42話:黒の魔法使いの思考
オレの計画は次の段階へとシフトした。次は、ビルの破壊なんていうレベルを超えて、魔法の存在を、世界に広めなくてはならない。それで、いよいよ、最終段階へ移れるのだから。
この計画には、佐薙悠の紫炎の力が必要不可欠だ。どんな事になろうとも。オレの終焉と奴の紫炎があってこそ、あれが完成するのだから。
【黒減】、【雷帝】、【輪廻】、【変装】、【夜】。敵の強さは、最高峰だ。だが、俺は、負けるわけにはいかない。
まずは、どうにかして、魔法を世界に広める。何をして広めるかが、もっとも重要だ。より早く、より確実に広めなければならない。魔法を広める確実な方法は、莫大な力で見せ付ける事による提示が分かりやすいだろう。しかし、町を一つ破壊すると、世界各国の協会メンバーが一斉に集まるだろう。すると、危険が高まる。だとすると、何らかの方法を使うしかない。
どうするか、一刻も早く考えねば。
「【終焉】の魔法使い。佐神ミクリさんよね?」
背後から聞こえたその声にオレは、慌てて振り向いた。
「誰だ?」
「私は、【紅の奏者】。【始まりを告げる者】でもあるわ」
始まりを告げる者?
「簡単に言えば、【最初の魔法使い】の【転生者】、生まれ変わりなのよ」
ジャンヌ=ダルクの生まれ変わりだと?流石に信じられない。
「まあ、信じる信じないはこの際、どうでもいいわ」
女は告げる。
「この世界は、容易に落とせないわよ」
それだけ言って女は消えた。
何者なんだ。長い緋色の髪に深紅の瞳。
まあいい、あの女が介入してこようとこまいと、オレがこの世界を【終焉】に導くだけだ。




