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政治経済エッセイ

「理想的な情報操作」の過程を経て「103万円の壁」を「上級国民のための減税」にしようとしている!

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 いや、ホント。これまでの「103万円の壁引き上げ」の報道は「こういうことだったのか……」と全てが繋がった瞬間でしたね。



質問者:

 いやいやいや! 勝手に話進めないで下さいよ! 一体何がどうしたっていうんですか!?



筆者:

 毎日新聞の11月22日の記事で『与党が年収の壁「分離案」検討 住民税の控除を除外か 地方に配慮』と言うものがあったのですが、これが本当に酷いんですよ。


 またしても「メディアが誘導したいこと」というのがアリアリと分かったんで。

 「こういう方向性で行くんだな」と分かったんで全力で反対していきたいと思ったまでです。



質問者:

 いったいどういう内容だったんですか?



筆者:

 こういう内容です。少し長いですが、まず、何も前提知識がない段階で全文載せましたのでお読みください。


『国民民主党が求める「年収103万円の壁」見直しを巡り、所得税の基礎控除(48万円)を引き上げる一方、住民税の基礎控除(43万円)を引き上げ対象から除外する「分離案」が与党内で浮上していることが判明した。地方自治体からは「壁」引き上げによる住民税の税収減を懸念する声が上がっており、「分離案」によって地方への配慮を示す狙いがあるとみられる。


 20日にあった自民、公明、国民民主の3党税制調査会長による協議で、国民民主は「所得税の基礎控除などを103万円から178万円に引き上げる」ことを最重点項目として要望した。基礎控除は最低限の生活費には課税しないという考えに基づく措置で、国税である所得税、地方税である住民税のいずれにもある。国民民主は、住民税の基礎控除の引き上げについて「基本的にはそこも含めて考えている」(古川元久税調会長)との立場だ。


 ただ、所得税と住民税の基礎控除は、必ずしも連動して見直されてきたわけではない。


 財務省によると、所得税の基礎控除は、主に高度経済成長期以降、物価や所得の上昇に合わせて引き上げられてきた。一方、住民税は地域社会の費用負担を住民が広く分かち合う「応益課税」の考えが強く、「所得税と切り分けて見直された面もある」(財務省関係者)という。


 国民民主の要望通り非課税枠を178万円へと引き上げると、年7兆~8兆円の税収減が生じる見通し。うち約4兆円が住民税の減収で、このほかに地方交付税も1兆円強減る計算になることから、各地の首長が財政上の懸念を表明している。


 こうした事態を受け、与党関係者は「引き上げを分離させることは可能だ。分離させれば、地方には基本的には影響がなくなる」とする。


 自民、公明両党は今後の国民民主との協議のなかで、国民民主の要望の詳細を確認する方針。国民民主側の姿勢に応じて「分離案」の検討に入るかを判断するとみられる。』



質問者:

 筆者さんのお言葉を借りるなら「また財務省か……」と言う印象はありますけど、

 この間は自公国民民主で壁の引き上げの合意が出来たようですしね。


 とりあえずは、所得税だけでも壁が引きあがるという事なら良いんじゃないでしょうか?

 地方には通貨発行権もありませんからね……。



筆者:

 と、質問者さんのような感想になってしまうのが本当に恐ろしいのです。



質問者:

 え? どういうことなんですか?



筆者:

 この記事には例のように「重要な視点」と言うものが抜けています。


 それは、所得税と住民税の税の課税方法が「全く違う」という事です。


 住民税は一律10%となっており、基礎控除を引き上げると平等に減税されるのですが、

 所得税は5~45%の累進制度となっており基礎控除引き上げると「金持ち優遇」がより拡大してしまうのです。


 今回「手取りを増やす」とされている年収300万円以下の層にとっては、だいたい「所得税5%」「住民税10%」です。

 住民税が据え置きだと、減税予算は半分でも減税効果は1/3となり、もっと少なくなってしまうのです。


 これは、当初から言われていた「減税額の幅の広さ」と言うのが最大の差で「5%」と「45%」になり。更に高所得者ほど有利になりますからね。



質問者:

 えっ! そんなことどこにも書いていないじゃないですか……。



筆者:

 せめてそのことを記事に書けよと思いますね。


 これだからテレビや新聞は「政府・官僚のプロパガンダ機関」だと思えてしまうわけです。

 特に「財務省の犬」と言っていいほどに財務省の都合の良いことしか書きません。


 最近、年収の壁引き上げ報道で「地方公共団体の長が懸念表明」と言う記事を連発しまくっていましたが、その理由が分かったという感じですね。


 僕はてっきりこの2つが同時に引きあがるのは「確定事項」だと思い込んでいたので正直驚きましたよ。



◇本来あるべき姿



質問者:

 ではどういう案が良いのでしょうか?



筆者:

 そもそも所得税の壁なんかよりも、「106万」と「130万」の壁を逓減するための「社会保障減免派」の僕としては非常に低レベルな議論をしていて不満なのです。

 

 最低の厚生年金の層で増えるのは月6000円とかですが、そのために年間15万円も負担が増えるなんて馬鹿げていますからね。


 自己負担分だけでも30年。企業負担合わせれば60年回収にかかりますので実質増税です。

 これを指摘しないのも本当に不満です。


 それは置いておいても、本来なら所得税と住民税を一律で引き上げて地方法税交付金で補填するのが筋だと思います。



質問者:

 地方の方はそう言った主張はあまりされませんよね……。

 中途半端に地方分権という事でしょうか……。



筆者:

 そうなんですよね。


そしてこれを見た時「ある意味天才」だなと思いました。


これは言わば「三方良し」に「一見すると見える」からです。


1 自民党は先の衆議院選挙で伸びた国民民主党の案を「受け入れた」ことにもなる。


2 国民民主党としても「成果を挙げた」と留飲を下げることも出来る。


3 地方自治体は減収にならない。


4 国民も「住民税も含まれる」とまでは言われていなかったので「嘘は吐かれていない」と思える。高額所得者は密かにラッキー。


5 財務省は最低限の損害で済ませられるのでもっとラッキー


 と、こういう構図です。



質問者:

 でも、高額所得者により有利になる減税って何か当初の目的と全く違いませんか?



筆者:

 是非はともかく、この所得税と住民税の性質を報道しないメディアはもっと悪だと思いますね。


 何せ議場に上がっていなければ国民が議論することも無いので、反対意見や否定される可能性は下がりますからね。


 勿論税金に詳しい方が見れば一発で「ヤバい」ことは分かるのですが、

 何も知らない方がほとんどなので「壁引き上げられるならいいよね」と言う方向性になってしまうのです。


 しかも、どうせ他で「財源確保」ということで「実質増税」されるんですからね。


 こんな「手取りが少ない」と言う問題の根本治癒からほど遠い政策は、やらない方がマシだと言えます。


 全国民が議論した上でOKなら僕は言うことは無いですが、議論すら許さない姿勢には本当に不快感しかありません。



質問者:

 前々から筆者さんは手取りを増やすためには逆進性が一番強い社会保障負担軽減がベストというお話でしたものね……。



筆者:

 本当にそこに総力を結集して欲しいところです。確実に手取りが増えますよ。


 また、住民税控除を上げることを阻止したいのは「住民税非課税世帯」と言う定義も引きあがってしまうために、「給付金がやりにくくなる」と言った方向性も見えてくるため「所得税のみ103万円の壁引き上げ」と言う可能性は高いように思います。


(なお、この点につきましては「これまでの住民税非課税世帯」などと言った新定義を作って段階性にしてくる可能性はあるため何とも言えないところではあります)



質問者:

 何かことごとく国民側の立場に立っておらず「自分たち役所の都合」の話ばかりを聞かされているような気がしますね……。



筆者:

「社会保障は税じゃない」「減税より補助金の方が即効性がある」「消費税は景気に左右されない安定財源だ」

 これらの詭弁はいい加減聞き飽きました。


 今回はこれらの詭弁に「地方のために住民税は壁を撤廃しない」が加わっただけです。


 ハッキリ言ってウンザリしました。


「うるせぇから黙って本当に国民のためになる政策を実行しろ!」


 と思いましたね。


 国民民主党も「上級国民のための民主党」で無いと言うのであれば、全力でこの案を潰して、せめて住民税の壁も引き上げるようにするべきです。


 そして出来れば社会保障減免累進性を訴えて欲しいと思います。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は、またしてもメディアが「財務省の犬」ぶりを発揮し、「とんでも案」の重要なところを抜き取って平然と乗っけているという事、国民民主党は反対しないのなら「上級国民のための民主党」だという事を指摘させていただきました。


 今後もこのような政治・経済、メディアの問題について個人的な視点で解説しますのでどうぞご覧ください。

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