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雪夜の魔法  作者: 桃姫
雷の魔法――A beautiful ogre retains the intense thunder――
33/51

33話:来訪者

 翌日、しょうがなく、学校に行くことにした。

 授業も受けるのがだるかったので、ボーっと外を見つめている。すると、校門のところで何かを見つけた。

 紫っぽい銀が、光を反射して、眩かった。眼を凝らしてみると、昨日見た美少女の顔があった。

 ウィンディアのやつ、こんなところでなにやってんだ?

「篠宮!授業中にどこ見てんだ」

 教師の怒号が飛ぶ。今は、……数学か。

 やれやれと、俺は立ち上がり、窓へ向かう。

「おい、篠宮!」

 教師の言葉を無視してウィンディアに呼びかける。

「そんなとこで何やってんだ~?」

 少し大きめの声で。傍から見れば、馬鹿。

 しかし、すぐに返事が返ってきた。

「特に何でもありませんよ~」

 傍から見なくても馬鹿なやり取り。

 しかし、俺の奇行とウィンディアの返事から、皆が窓の外を注視する。

「あがってこいよ!」

「そうでございますか?では、少々お待ちくださ~い!」

 そう言ったが早いか、気が付けば、ウィンディアの姿はそこには無かった。一瞬、銀と黄色の織り交じった、それでいて金色ではない魔法陣が展開されたように見えた。

 おそらく雷系の魔法の中でも移動強化魔法を使ったのだろう。

「お待たせいたしました」

 窓から眼を離し、後ろを振り向けば、そこにはもう、ウィンディアが居た。

「おう、早かったな」

 在り来りな、しかし、この場合、一般の反応としてはおかしな返答をしながら、俺はウィンディアに呼びかける。

 その声に、窓に釘付けだったクラスメイトがこちらを振り向いた。そして、唖然とする。それはそうだ。先ほどまで、視線の先にいたはずが、数秒目を放したすきに後ろに居たのだから。クラスメイトがウィンディアの美貌に唖然とする。

「篠宮君、コイツは?」

「ショウキ、誰、これ?」

「誰なの?ショウキくん?」

 それぞれ佐薙、ユキネ、しなのが俺に異口同音聞いてくる。

「そうですか、貴女方が、翔希様の周りに居る女の方ですわね」

 ウィンディアは、声を低く、睨むように言った。

「わたくしは、翔希様の許婚のウィンディア・シルバーと申します」

 許婚の部分を強調して勝ち誇るように言うウィンディア。

「ワタシは、ショウキのパートナーのユキネ」

 パートナーを強調するが、ウィンディアは、ニコリと笑い、言う。

「わたくしも翔希様のパートナーですわ」

 勝ち誇るように言うウィンディアに対してユキネは、俺のほうを見る。

「ホント?」

「え?あっ、まあ、そうだな」

 それは事実である。推薦状には、きちんと書かれていた。俺の名前は書いてなかったけど。

「あたしは、佐薙悠よ」

「私は漣しなの」

 他の二名も自己紹介を終えて、にらみ合う。

 何だ、この四人……。


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