことを言ったのはこの執事だからだ。
あーもう、何言われても今ならなんとも思わないからさっさとしてよ!そんな事を思っていたら、
「っ、は!?」
付けたと思ったらすぐ消していった。なによ!?今の!
これは文句の3つや4つ言いたいところだ!ここでいいから喚き散らかしてやる!
そう思いづかづかドアに近づいたらドアの床の隙間に白い封筒が挟まっていた、なにこれ?
気になり引き抜いてみると中に紙が入っている気配はわかるがそれ以外は何もなさそうだ。
なにか気になり封筒の中身を出してみるとたった一枚の紙にワープロの文字で、
《荷物をまとめて窓から離れるように》
だなんて、なによこれ。
どういう意味?窓なんてカーテンを閉めていて外を見るなんて知られたあの女たちに何を言われることやら、で窓際にはいかないし。
てか、この荷物まとめろってなに!?もしかしたら荷物まとめてるところをドアをあの女たちが開いていじめ倒す算段だったりして、あの人たちだったらありえるわ。
「ふー…、」
まぁいいわ、あの人たちは酒乱会でここまで来るのに時間はかかりそうだしいつかここも逃げ出す予定だからいい機会かも。
そう思い数少ない服と必要最低限のものを適当に入りそうな鞄に詰め込んだ。
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――――――――――――
――――――
謎の荷造りと言いつけを守ったということではないが窓際には近づかずにベッドに入り、携帯に入っている彼との写真をぼんやりと見ていた。
遠くからはさっきよりも劈くようなヒステリックな笑い声がそこらじゅうで響いていてこっちまで頭がおかしくなりそうだ。
嗚呼、できれば写真の自分と今の自分が入れ替わってしまえばいいのに。
あれからなにかの電波障害ではないかと思いまた電話をかけたがさっきと同じ結果だった。
ほんと、何処に行っちゃったの?
そう思うと溜め息しか出ない。
それにしても外が騒がしいというか五月蝿い。あの人たちまさか外でもドンチャン騒ぎ起こしてるの?
あーあいっそのこと、
「私も行方不明になってしまいた」
い。と言おうとしたら驚き――――――窓ガラスが割れる音が聞こえて驚きで口を積むんでしまった。
「な……に………?」
近づきたいが怖くてベッドから出れなかった。
え、泥棒?それとも……あ、思いつかなかった。
そんな阿呆な事を思っていたら、
「今から寝る気?」
「……え?」
今の声って!
そう思うと今の身だしなみを考えずに窓際まで行った。
そしたらさっき行方不明になり携帯も全く通じなくなってしまった彼が割れた窓から鍵を開けて部屋に入ってくるところだった。
「ガラスは落ちてない、かな。」
「何処に行ってたのよ!それになんで携帯も通じなくなってたのよ!」
「解約したら通じなくなるだろ。」
そんな分かりきったことを淡々と言った彼になんだが脱力してしまった。
てか、
「なんでここにいるの……、」
そう聞こうとしたらジェスチャーで静かにしろと指示されたから黙った、そしたら彼はさっき私が詰め込んでいた鞄を持って「これだけ?」と小声で聞いたから頷いた。
何をするんだ?と思うとどこで手に入れたのかわからないが私がよく履いている黒く真紅のリボンの飾りのあるパンプスを差し出し、笑いながら
「逃げよっか。」
と言った。
一瞬時が止まったかと思った。
訳が分からずどういう意味か聞こうと口を開こうとしたら抱き抱えられて身動きがとれなくなってしまいされるがままになってしまった。
「え、ね、ちょっと!」
何を言っていいか分からず、だが意味を知りたくてなんとか言おうとしたら。
「もうすぐ警察が来るから。その前に脱出できるように執事に頼んでたの。」
「は?」
そこまでの会話を交わし外に向かった。
ちょっと待って!ここ3階だけどどうやってここまで来たの!?
そんな今更なことを思い聞こうとしたら、
「わ、」
初めてこんな間近でヘリコプター見たかも。
成る程さっきから五月蝿かった原因はこれか。
「これで安心?」
ニタリと笑いそう言う彼にもう頷くしかなかった。
「さ、逃げますか。」
そう彼は言うとヘリから出ている縄梯子に捕まり私共々こんな息苦しい牢獄からやや強引だが逃げ出すことができた。
後日聞いたら、あの女――――――つまり私の今は亡き父の愛人は麻薬の売買をしており警察もマークしており、それプラス私へのストレスから来る暴力で捕まったらしい。
そのことを知ったときは、私はほぼ強引に苗字が変わりあそこから遠くにいた。




