48話:限定結界
だが、その暗転は、一瞬だったようだ。目の前に無様に転がるミクリ。その体が、突如、黒い光を帯びる。
「ナッ、これは、魔法の魔力暴走か」
そうか、起源に通じる魔力が、暴走したことで完全に切り離され、その補完に本人を起源に取り込もうということだろうか。
「チッ、オレが消えても、たぶん、ここに残ってる暴走した魔力はそのままになるな。そっちの処理は、お前に任せるぜ、ショーキ」
笑って、そして、消えた。
「ミクリ……」
「おい、篠宮。どうすんだよ、あの膨大な魔力」
【黒減】が聞いてくる。
「消すしかないだろ」
俺は、告げる。
言の葉を。
「さあ、輝け雪よ……
さあ、煌け雪よ……
夢は深々と世界に降り積もり、
愛は、世界を煌かせる
告げる
世界の理に苛まれし異端の徒よ
我が断りのもと全ての起源へ導かれよ
【白銀雪夢】」
セカイが変る。視界は白く塗りつぶされ、全てが雪に包まれる。この世は、とても冷たい。セカイが、力を奪い、雪へと換える。
降る雪は強くなる。そして、魔法は、消え逝く。
全ては、思い。全ては氷。全ては氷夢。
夢のように儚い氷。抱く幻想。はらりはらりと舞う雪たち。全ては夢なのだ。それが、それこそが【白銀雪夢】。
気がつけば、元の闘いによってボロボロになった部屋に戻っていた。しかし、そこに渦巻いていた、最大級の魔法は、いつの間にか無くなり、消えていた。
「なにを、なにをしたんだ……」
声にならない声で尋ねてきた【黒減】。静かに、俺は答える。
「コレが、俺の、限定結界だ。【白銀雪夢】。対象の空間のあらゆる魔法・魔力・生命を奪い去る力」
「限定結界……」
限定結界は、世界の理に反する魔法。
それゆえに、本来は、スムーズに発動することはできない。しかし、俺は、起源魔力へ触れたことで、制約を簡略化。さらに、【白銀雪夢】の中の【雪】と言う部分を抜き出し、本来ならありえない、二つ目の魔法を使えるようにしていたのだ。
まあ、全て【氷の女王】のやったことだが。




