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プロローグ
随分と昔。
まだ、俺に罰すら刻まれていない頃の話。
小四の時。
家の道場での話だ。
俺と姉ちゃんの練習試合。
「喰らえ、四刀流[閃]!」
俺は当時の得意技を姉ちゃんに決めた。
いや、寸止めだから決めたとは言わないのか?
「そこまで!」
お父さんの制止が入った。
俺も姉ちゃんも竹刀を置いた。
「大和の勝ちだ、大和はもっと精進するように」
俺は姉ちゃんに勝った。
別に、あの頃は珍しい話じゃなかった。
全勝とは言えなくても、ほとんど俺が勝っていた。
「季花、ちょっと来い。 大和はもう寝ていろ」
俺は追い出され、姉ちゃんは残されていた。
特訓をしていたのか、もっと違う事を教えられてたのか俺は知らない。