12話:紫炎の魔法使い―戦火
Sceneハルカ
あたしは、その言葉を聞いた瞬間。カチンと頭にきた。あたしに火がついた。
「貴方のものってどう言う意味よ!」
そもそも、彼と彼女の関係を聞いていなかった。
「ワタシは、彼のパートナー。生涯組む相棒よ」
パートナー、ねぇ。
「ただのパートナーでしょ。それだけで貴女に何か言われる謂われは無いわよ」
苛つきの籠もった声で、低くそう言った。
「ワタシのものよ。彼は、ワタシだけのもの」
ついた火がさらに燃え上がるのを感じた。
「だったら……、だったら、真剣勝負で、決着をつけましょうよ」
「言ったはずよ、変化の魔法使いだと。戦いは出来ないわ」
あたしの怒りが有頂天(間違い)……頂点に達した。
戦えないとか知らない。知らない!知らないわよ!
「知らないわよ!!だから何。出来ないを良い訳に勝負しない何て!貴女は一体何様のつもりよ!戦いもせずに、自分のものだ何てよく言えるわね!!」
「………………っ!分かったわ。やるわ」
互いに魔方陣を展開する。足元に輝く「紫」と「薄黄《レモン》色」の魔法陣。今は夕暮れ。人はあまりいないだろう。二人は、魔法を発動する態勢をとる。そして、先に動いたのは、相手だった。
当たり前だ。あたしの魔法は、「起源魔力」から膨大な魔力を貰う関係で、発動が遅い。。だが、左の腕の部分に刻まれた呪印が疼きだす。呪印は、師匠から魔法を受け継ぐ時に刻まれる。普通は、ただの飾りなのだが、それ自体に、魔力を保存しておける媒体となることもある。あたしのは、後者である。
左手の手首から、腕をつたう様に、左胸の乳房まで「真紅の薔薇」が咲き誇る。この薔薇が「炎魔」の呪印である。そして、あたしの魔法を早く完成に導く、力。
相手は、薄黄色の魔法陣を展開し、自らの姿を二十歳前後の綺麗な女性の姿へと変えた。おそらく、格闘をする時の形体なのだろう。瞬時に間合いを詰めてくる。あたしは、完成させた魔法を、壊さないように、軽く避ける。一応、溜めが長い魔法を使うので一通りの格闘戦術は学んでいた。魔法戦闘といっても、魔法単発で行われるわけではない。魔法単発だと、威力が大きい魔法が勝ってしまうので、まあ、当然のことなのだろうけれど。
次々に攻撃を繰り出してくる。だが、見切りって、それを避け、最後に一撃、蹴りを入れる。
勢いで、屋上のフェンスまで、弾き飛ばした。そして、私は、相手と距離をとって一撃を放つ。
「コレで、終わりよ!『炎熱流技』《炎の星》!!」




