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「さちが生まれる前ね、お母さん、よそのおうちのお父さんを奪ったの。」
「うん。」
「でもね、お父さんの元のおうちの奥さんがね、妊娠しちゃって、お父さん、お母さんのこと捨てちゃったの。」
「にんしん?」
「うーんっと、赤ちゃんが出来ること。」
「うん。」
「それで、お母さん悔しくて悔しくて、奥さんを突き落としちゃったの。」
「たかーいとこから落としたの?赤ちゃんは?」
「死んじゃった。だからね、私が不幸なのは因果応報なのよ。お母さんが人殺しだから。悪いことしたらそれだけの罰があるの。」
「いんがおうほう。」
「そう。お母さんが悪いことをしたから私は罰を受けなくちゃダメなの。」
さっちゃんはそうして、ぼくの頭を撫でてくれた。
ぼくはさっちゃんの小さくて暖かい手が大好きだった。




