33話:来訪者
翌日、しょうがなく、学校に行くことにした。
授業も受けるのがだるかったので、ボーっと外を見つめている。すると、校門のところで何かを見つけた。
紫っぽい銀が、光を反射して、眩かった。眼を凝らしてみると、昨日見た美少女の顔があった。
ウィンディアのやつ、こんなところでなにやってんだ?
「篠宮!授業中にどこ見てんだ」
教師の怒号が飛ぶ。今は、……数学か。
やれやれと、俺は立ち上がり、窓へ向かう。
「おい、篠宮!」
教師の言葉を無視してウィンディアに呼びかける。
「そんなとこで何やってんだ~?」
少し大きめの声で。傍から見れば、馬鹿。
しかし、すぐに返事が返ってきた。
「特に何でもありませんよ~」
傍から見なくても馬鹿なやり取り。
しかし、俺の奇行とウィンディアの返事から、皆が窓の外を注視する。
「あがってこいよ!」
「そうでございますか?では、少々お待ちくださ~い!」
そう言ったが早いか、気が付けば、ウィンディアの姿はそこには無かった。一瞬、銀と黄色の織り交じった、それでいて金色ではない魔法陣が展開されたように見えた。
おそらく雷系の魔法の中でも移動強化魔法を使ったのだろう。
「お待たせいたしました」
窓から眼を離し、後ろを振り向けば、そこにはもう、ウィンディアが居た。
「おう、早かったな」
在り来りな、しかし、この場合、一般の反応としてはおかしな返答をしながら、俺はウィンディアに呼びかける。
その声に、窓に釘付けだったクラスメイトがこちらを振り向いた。そして、唖然とする。それはそうだ。先ほどまで、視線の先にいたはずが、数秒目を放したすきに後ろに居たのだから。クラスメイトがウィンディアの美貌に唖然とする。
「篠宮君、コイツは?」
「ショウキ、誰、これ?」
「誰なの?ショウキくん?」
それぞれ佐薙、ユキネ、しなのが俺に異口同音聞いてくる。
「そうですか、貴女方が、翔希様の周りに居る女の方ですわね」
ウィンディアは、声を低く、睨むように言った。
「わたくしは、翔希様の許婚のウィンディア・シルバーと申します」
許婚の部分を強調して勝ち誇るように言うウィンディア。
「ワタシは、ショウキのパートナーのユキネ」
パートナーを強調するが、ウィンディアは、ニコリと笑い、言う。
「わたくしも翔希様のパートナーですわ」
勝ち誇るように言うウィンディアに対してユキネは、俺のほうを見る。
「ホント?」
「え?あっ、まあ、そうだな」
それは事実である。推薦状には、きちんと書かれていた。俺の名前は書いてなかったけど。
「あたしは、佐薙悠よ」
「私は漣しなの」
他の二名も自己紹介を終えて、にらみ合う。
何だ、この四人……。




