(6)
渋々、まさしく消化不良な戦いだったが俺と時は職員室に連れて行かれた。
いや、俺と時の喧嘩では無く、テロリスト(笑)の件で。
時のせいで印象が薄くなったがテロリスト(笑)は普通に考えたら大事件だし。
その後、俺はあれこれ職員室で教師に聞かれ、一時間が過ぎ去った。
教室に戻った頃には普通に疲れてた。
もっとも、教室はまったく安らぐ所じゃないんだが。
「ねえねえ大和、さっき負けかけてたけどどうしたの? そもそも、あの人が秋時千刃? へぇ~、大和より強かったんだね」
ひたすらからかわれてる。
なんだこいつ、小学生か?
もっとも
「大和、大丈夫だった? ごめんね、朝の時あんなふざけた理由で創造使っちゃって……… 傷治すのは明日までまってね……?」
なんて過剰に心配されるのも正直面倒臭いが。
実際の被害は首の薄皮一枚なんだけどな。
「裕也、あいつの事は部活で説明してやるよ。 姫、そんなに心配するな。 文字通り、首の皮一枚だ」
いや、文字通りか?
しかし、からかわれるにせよ過剰に心配されるのも面倒臭いがそれ以上に面倒臭い奴が居た。
冬町亜織。
口先三寸のこの馬鹿。
「……オータムコンビで、千刃君が攻め、大和が受けかしら」
腐女子だった。
「おい、そこの馬鹿。 今すぐその腐りすぎた妄想を辞めろ、俺が死ぬ」
「空想は個人の自由よ、それともあなたは国に保証された自由に文句つけるだけの権力があるのかしら?」
屁理屈を。
女じゃなきゃ殴ってたのに。
「大和ってなんだよ、俺の下の名前だろうが。 俺の名前を使ってふざけた妄想をすんな」
「大和って言うのは、私の純愛小説のキャラクターの名前よ。 あなたにとやかく言われる筋合いは無いわ」
「よし、その妄想を書き溜めたノートをみしてみろ」
そう言って、机の上にあった妄想ノートを奪ってみた。
パラッと内容に目を通す。
「…………おい、なんで姫が男になってんだ?」
「え!?」
事態の成り行きを黙って見てた姫が焦る。
そりゃそうだ、性別が変わっているんだから。
亜織は誇らしげに口を開いた。
「それは私の純愛小説その8よ。 女の子のような外見をした姫美が、自分の姉にメロメロな大和を寝取る話ね」
「「ふざけんな(ないで)」」
マジ切れしたが、その前にドン引きだった。
こいつはなんて物を想像していやがる。
本来なら、このまま切り裂いて燃やしたところだが(実際裕也の持ち物だったらそうした)、この最悪な頭と口の持ち主を怒らせるとどんな有り得ない事件を捏造されるかわかったものじゃないから、泣く泣く返した。
こいつの趣味、治せないかな。
それこそ、姫の創造で。
そんな話をしていたら、担任(名前は覚えてない、ひたすら偉そうで高圧的だったのが裕也の怒りを買い、全ての爛れた女性関係を弱みとして握られてる中年)が教室に入ってきた。
後ろに、副担任と転校生を連れて。