43話:変化と終焉
オレは、計画のために、佐薙ハルカの下へ向かっていた。
ふと、誰もいない交差点の向こうに、女性が立っていた。あの女……。女性の足元に展開されているレモン色の魔法陣。
コイツは、
「変装魔法使いか」
「やっと見つけた。黒の魔法使い」
オレは、何度も戦った間柄である。
「邪魔だな。スピナリア」
「それはこっちの台詞」
それもそうか。
「アフリカ、モンゴル、ヨーロッパ。各地で戦ったが、それもここで終わりだ。スピナリア、お前はここで倒す」
「やれるものなら」
瞬間移動かと思うほどの速度で突っ込んでくる。
「チッ」
オレは、スピナリアの拳と蹴りを全て避けた。何度かかするが、直撃は完全に避けた。
スピナリアは、変化の魔法によって、実態のある変化をする。今の姿は、格闘形態。格闘戦闘に特化した姿だ。
「雷轟爆鎖!」
オレの魔法が、スピナリアに向かって飛ぶ。雷鳴を唸らせながら、雷と同じ速度で、電撃が飛んだのだ。
「クッ」
よけることのできない速度の攻撃を瞬時に伏せてかわした。
「これならどうだ!煉獄魔典!」
スピナリアを囲うように無数の地獄の炎が呼び寄せられた。そして、それが、当たる。その直前、何かが、光った。
「いない?」
スピナリアの姿がなかった。一体、どこに……。
「光流星!!」
その声と共に、何かが、上から降ってくる。
反応はできたものの、体の動きは間に合わない。光速の一撃。
超高速の一撃をこめた拳が、落ちる速度を利用して、威力を増す。必殺の威力を孕む一撃。
オレは、ギリギリ、横に半歩動けたが、避けきれず、右腕が砕かれた。
相手は、地面衝突の寸前に、姿を変え、ダメージを受けるのを防いだ。さすが、変装魔法使いだ。左手一本じゃ、はっきり言って格闘は全く出来ない。接近戦がくるとまずいな。
一気に距離をとる。ここは、大魔法で一気に決めるしかない。
スピリアナは、なにをしているのか。力尽きたのか、地面に這い蹲っている。このときを逃してはいけない。そして、終焉を放つ。
「終焉流技、漆黒の大河」
黒き水が一気に相手に突っ込む。
「がっ!な、なん、だ……」
が直後、左の目に鋭い痛みが。
その後、肩やら足やらに何発かの銃弾が命中した。スピリアナが這い蹲っていたのは、狙撃のためだったのか。結構なダメージを受けた。だが、奴も終わりだ。
「何とかして、佐薙ハルカを捕らえないとな」
オレは、そう言いながら、その場を去った。




