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異世界転生?・・・してませんよ!  作者: 美都崎 里美
1章 オリビア 前世を思い出す
3/23

第3話 生まれる前の話

みんなに誕生日を祝われ

新しい道具も手に入れたオリビア

大変満足げに部屋に戻りました。

一緒に部屋に戻ったメアリに手伝ってもらい

ドレスから肌触りの良い部屋着に着替え、休む準備を始めます。

寝る前にはまずは入浴です。

オリビアはほぼ毎日入浴します。


風呂好き、そして綺麗好きのオリビアの影響で、家族はもちろん!

使用人も入浴習慣があります。

レイエス家の浴室はかなり広めです。

前世の記憶にある銭湯くらいの大きさがあります。

水を張ることも、お湯を沸かすことも、簡単にできる貴族の家には、何処の屋敷にも、有る程度の浴室があります。

しかし、大浴場を使用人にも開放しているのは、レイエス家くらいのようです。


魔道具が開発され平民でも簡単にお湯が手に入るようになってからは、平民の家にも各家庭に浴室があるようになりました。

それにより、人々が清潔になり、感染症などのリスクが下がり、地味に領地の発展へと繋がったのです。

前世の記憶がよみがえる前でも、

無意識の日本人としての習慣が色々なところで影響しているようでした。


「それにしても、綺麗な娘ねぇ~」

脱衣所の鏡を見て、思わず独り言を言うオリビア

「ナニか仰いましたか?」

いつも入浴の手伝いをしてくれているメアリが、自分の入浴の用意をしながら聞き返します。

「12歳になったんだな~って思っただけ」

「そうですね、お嬢様は発育がよろしいですから、12歳の今でも大変お美しいですよ」

お世辞というわけではなく、普通にオリビアを誉めるメアリ


異世界で生きた、男性の記憶が戻ったからと言っても、この身体で生きてきてもう12年。

美しい女性の身体に、今更興奮したり恥ずかしがったりすることはありません。

それでも少しだけ、昨日より客観的に自分自身を見ることが出来るようです。


ほっそりとした健康的な身体

まだまだ少女と言って良い外見ですが、女性的なまろやかさが出始めています。

おそらくは同じ歳の女の子よりも、少し発育が良いようで、今現在でも素晴らしいプロポーションです。

この地方の特徴で、褐色に近い肌の色ですが、それがかえって、長い手足を美しく際立たせています。

(ホントに綺麗な娘ねぇ~)

素直にそう思います。


メアリに身体と髪の毛を洗ってもらうと、ゆっくりと湯船に浸かります。

のんびりとした気持ちになると、今朝思い出した前世の記憶

そして、この世界に生まれ変わったいきさつが、思い出されます。

(ヤッパリ風呂好きなのは、元日本人だからよねぇ~)




オリビアが前世の記憶を思い出したのは今朝のこと、

それから半日しか経っていません。

朝起きたときこそ、少し呆然としたところはありましたが、

今は全くと言って良いほど落ち着いています。


どうして、落ち着いていられるのか?

前世、それもほとんど異世界と言って良い場所で生きてきた記憶、

そんな物が突然よみがえったのに何故こんなにも平然としていられるのか?


もちろん理由があります。

オリビアは12歳の誕生日、この日に記憶がよみがえることを知っていたからです。

あらかじめ知っていた訳ではありません

前世の記憶と共に、そのコトも思い出したからでした。



前世のオリビアは、天寿を全うした日本人でした。



臨終を迎えたその瞬間、善吉は何もない空間にいました。

「急に意識がはっきりしたな、そうか・・・俺死んだんだな、するとココは死後の世界か・・・死後の世界って本当にあったんだな」

独り言のような、タダそう考えていただけのような?

どうも肉体があるようには思えません。

周りも全体的にタダ白いイメージ、何もない空間が広がっているような感覚です。

「死後の世界ではありませんよ」

突然そんな声が響きました。

「え?」

気がつくと目の前に(今の自分に目が有ればの話ですが)白いローブのような物を着た人影が見えました。

この場所、そして見た目のイメージ

神と呼ぶのにふさわしい存在です。

「神様ですか?」

思わずそう聞いてしまいます。


「一番近い言い方をすればその呼び方になりますね。正確に言えば、私は生命のある星の管理者です」

「???」

「次元が、本当の意味で次元が違う世界の存在です。そう言う存在が、生命の生まれた星を見守っているのです」

「やはり神と言うことですね」

「ですから、それが一番近いと言いました。きちんと説明するのは不可能だと認識してください」

話をしている内に、神を名のる存在の姿がはっきりとしてきました。

白いローブで身体の輪郭はよく分かりませんが、見えている顔、上腕部、臑、女性とも男性とも取れる外見です。

表情はなく、綺麗な顔で淡々と話を続けます。


地球と似た文明のある星は全宇宙に1000個前後存在するそうです。

善吉が生前見知った知識よりかなり多いようです。

そして、同じような進化をしている星は30個程度

人間型の哺乳類が文明を築く可能性は極めて高く、30の内18の文明は、ほぼ太陽系の地球人と同じと言って過言では無いレベルだそうです。


おなじような文明を持つ星が多いのは、その星を管理して、生命を、そして知能を有してからは、文明を導く存在が居たからなのだそうです。

まさに今善吉の目の前に居る存在です。


生前の地球は比較的珍しく、爬虫類が進化をしていた世界でした。

このまま進化を続ければ、爬虫類文明の世界、あるいは鳥人の世界になる予定でした。

地球の管理者も、その様子を興味深く見守っていました。

所がある日、あり得ない確率で巨大な隕石が落下してしまいました。

宇宙の大きさから考えれば、その確率はまさに天文学的な数字です。

爬虫類、そして鳥人文明になったかもしれなかった未来は一瞬で壊れ

後に残ったのは、最も一般的な哺乳類の世界でした。


隕石落下前の世界に執着していた管理者は、新しく進化した人類を上手く管理することが出来ません。

分からないように教え導き、星の大切さを伝えることが出来なかったのです。

その結果、管理者を唯一絶対神とするはずが、沢山の宗教が生まれてしまいました。

そしてわずかの思想の違いにより、大きな争いごとが四六時中起きる世界

何のためらいもなく核兵器を保有

さらには、無計画に化石燃料を使い、急速な温暖化を起こしてしまいました。

このままでは、遠からず人類が滅んで・・・最悪は星その物が滅んでしまいます。


「それで、あなたが生きていた地球に、最も近い知的生命体の居る星を見守る私に相談が持ちかけられたのです」

「ということは、私が生きていた地球の守り神ではないのですね」

「その通りです、私には私が管理する世界があります。そしてあなたの存在は全て私に任されています。」

「どうして違う世界の神様が私の前に現れたのですか?」


「私の管理する星の人類には、特殊な能力の有る個体が居ます。

 そちらの世界の言葉に訳すと、魔法というのが一番分かりやすいでしょう。

 もちろん、あなたの世界のおとぎ話に出てくる魔法ではなく、魔素と言われる素粒子を、エネルギーに変換する能力のことです。熱エネルギーに変換するのが一番簡単ですが、直接運動エネルギーに変換することも出来ます。」

「なるほど、化石燃料に頼らなくて良い分けですね」

「そうです、しかも魔素という素粒子は、宇宙空間で発生して、自然とその星に降り注いでいます。」

「つまり資源が枯渇することはない」

「もちろんいずれはそう言うことは有るかもしれませんが、今のところ心配はありません」


「それでは、とても上手く行っている世界と言うことなんですね」

「所がそうでもないのです」

「私の星は今とても安定しています。大きな争いごとも起きていません。

 私がその星の唯一神ですので、宗教上の争いが起きることもありません。

 そして、魔力が使える魔術師はきちんと管理されています」

 魔素をエネルギーにする技術、魔術あるいは魔法と呼ばれる技術も、実に効率よく発展しています」

「理想の世界ですね」

「ある意味その通りなのですが、贅沢を言うとですね

 あなたの住んでいた地球よりも、遥かに歴史が長いにもかかわらず、文明が発達しないのです」

「それでも平和で気候変動のない世界の方が理想的じゃないですか?」

「もちろんどちらかを選ぶのであれば、平和が一番です。はっきり言ってこのままでも良いとも思っています」

「それでは何故?」

「星の管理者というのは、それぞれの星の状態を競い合うようなところが有るのです」

「神様同士が?」

「ですから、厳密には神ではありません、理想の世界は争いごとがなく、綺麗で文明の発達している世界です

 それには霊長類・・・哺乳類ではなくても、動物の中で脳が著しく発達した種族が、きちんと星を管理して文明を発展しつつ護っていくような世界になるよう、導いていく必要があります。」

「そのようなわけですから、星の管理者同士の交流はあります。

 生前のあなたの住んでいた世界は、争いが多く、その為に文明だけは発達した世界です。

 私が管理している星は、争いがなく便利な魔力があるため、これ以上の文明の発展が望めない世界

 そこで、あなたの星の管理人と話し合い、そちらの世界の記憶を持った人間を、私の世界で生まれ変わらせることにしました。

 そして、あなたが私の星の能力、つまりは魔術師として多くを学び、出来れば天寿を全うしたときに、もう一度旧世界で生まれ変わってもらう予定です。」

「ずいぶんと気の長い話ですね・・・あれ?魔術師として学んだとして、元の世界で魔術って使えるんですか?」

「あなたのいた地球にも、魔素はあるんですよ。マダ解明はされていませんし、魔術師の才がある人間がいないので発見しづらい素粒子なんです。そして魔術師となり得る人間も、こちらの世界と同じくらい存在しています。上手な導き手が居れば、新しいエネルギーとして活用されるはずです」

「それに、人間の一生など私たち星の管理者からすれば、一瞬です。旧世界の状況がさらに悪化するのも、私たちの感覚からすれば急務ですが、人類から見れば、もう少し余裕があります。それでも、本当にもう少しですけどね」

「そうなんですか、でも、それなら何故私なんかが選ばれたんですか?もっと優秀な人間はいくらでも居ると思うのですが」

「所がそう簡単にはいかないのです、まず転生には適性があります。サラに今のあなたのように生命エネルギーに記憶をまとわせて肉体から引き抜くには、亡くなる寸前でなければイケマセン、しかも死ぬまで意識がはっきりしていなければ、記憶が引き継げないんです」

「それで私・・・ピンピンコロンでしたからねぇ~・・・あ!適性がある人間が事故で死にかけているときとかは?」

お約束の異世界転生モノを思い出す善吉

「それは試しました、はっきり言えばあなたは5人目の転生者になるのです」

「その・・・先輩達にも出会ったり出来るんですか」

「世代が違うので出会うことはありません。それに、あなたより前の転生社は、ほとんど記憶を持っていません」

「転生失敗と言うことですか。」

「転生は上手く言ったのですが、生まれた瞬間から前世の記憶があったため、パニックになって仕舞ったり、思い出させるのが遅すぎて、受け入れられなかったり色々です。仕方が無く前世の記憶は削除しました」

「それでは私も上手く行く保証は・・・?」

「大丈夫です、子どもから大人になる時期、私の星での12才の誕生日に記憶を思い出すようにしておけば、上手く行きます・・・たぶん」

「なんですか、そのたぶんって」

「悪いことにはなりません。あなたはすでに2度目の人生、言うなればボーナスステージ、そして、前世の記憶を失った者も全く影響がないわけではありません。うっすら残った前世の記憶で、わずかですが、文明を発展させかけている者も居ます」

「そうなんですか」

「あなたが生まれ変わる予定のご家庭、そこの先々代と、5代前の先祖がそのうちの二人です

その2人にはほんの少し文明を発達させるヒントを持たせました」

「同じ家庭なんですか?」

「転生させる側にも、適性があるんですよ」

「後の二人は?」

「別のご家庭です、3世代ほど前の人間と、もっと昔の人ですので、やはり出会うことはありません」


一通りの説明をした自称神様

善吉の存在がある方向に手を伸ばしました。


「それでは、私の世界へ向かいましょう。

 精神生命体である私たち、そして今はそれに近いあなたの意識は、ワームホールを通って一瞬で宇宙の何処にでも行くことが出来ます」

「凄い!ワープですね」

「そうとも言えますが、ルートマイナスの虚時間が流れるワームホール内、物質をまとった生命は通ることは出来ません」

「じゃあ、ワープできる宇宙船は?」

「そんな物は存在しません。製作は不可能です。」

「それでは、地球で目撃証言のあるUFOって・・・」

「タダの錯覚です!

 この宇宙に知的生命は沢山居ますが、距離が離れすぎているので、出会うことはまずあり得ません。」

「そうなんですか・・・なんかガッカリです。」


「私の管理する星は、あなたのいた地球から59億光年離れたところにあります」

「確か宇宙の大きさって140億光年位でしたっけ?ット言うことは

 宇宙の大きさのジュンサーダース・・・ジャナカッタ・・・半分弱の距離ですね」

意識体になっても、くだらないオヤジギャグがダダ漏れてしまいます。


「生まれ変わる先は、本当にあなたの世界とそっくりです、

 その世界の住人、身体的特徴は、全く違和感がありません。

生物に関しても、ほぼ似たような生き物ばかりです

 ただし、文明は中世くらいと考えてください。

 それでも魔法が存在するので、それなりに便利な世界です。」

「私は、ナニをすれば?」

「普通に暮らしてください。記憶を思い出してからは、普通に学び働き、興味の向くままに生きてもらえば問題ありません。

 それが、新しい世界の発展に繋がるはずです。」

「分かりました」

「それでは・・・12才の誕生日まで・・・」

説明っぽい話になってしまいました

デモこれを説明しないと話が進まないので

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