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(1)
なんか、昔の事を思い出してた気がする。
姉ちゃんに勝てた頃の記憶を。 小五辺りのかな。
「大和、その程度か?」
無刀状態の姉ちゃんにボコボコにされている最中に。
「創造」
俺は、この戦いで既に三回目である刀の創造をした。
もちろん、二本。 二刀。
「勝負だ、姉ちゃん!」
間合いを一気に詰めた。
「勝負になると思っているのか?」
姉ちゃんは冷笑してる。 ゾクゾクするよ、背筋も背徳的にも。
が、油断だけはしない。
「四刀流複合技[閃風]!」
二刀での居合い切り、俺の一番の得意技。
全てを薙げる、なんて自信もある。
だが、それを
「遅いぞ、大和」
白刃取りされた。
右手だけで二本とも。 刀を、重ねるように。
ありえるのかよ、こんな事。 どんな動体視力と筋力だよ。
しかし、このまま止まってたら負けだ。
俺は飛んだ。
「四刀流[落]!」
姉ちゃんの頭の上からのかかと落とし。
「そんな大振りな技が当たるか」
左手で足を捕まれ、地面に投げつけられた。
この瞬間、今日の朝練でも俺の負けが決定した。