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【一章完結】乙女ゲーのチュートリアルのサポートキャラに転生したら攻略キャラが集まってきた。いや、俺は男なんですが!?  作者: 松平 ちこ
一章 学園入学編。 攻略対象キャラたちに、俺、囲われ始めたんだけど!?

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第24話 お約束が並びます。俺は気づいてないけどね

 二時限目の終わりの休憩時間。

 ガラッと扉を開けて、アディとルナが教室に戻った。

 教室奥、自席に座るカリスを囲うように立つフィデス、ウェルムといった攻略キャラたちと目があった。


「もういいのかい?」


「はい、カリス様におかれましては、寛大なお心で無礼を許していただき、感謝申し上げます」


「いや、これくらいなんてことないよ。

 それに新学期も始まったばかりだからね。

 二人のわだかまりが解けて、なによりだ」


 アディが彼らの前に赴くと、机に手を組んでたカリスが訊ねてきた。

 アディも教室を飛び出す際に、カリスへと教師の対応を押しつけたことを謝罪する。


「なんでさっきと逆になってんだよ。しかも目、赤いぞ」


「うるさいな! フィデスは見てたんだから、わざわざそこを触れるなよっ」


 アディの後ろにいるルナを見て、フィデスがからかいの言葉をかけた。ルナはムッとして、フィデスに食って掛かっている。


 ――ああ、この二人はこれが平常なのか。


 ルナとフィデスは、仲のいい兄弟のような気安さが見える。同じ公爵家同士、その付き合いが長いのだろう。


「ルナ、なんでも良いけど、俺の席はここじゃないからな?

 俺は席に戻るから、ここでお別れだぞ」


「僕も席替えする!」


 アディは周囲の目を気にして、暗に自分の服をつまむ手を離せと、ルナに告げた。

 その理由の一つには、カリスが会話の最初からアディの後ろへと、視線を固定していることもあった。


 ――なんでそんな射貫くような目、ずっと向けてんの? 言動が合ってないんだけど。カリス様。


 対するルナは、アディから離れる気がないらしく、訳の分からないことを言い出した。


「アホか! お前はなんで、そんな極端な態度になってんだよ。違うだろ!」


「……フィデス様。私とルナとで、もう済んだことです。これ以上はご遠慮願います」


 そういえば、そこの話がついてなかったなと、アディは思い出した。

 ルナに注意するフィデスに、ハッキリと断りの意をアディは告げた。


「フィデス様、何もなかったですよね?

 でしたらこれより先は、大変不本意ですが侯爵家として、再介入の苦情を申し入れさせていただくことになります」


 カフェテリアでルナとアディが和解した際。腫れた目をルナが冷やしている時に、アディは休学中のことを聞いたのだ。

 模擬戦は問題なく終了し、アディの病欠は別物として扱われていることになってる、と。

 つまりそれは、誰の責任も問えないということだ。


 ――フィデスの騎士道に合わせてあげる気は、俺、ないんだよね。


「フィデス、もう受け入れなさい。アディ君がそれでいいと言ってるんです」


 フィデスが眉間に皺を深く刻み、納得のいかない顔をしていた。

 それを横からウェルムが、アディに助け船を出してくれる。


「ウェル様、ありがとうございます」


「礼には及びません。事実の話をしただけですから。

 ああ、フィデス。思うところがあるのであれば、アディ君が全快した時になさい。実技ペアでしょう。幾らでも機会があります。

 貴方のお好きな方法で、対話をするといいですよ」


「ああ! それもそうだな! アディも約束を忘れるなよ」


 アディは、ギクリと硬直した。

 そっちの返事はしていない。けれど約束として、いつの間にか決まっているらしい。

 

 ――ウェル様、味方じゃないのかよ。


 ウェルムを見れば、爽やかな笑みを返された。アディは表情を取り繕って、笑みを返す。


 いや、一応全快した時にと言うのが、ウェルムなりの温情かもしれない。

 けれど、体育会系が好む対話方法など一つしかないだろう。

 これはアディにとって嫌な予感が、ひしひしとする。


 ――んでもってカリス様、なぜかさっきより笑顔が怖い。喋ってないのに圧がある。なんで?


「あ、もうすぐ次の授業が始まりそうですね!

 皆様、御前失礼します」


「お前はこっち」


「ヤダ。僕も、アディと一緒がいい!」


 礼を取って、逃げるように早足で自席へ向かうアディ。そこに、ルナとフィデスの掛け合いが重なった。


「ルナに先を越され、いつの間にか、私が最も遅れているようだね?」


 ボソリとしたカリスの呟きは、誰の耳にも届くことはなかった。

 その目は冷ややかにウェルムへ向けられる。ウェルムはカリスへと目元を緩め、笑うだけだった。

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