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――弟の想い
「……姉ちゃん、あの時、俺、ほんとは謝りたかったんだよ」
覚えてるかな。
テレビのリモコンでふざけて押したら、画面が消えて、姉ちゃんが慌てて謝ってきた日。
なんでもないような、くだらないような、そんな出来事だったかもしれない。
でも、あの一瞬だけ、俺は「姉ちゃんは自分のせいにする人だ」って思った。
だから俺も、なぜだか言えなかった。「ごめんね」って。
なのに、あの日テレビに向かって謝った姉ちゃんに、
なぜか俺の声が届いてたって……変な話だけど、
きっとそれは、俺の中にずっと残ってた言葉が、姉ちゃんに届いたんだよ。
ちゃんと、言っておきたかった。
「ごめん、姉ちゃん。
でも、俺のこと、そんなに気にしなくていいよ。
もう、だいじょうぶだからさ」