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(2)

「まあ、少しは成長してると思うぞ」

「二刀の居合い切りを右手一つで止められた時にその慰めは微妙だよ……」

 まあ、姉ちゃんに慰められるってだけで嬉しくて仕方ないけどさ。

 ハンマーとの一件の後、俺の日常は色々と変わった。

 まず、姫を守るって決めた事。

 しかし、ハンマー相手にあそこまで苦戦して(ハンマーは自分の事そこそこ強いって言ってたけど)、この後守り切るなんて難しい。

 だから、姉ちゃんの朝練夜練に同伴させてもらってるんだが。

 勝てねぇ……

 朝は姉ちゃん無刀、夜は姫が能力を使っていなかった場合四刀対四刀。

 死ぬかと思う、というより死んでるかもしれない。

 死んだら強くなるって設定が欲しい。

「あ、大和。 また季花さんにボコボコにされたの?」

「……お前がグースカ寝てる間にな」

 皮肉気味に言ってしまった。

 日常の異変、その2。

 夏霧姫美、姫が家に住む事になった事。

 なんのラブコメだよ!ってツッコミは全て姉ちゃんに回してくれ。

 両親、引き取る親族がいない子供が大量発生する天壌市。

 それゆえに市役所が子供を育てると言う市役所住み。

 しかし、しっかりと育てられるという環境さえあれば本人の許可さえあれば引き取れるというシステムがある。

 それゆえに、姉ちゃんがちょちょいと公式文書を弄って姫が家に住む事に。

 もうなんなんだよ、俺の人生。

 想像武器クリエイトウエポンなんてわけのわからない物が発現したかと思ったら同学年の女の子と一緒に暮らすって。

 なんの主人公だよ。

「おや、大和。 お前は主人公になるんじゃなかったのか?」

「あれは言葉の綾だよ……」

 姉ちゃんの前で格好つけたかったってのも凄くでかいけど。

 それが全部って言っても過言じゃねぇけど。

 さて、と姉ちゃんが言った。

「お前達に特別に良い事を教えてやろう」

「姉ちゃんのスリーサイズ? 知ってるよ?」

 思いっきり叩かれた。

 冗談じゃないほど痛い。

 冗談じゃなかったからかな。

「大和君……いつそういうの調べてるの……?」

 姫に君付けで呼ばれた、なんか懐かしい。

「見てればだいたいわかるよ。 あ、ごめんごめん。 姫が自分のが知られてるのか心配だったのか? だけど、姫のは知らねぇぞ、興味ねぇから」

 六法全書が飛んできた。

 悲鳴は省略するが、簡単に言うと左手が折れた。

 姫の能力が無ければいったいどうするつもりなんだよ、この怪我。

「話を戻すぞ。 天壌市の全ての子供、老人を預かる建物に天壌市特別治安維持室の戦闘班の人間を配置することになった。 まあ、人数的に区域に一人ずつって感じだが」

 …………え!?

「なんで!? いくらなんでも負担がでかくない!?」

 姫も唖然としてる。

 市役所住みしてたからあそこの変人共の異常度も充分わかってるんだろう。

「最近の治安の悪さが異常だからだ。 お前は天壌高校に入ってから何回高校内に侵入者が来た?」

 えーと……

「六回だっけ、姫」

「八回だよ」

 間違ってた。

「普通、一回でも死ぬほどニュースになるんだぞ? まあだから、天壌高校にも一人行く。 周りに特に施設も無いから非常勤教師として入って貰う予定だ」

 なるほど。

「って、貰うって姉ちゃんが入るわけじゃねぇのか!?」

 嘘だろ、学校でも姉ちゃんと会えると思ったのに!

「流石に、室長がそこまで動く事は出来なくてな」

 苦笑してる、可愛い。

「その代わり、お前の知ってる人物が行く事になった」

「灯裏さん? あの人が教師になれんの……?」

 間違いなくカオスになるだろ。

 まず亜織が発狂する。

「灯裏は幼稚園に行った」

「「はい!?」」

 姫をはもった。

 この前の冬町家で催された姫歓迎祭でのインパクトが異常だったからな。

「あいつの胡散臭い笑顔が、なぜか子供に人気があるんだ」

 なにそれ、ここが天壌だからか?

「でも、姉ちゃん。 そうすると消極法でもうあの人しかいないんだけど?」

 姉ちゃんは凄く嫌そうな顔をしてる。

「まあ、腕だけは確かだ」

 腕だけだろ…………

「じゃあ大和、そろそろ朝飯を作ってくれないか」

「了解」

 居候の異常過ぎる食事を姉ちゃんに食わせるわけにもいかないので、炊事係は変わらずに俺。

 あれ、なんで姫はなんにもやんねぇんだろう?

 なんで、俺こんなにパシられてるんだろう。

 深く考えるのは辞めよ、もう怪我しても回復できないんだ。

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