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異世界転生?・・・してませんよ!  作者: 美都崎 里美
第4章 2学期は学園祭があります
26/33

第2話 学園祭が始まります 

2学期が始まり一月が立ちました。

一月後にある大きなイベント、まずは中間試験です。

この学園の筆記テストは2回

学年末と、この中間試験だけです。

学年末には魔力のテストもあります。

(入学時のように、水を温めるだけでは無く、加熱、運動、光、できる限りの魔力測定が行われます)

クラス分けは魔力で決まるので、中間テスト結果でクラス替えになることはありませんが、順位は発表されます。

(学年末の魔力測定の結果、クラス替えになる生徒が出ることもありますが、いまだかつて5人だけです)

Sクラスの順位は、入学時とほぼ同じ

アビゲイル

ルーカス

エイブリー

オリビア

アリア

シャーロット

カミラ

ローガン

メイソン

ヘンリー

魔力が加味されていないので、少しばかり順番は違っていましたが、大きな変化はありませんでした。


Aクラスのトップは、エマとエイミーだったようです。

オリビアからカミラまでの点数の差は数点、上位3人も本当に僅差でした。

そして、メイソン、ヘンリー、エマ、エイミー、この点差も数点以内でした。


「やっとテスト終わったぁ~」

掲示板の前で伸びをするオリビア

「テストは一週間前に終わってるけどね」

いつも通り、冷静なツッコミを入れるシャーロットです。

「結果を見なければ終わったって気分になれないでしょ」

「確かにそうよね」

テスト結果を見てから、食堂に集まるオリビア達

いつもの3人にカミラも一緒です

「カミラ」

席に着こうとすると、声を掛けてきた女子がいました。

「あ、プリシラ、エイミーとエマも一緒ね」

4人に近づいてきたのはAクラスの3人

2学期が始まり一月以上立ちましたが、現時点で、Aクラスで自在に飛行具に乗れるほど魔力が高いのはこの3人だけです。

成績も上位に入りますが、夏休みにサーフィンばかりしていたプリシラは、2人よりも少し後れを取ったようでした。


「テストが終わると学園祭ね」

嬉しそうに話すプリシラ、かなり楽しみにして居る様子ですが、実はモット楽しみにして居る娘が居ます。

「私は王都生まれで、子どもの頃から学園祭は楽しみでした。特に飛行具レースは格好良かったです。その私がまさか学園祭に出ることになるなんて思いませんでした。」

チョットうっとりした顔で話すエマ

「エマはいつ頃から魔力があるって分かったの」

「8歳の時です。平民でも5歳と8歳で全員魔力検査をしますから。」

「5歳の時は分からなかったんだ」

「エマくらい高い魔力があるのなら、5歳で分かるはずだけどね」


平民の魔力検査は、貴族と同じ、5歳、8歳、12歳で行われます。

いまだかつて、12歳で魔力があることが分かった子どもは1人も居ません。


「どうなんでしょう?5歳ですからねぇ~やり方を聞いても、きちんとイメージ出来てなかったんじゃないかと思います。」

全員話し方もだいぶ砕けてきていますが、エマだけはいまだに敬語が混ざります。



夕食はレイエス兄妹や、アリアの兄オリバー、そしてエミリーの兄イーサンも一緒です。

「1年のSクラスはナニをするんだい」

そのイーサンが興味津々で聞いてきました。

「オリジナルの演劇よ」

答えたのはカミラです。

「オリジナル?誰かがお話しを作ったの?」

「夏休みの自由研究で、アビーが小説書いてきたの、しかも驚くデキの!」

「それで、その最初の部分を演劇にしようって事になってね、原作、脚本、演出、アビゲイルさん」

「主演も?」


「ヒロインは当然オリビアだろう」

いつもぶれないノアです

「私がやるわけないでしょ、今回は飛行具レースに掛けてるんだから」

「オリビアならどっちも余裕とか言いそう」

オリビアの評価が、この夏でサラに上がったプリシラがそう言うと

「そんなわけないでしょ、それに夏前から練習場使ってるけど、2年の出場者、レベルがかなり高いの!今の私の実力だとおそらく勝てないと思う」

「そうなんだ・・・え!オリビア優勝狙ってるの!」

そう言うカミラだけでは無く、ほぼ全員が驚きます

驚いていないのは、アメリアとノアのレイエス兄姉

こちらはチョット困った顔をしていました。

「当たり前でしょ!ジョンやマットに私に掛けるように言ってあるんだから」

そんな様子など全く気にしないオリビアでした。


実は飛行具レースは、学園主催の公営ギャンブルなのです。

どうして学園祭の催し物がギャンブルの対象に?

もちろん最初は、学生のレースを賭け事にするなど、とんでもない!

そう言う姿勢でしたが

いくら監視しても、極秘に胴元が立ち

レース券が売られてしまいます。



この世界にももちろんギャンブルはあります。

一番代表的なのは、各領地主催で行われる馬車レースです。

ダイタイ2月に1回ほど行われます。

この収益は各領地の領主がきちんと管理しています。

呑み行為などは、かなり厳しき罰せられます。


所が最初からギャンブルの対象では無かった飛行具レース

しかも、馬車レースなどよりも遥かに華やかで、学園祭の時期に王都に観光に来る人数も多い、

どうしても賭けの対象になって仕舞います。


いくら摘発しても無くならない、賭博の胴元

背に腹は代えられず、学園側で国営ギャンブルとして、飛行券を売ることにしました。

学園の取り分は、事務手数料の5%程度。

闇賭博の取り分は3~4割ですから、払戻金の額が違います。

合法で払い戻しが多い、国営ギャンブル。

危なくて払い戻しが少ない方を利用する人は居ません。

あっと言う間に、闇賭博の胴元は一掃されてしまいました。



「単勝は私、連複は私から流しなさい!って言ってあるの」

「オリビア、選手が情報を流すのは、あまり感心しないよ」

公営ギャンブルとなった時点で、出場者の情報はある程度開示されています。

但し、実際に飛ぶ選手からの情報はかなり貴重なので、あまり話さないようにするのが、暗黙の了解です。

「いくらオリビアが勧めても、特別枠の1年女子、2位以内に入ると予想する人はほとんど居ないと思うけどね」

飛行券は一位を当てる単勝の他に、日本の競馬のような一位と二位を当てる連複があります。

券はこの2種類だけ、連単や複勝はありません。

但し枠がないので、連複の組み合わせはかなり多くなります。

払戻金も結構な額になることが多いのです。

飛行券は12才以上であれば誰でも買うことが出来ます。

ジョンソン兄弟の上2人は、買うことがデキルのです。


「兎に角、無理に上位に入ろうとしないでね」

最後に釘を刺すアメリアでした。


「そう言えば、その劇の主役って誰なの」

「あのぅ~私です」

名乗りを上げたのはアリアでした。

「アビーがね、アリアが一番ヒロインのイメージに近いって推したのよ」

アリアは1年女子の中で、一番大人っぽい・・・美女になりかけている美少女です。

何となく全員が納得しました。


「あ!それと、オリビアも何かの役で出るんでしょ」

学園祭の演劇は、基本全員参加です。

「一応ね、一番台詞の少ない役にしてもらった。主人公が出会う街のウエイトレス」

「そうなんだ」

((オリビアのウエイトレス姿か、それはそれで見たいな))

そう思ったレイエス兄姉でした。




「ヤッパリ兄さんには追いつかない」

「いや、いくらオリビアが早くなっても、追いつかれる訳にはいかないよ」

ココはいつもの飛行具レース練習コース・・・ではなく授業の飛行練習に使う校庭です。

学園祭までは2週間を切りました。

2年から4年のほぼ全員が練習に来ているため、狭い練習場だけではろくに練習が出来ません。

毎年中間試験の後から学園祭までは、授業で使う校庭も開放しています。

大勢の学生が、スタート、コーナリング、高低の切り替えなどの練習をして居ます。


オリビア独特のブレーキターンとアクセルターンを組み合わせたようなコーナリングも、

かなりのスピードが出るようになり、外側を高速で回る他の学生と変わらないスピードが出るようになって来ました。

ラインが違うため、混雑時には抜きやすいコーナリングに目を付けた、何人かが挑戦したようですが、

体重の軽さ、魔力量、魔力制御、そしてバランス

オリビアのようにスムーズに曲がる事が出来ず、試して見た全員が、早々にあきらめてしまいました。



「でも、練習場よりもココの方が直線が長いのに、直線では私のこと待ってるじゃない」

「その位のハンディが無くちゃね・・・ところでオリビア、最初に僕とした約束覚えているかな」

急に真面目な顔になるノア

「エ?何だっけ?」

「僕が認めなければ辞退してもらうよ、って言う約束」

「だって、とっくに認めてるでしょ?」

ナニを今更という感じのオリビアですが、今日のノアは全く引きません。

「明後日のにちの日、翌日の地の日は休日で連休だよね」

「エエそうよ」

一体何が言いたいんだろう?


ここアビステル王国にも、年に10日ほど祝日があります。

今度の休日は地の日、日本の感覚では月曜日です。


「二日間一緒に家に帰ろう、領地の方で最終テストをする」

「分かったわ」

見たことも無いほどの真面目な雰囲気のノアに、素直に頷くオリビアでした。



そして、その週末

2人は飛行具を飛ばし、夏にみんなで帰るより遥かに速いペースで帰り着きました。

今日はノアも、学校指定の飛行具を使っています。

突然の帰省に、母のミラ、弟のリアムも最初は驚きましたが、すぐに手放しで喜んでくれました。

デモどうして急に?

疑問を持つ家族に、飛行具レースに出て良いかの最終テストをする旨を伝えます。


昼食後、少し魔力の回復に休んだ後

ノアとオリビアが出かけていきました。

リアムが一緒に行きたがったのですが、ノアが2人乗りの飛行具を使うわけにはイカナイので、屋敷に置いていきました。

少し離れた森の空き地、森の中でココだけが、少し開けた場所になっています。

よく見ると地面には印があり、ポールがさせるようになっていました。

「ここは僕が練習に使って居る場所だよ」

「兄さん、家ではココで練習していたんだ」

「言ったろ、努力してないわけじゃないんだよって」

そう言うと、あらかじめ置いてあったポールを印の位置2カ所に刺しました。


「ヨシ!じゃあココでコーナリングの勝負をするよ、向こう側は左回り、こっち側は右回りね」

「分かったわ」

「今日は僕も直線のスピードを上げる。10周だけの勝負だから、オリビアもコーナー立ち上がりのスピード、全力で加速してね」

「私がフル加速していないってよく分かったわね」

「オリビアの様子と、飛んだ後の疲労具合、それに練習場で手の打ち全部見せるわけ無いだろ」

ニヤッと笑うノア

「流石兄さん、飛行具に関してだけは妙に鋭いわよね」

「まあオリビアの様子だけでもすぐ分かるけどね、いつも見てるから」

「それはそれで気持ち悪いわ!」

少し尊敬の目で兄を見ていましたが、すぐにいつものチョット軽蔑したような目つきになるオリビアです。


「それじゃあココに飛行具を置いて、あの位置まで下がって」

全くへこたれる様子もなく、すぐに切り換えるノアです。

但し、きょうはいつものようにへこたれないと言うよりも、モット大事なことがある!そう言う雰囲気が伝わってきます。

「分かった」

その雰囲気に、オリビアも今日はすぐに切り換えます。

「良いかい、この石を投げるから、地面に落ちたらスタートだよ」

「いつでも良いわよ」

「じゃあ行くよ、いちにのさん!」

高々と石を投げ上げるノア、すぐに走り出す構えを取ります。

カツン

石が落ちると同時に走り出す2人

やはり最初にスタートしたのはノアです。

いつも通りの綺麗なスタート、しかし、実際のレースよりも走る距離が短いので

オリビアもそれほど後れを取りません、すぐに1コーナーが迫ります。


慣れた様子で理想のラインを飛ぶノア

通常のコーナリングで最速で回るには、コーナーマークから有る一定の距離を正確に回るのが理想です。

離れすぎれば、スピードは上がりますが、コーナリング距離が長くなり、時間が掛かってしまいます。

近すぎれば、曲がりきれないため、かなり減速をすることになります。

そして減速しなければ、出口でアウトに膨らみ、一気に抜かれてしまうのです。


理想のラインを飛ぶノアの、内側に飛び込みフルブレーキングをするオリビア。

内側の足を出し、極端なリーンアウトでコーナーマークに擦らんばかりの勢いでくるりと回ると、一気に加速します。

素晴らしい加速で、スピードをほとんど落とさずに回るノアに食いつきます。


2周3周と周回を重ね、必死に追いすがるオリビア

次のコーナーの入口、ふと兄の姿を見失います。

一瞬疑問を感じましたが、そのままいつも通りのターンをするオリビア

一気に加速しようとすると、すぐ隣にノアが迫っています。

そして出口を塞ぐように、オリビアの肩に自分の肩を軽く当ててきました。

「きゃ!」

驚いて悲鳴を上げますが、すぐに立て直して加速します。

それでも大幅に出遅れたオリビア

体勢を立て直した時には、ノアは次のコーナーを曲がっていました。



レースを中断してスピードを落とし、着陸するノア

「ダイジョブかいオリビア」

「ええ大丈夫よ、それによぉ~く分かったわ」

こちらも模擬レースを止め、隣に着陸します。

「混雑する環境では、最初にあんなにアウトにラインを取ることはできないんだよ、内側を押さえられて前に出られてしまうからね、でも、レース後半で一対一になれば最初に大きくアウトに振って、オリビアに体当たりすることがデキル!もちろん今程度の当たりでも十分前に出られるけど、実際のレースでは体当たりはルール違反じゃない!女の子だから遠慮するとは思うけど絶対じゃない!体格の良い男子に高速で当てられれば大けがだ!」


「この方法は気がつかなかったわ。理想のラインの内側は全て空いているスペース、その中で高速に曲がることが出来れば勝機があると思ってたんだけど」

あからさまにがっくりするオリビア

「もちろん、このラインが取れるのは、レースの終盤、最後の1~2周だと思う、それに年中一緒に練習している僕だから気がついただけかもしれない。それでも今年の2年ジョンソン君やワード君なら気がつく可能性は高いよ」

少しでも落ち込むオリビアに厳しいことを言う等と言うことは、絶対にしないノアですが、今回は妹の安全が掛かっています。

少し辛そうな顔をしながら、きちんとした忠告をします。


落ち込んだ表情から、少し考え込むオリビア

しばらくすると、少し表情が明るくなります

「普通のラインで入って一気に内側に詰めることは出来ないわよね」

「それは無理だね、速度を落とさなくちゃならないし、そうしたらオリビアの加速には追いつかない。飛行具レースで相手にぶつかる時は少しイン側でスピードを上げて、アウトの選手にぶつかるようにするんだ。でも内側から来るから、ぶつけてくるの丸見えだしね。大抵はかわされて、ぶつけに行った方が外に流れちゃうんだよ。でもオリビアの場合は、ぶつけてくる方が死角から来る、しかも外から内に来るから肩を当てやすいんだ。肩以外の場所は反則だからね」

「でも私に当てに来るには、今の兄さんのラインしかないのよね」

「僕の考える範疇ではね、それに今のタイミングと早さでなければ、当てに行くことは出来ないな、流石に前を押さえるほど早くは曲がれないし、少しでも遅くなれば空振りになる」

「2年連続チャンピョン、今年も最有力の兄さん以上の考えが出るとは思えないわ。それならどうにかなるかも、もう一回模擬レースしてみて」

「分かったよ」

ヤッパリこのくらいであきらめるオリビアじゃないな

そう思いながらもう一度スタートラインに向かいました。





「どう兄さん」

得意満面で振り向くオリビア

「今のは良かったよ、よく僕の動きに合わせられたね」

「兄さんの話から、私に当てに来るタイミングって一瞬だけ、ズラスことは出来ないって思ったの、だからアウトに膨らんだのが分かれば今みたいに対処出来るわ」

「ウン、その通りだ、後2回だけ模擬レースをしてみよう、その位の魔力は残っているだろ?それで同じように対応出来たら合格だ!」

「分かった、ノア兄さん、今日は付き合ってくれて有り難う。兄さんに教えてもらわなかったら、大怪我してたかも。ほんとに有り難う。」

最大限の感謝をするオリビア

「オリビアが喜んでくれて嬉しいよ」

そう言いながら、オリビアに抱きつこうとするノア

しかし、兄の行動をある程度予想していたのか、サラッと避けてしまいます。

「だから!来るのが分かっていれば避けられるって言ったでしょ!!」

したり顔で兄に罵声を浴びせるオリビア

それでも、いつもよりチョッピリ兄を尊敬するまなざしでした。

読んでくださった方、本当にありがとう御座います

今回は初めて、カッコいいところを見せる兄の会でした。

オリビアの対策は、レース本番で


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