4話:敵襲
そして、時間は流れて、始業式も終わった。始業式は、正直、長くてかったるいが、何とか寝ずに乗り切れた。
教室に戻ると後はホームルームのみで帰りになる。本来ならば、滅茶苦茶ラッキーなのだが、魔法戦闘がある可能性を考えると、非常にだるい。かと言って、学校で襲われても、ガラスが割れたり、机が壊れたりすると、後始末が面倒なので、とっと帰ることにするか。それに、一般人を巻き込む可能性があるしな。
「ショウキ、帰るの?」
「ああ、とっとと帰ろうぜ」
ユキネと一緒に、教室を出る。
が、ここで、俺は、自分自身でとんでもないミスを起こした事に気がついた。どうやら、夏休みの疲労の所為で思慮を書いていたのだろう。
「あれ、ユキネさんと篠宮くんは、一緒に帰るの?」
そう、ここは誤魔化すべきだったのだ。
「いや、別に。同じ方向だし・・・」
「へー。ユキネさんってどこに住んでるの?」
思わず「うぐっ」と言ってしまいそうになるのを堪えて、俺はユキネに「誤魔化せよ」と視線でメッセージを送る。
「ショウキの家」
そんな俺の視線を無視して、ユキネは普通に答えた。
「えっ!?」
質問してきたクラスメイト、確か、栗原さんが顔を赤く染めて俺とユキネを交互に見る。そして、
「もしかして、そういう関係、なの?」
と言う。どうやって誤魔化すか。こうなったら適当にやるしかない。
「いや、こいつは、その。親が、赴任して一人だから、うちで面倒みてるだけだよ」
「あ、ああ、そうなの」
一応誤魔化せたようだ。しかし、周囲の視線が痛い。俺は、視線から逃げるように、ユキネを引っ張って行く。
軽く走って校門まで来た。
「ここまで来ればゆっくりできるか」
そう言って、校門を出た瞬間に気づく。殺気だ。
じっくり睨みつけ、得物を品定めするかのような、濃厚な殺気。いくつか気配を感じる。姿は見当たらないが近くで俺らを見ているのだろう。
魔法を使って姿を消しているのだろう。炎系の「陽炎」か、闇系の「影潜」か、風系の「風界」か。まあ、姿を消す魔法なんていくらでもある。
どんな魔法使いにせよ、俺が敵うはずが無い。俺は魔法が使えないのだから。相手からしたら絶好の得物だろう。
「ショ、ショウキ。何か、いる」
ユキネが震える声で言った。ユキネは、殺気に震え上がってしまっているのだろう。とにかくここは、逃げるしかない。
俺とユキネは、走って、人気の無いところまで走った。誰も巻き込まないように。そして、殺気から逃れるように。全速力で。無我夢中で。死ぬ気で。
しばらく走ってたどり着いたのは、公園だった。昼間だというのに人っ子一人いない公園。昨日の公園(実時間では今日)は、池があったり遊具があったりでまだ人がいるのだが、こちらは、何も無いため、休日でも人がいない公園だ。ここなら、一般人に被害が出ることは無いだろう。
「追い詰めたぞ、貴様ら」
公園の一角から、低く唸るような声が響いた。