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異世界転生?・・・してませんよ!  作者: 美都崎 里美
第2章 魔法学園編
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第8話 夏休み前にやっておくことがある!

食後、オリビアを除くいつも通りのメンバーで、自習室に向かいます。

自習室に着くと、ちょうど向こうから、オリビアがやってきました。

急いできたのか息を少し切らせて、肩から大きな鞄を提げています。


「間に合ったぁ~」

「それ取りに戻ったの?」

「筆記用具?だけじゃ無いわよね」

「いつもの定規類でしょ」

何をしに行ったのか分からなかった、新しいお友達ですが、幼なじみ2人は、見慣れた光景です。


「そうよ、思いついたらすぐに書いておかなくちゃね♪」

鞄を叩いて胸を張るオリビア

(この世界の紙、比較的上質で助かった、書くものがペンとインクなのが不便だけどね)

「別にここに来なくても自分の部屋でも出来るんじゃない?」

「冷たいなぁ~シャーロットわぁ~」

「まあオリビアが居てくれれば、自主練がはかどるからありがたいわ」

そう言ってくれるアリアですが

「自分の世界に入って私達の事が見えなくならなければね」

やはりシャーロットは辛口でした。


「レイエスです、お願いします」

生徒手帳を見せるレイエス姉弟と上級生組

「今日も大人数だな」

やはり今日の担当は、ミューラー先生です。

「今日は私の兄も居ますので、1人多いんです」

ミューラー先生に軽く会釈をして、一応生徒手帳を見せるアリアの兄オリバー

「サリヴァンも3年のSクラスだから1人面倒見てやれるんだろ」

「そうですけど、妹の魔力がかなり伸びているので、オリビアちゃんがどんな風に説明しているのかなって気になって、時間があるときは自習室に一緒に来て居るんです」

「なるほどな、レイエスは意外と魔法の説明が上手いんだよな。教師の俺でも驚くことがある。ット言うより、毎回驚いてる!」

「まあ、オリビアですからね」

何となく自慢げな態度を取るノア

「おまえはもう少し論理的に物事を考えろ!飛行具と魔力はピカイチだけど、魔法理論は姉どころか妹にも遠く及ばないぞ」

(ホントニ分かってない割には、魔力が高いのよねぇ~ノア兄さんは)


「あ!先生、飛行具で思い出しました。私も配達業務って出来ますか?」

「何だレイエス、配達なんてしたいのか?」

「ハイ!もう暑くて練習場使えないんで、ハンデのある配達用で飛べばその分練習になるかな?っと思ったんですけど」

「なるほどな、課外活動には特別枠はないけど・・・兄の方のレイエス、おまえから見て妹の技術、どんな感じだ?」

「かなりの物ですよ、今年の2年にはかなり早いやつがいますけど、イマの時点で遜色ないと思います」

「そうか、ひいき目無しでか?・・・おまえ、メチャクチャ妹には甘いって噂だけどな」

「本当は危ないレースには出場してほしくないんですけど、止める理由が無いんですよ。遜色ないって採点も、どちらかと言えば厳しく見てですよ」

「そうか、それなら俺から申請しておこう、1年で王都外に出るのは一応禁止なんだが、配達の拠点間だけなら大丈夫だろう。たぶん明日にはOKが出ると思うよ。景気が良くなってるからなぁ~急ぎの荷物が結構有るんだよ」

「有り難う御座います」

喜ぶオリビアに、一言教師として釘を刺します。

「行く場所ごとに地理のテストするからな!おまえにはその方が重要だ!!」




「オリビア、ホントに配達業務するの?」

いつも通り、自習室の一角を占拠するオリビア達

机の端に持ってきた物を並べ始めるオリビアに、そう聴くアリアです

「ええ、飛行具には乗りたいし、いつもの飛行具よりも乗りにくい配達用の方が練習になるじゃない」

「でも、オリビア地理は大丈夫なの?及第点くらいじゃない?」

いつも通り厳しい意見を言うシャーロット

「う・・・痛いところを・・・でも、知らないところなんか行かないわよ、街道が続いているところだけ。だって飛行具の配達って王都の出荷場から他の街の集荷場に行くだけよ、主要街道の上しか通らないもん。あらかじめテストも受けるしね♪」

飛行具での配達は、日本で言う各街の郵便本局間の配達だけです、そこから先は、普通に馬車や人間の脚で配達されます。

配達する物はほとんどは手紙ですが、平民の豪商などが日本の宅配便のように、急いで荷物を送ることもあります。

そもそも通常料金の郵便などは、普通に馬車で配達されます。

飛行具を使った配達を依頼すると、かなりの料金が上乗せされるので、普通は簡単に使える物ではないのです。

手紙ならば3倍程度、荷物になると10~20倍近い金額が掛かります。


「それじゃあ今日も練習しておきましょう、物を動かす魔法の正確さを上げる練習ね、それとノア、あなたは冷却の魔法練習すること!温度差付けるだけじゃダメよ、きちんと水を凍らせるようにね」

「え~僕も練習するの」

露骨にいやな顔をするノア

「頑張ってね兄さん♪」

とびきりの笑顔で兄を励ましておきます。

「分からないことはオリビアに聞きなさい」

「イヤそれは、兄としての威厳が・・・」

「頑張ってね♪ノア兄さん!」

へこみ掛けているノアをもう一度とびきりの笑顔で励ますオリビア

「う、うん・・・オリビアに励まされたら出来るような気がしてきた」

「ヤッパリオリビアに居てもらって良かったわ」


同級生達は、木の枝を繋いだような簡単な人形を動かす練習を始めました。

自習室では当然大きな魔法は使えません。

魔法の精度を上げるため、人形を正確に動かす練習をします。

各パーツを別々に動かして、人間のような動きをさせるのは、かなりの技術が必要です。


「それじゃあ私はココで作業しているから」

「オリビアちゃん、又ナニか面白いこと思いついたの?」

興味津々でたずねるオリバー

「チョットね、この時期に必要な物思いついたから」

そう言うと白い紙に定規を使って器用に図面を書き出しました。


「CADはあり得ないけど、せめてドラフターがほしいわね、その前に製図板とT定規かぁ~・・・その位ならすぐ作れるわね、今度依頼しておこう」

「熱交換は波板を2枚貼り合わせて、その間を水が通るように、溝の間は水が漏れても平気だから、周りだけ漏れないように全周溶接すれば良いわよね、溶接の魔道具は完成してるから出来るはず・・・材質は鉄にするしかナイよねぇ~・・・う~ん錆びちゃうなぁ~・・・ステンが有ればなぁ~???ニッケルとクロムってこの世界にも有るかな?帰ったら聞いてみよう、とりあえずは試作は鉄でいいや」

独り言をブツブツ言いながら、ラフな全体図、それでもある程度きちんとした三角法で書いていきます。

「水の循環はエネポで出来るわね、後ろに風魔道具を付けるようにして・・・」


1人魔法の練習をしないで別のことをして居ますが、チョットしたこつや考え方をみんなに聞かれ、都度答えながら作業を進めます。


「大雑把な外観はこんな感じかな?後は熱交換器の詳細を書かないと・・・兄さん、レイエス領に手紙出したら翌日に着くかな?」

「チョット無理じゃナイかな。明日中に中間くらいにある集荷場に届けて、そこから種分けしてレイエス領内の集荷場に届くのが早くて今日出して明後日、それから配達だから、最短で3日後かな?」

「そうかぁ~夏休みまで後一月弱だから一日でも早く着いてほしいんだけど」

「オリビア、ワイアット兄さんにナニか見せたい物があるの?」

今度はアメリアが聞いてきます

「う~ん、イマ書いてるのが出来上がればね、マダゼンゼン途中・・・明日中にはある程度説明できるようにしたいんだけど、無理かな明後日にはデキルかな?」

「明後日光の日よね、ちょうど良いわ、ノア!オリビアの手紙、日の日にあなたが家まで持ってきなさい!」

「え?」

「あなたの飛行具なら、鐘2つでレイエス領まで着くでしょ、楽に日帰りできるじゃナイ」

「イヤ姉さん、鐘2つって、かなり全力だよ」

「デモできるわよね!」

「・・・」

「オリビアが運んでほしいって言ってるの!出来るわよね!!」

「ハイ・・・」

ココにも姉に逆らえない弟が居るのでした。

「と言うわけで、オリビア、ノアが快く運んでくれるって言ってるから、明後日の夜に預ければ明明後日には届くわよ」

とびきりの笑顔でオリビアにそう告げるアメリア


そこに居た全員が、流石に少しばかりノアがかわいそうになって来ました。

「そうだ、ノア兄様、休みの帰郷予定、ミラおばさまに伝えといていただければ、みんなで一緒に帰れますよ」

さっと助け船を出すアリア、しかし・・・

「別に手紙で知らせておけば大丈夫だけどね。マダ一月有るし」

身も蓋もないオリビアです。

「まあ、ノアからお母様に言っておいてくれれば助かるわ、アリアちゃんとシャーロットちゃんはどうするの?家に寄ってから帰る?」

「そうですね?私はオリビアのところよりひとつ手前ですし、弟妹が待ってるからそこで解散と言うことにします」

見た目妹キャラのシャーロットは3人姉弟の長女です

「私はプリシラと一緒に泊まっていこうかな、兄さんだけ先に帰ってれば大丈夫だから、兄さんお母様達に伝えておいてね」

「自分できちんと手紙出しておけよ」

こちらは、簡単に妹には流されません

「じゃあそれで決まりね♪シャーロットも後で遊びに来てね、カミラ達も誘いたいけどココから反対側だものね」

「そうね、ちょうど反対だから、又王都まで戻ってレイエス領まで行くようになるわね」

「カミラとエミリーはバーンズ領からずいぶんと離れてるわよね、なんで子どもの頃から知ってるの?」

素朴な疑問が浮かぶオリビア

「王都邸が近いの、それにグレイ家とカスバート家は昔からうちの海産物と塩のお得意様なの」

ああなるほど、っとオリビア達がうなずいています。

バーンズ領は男爵家ですが、海産物の取引が盛んで、男爵家としては比較的裕福、きちんと王都に王都邸があるのです。

「レイエス領は海に面しているのよ、それにね、面白い物作ってるんだ、帰るまでには完成してるって、マット達が言ってた」

「マットって・・・ああジョンソン商会の」

シャーロットもアリアも、マット達と面識があります。

「ナニ、又面白い物作ってるの、イマ考えているのと関係あるの」

そして、興味津々のアリアです

「ゼンゼン関係ない、魔道具じゃないし、海で遊ぶ物よ」

「「それ!面白そう!!」」

同時に歓声を上げる、アリアとシャーロット


「おーい!おまえらぁ~盛り上がってるとこ悪いけど、もう時間だぞ、聞こえなかったのか」

「え?そうなんですか」

自習室の使用時間は鐘ひとつ分です。

「気がつかなかった」

「後半ほとんど話して終わっちゃったね」


「レイエス姉、おまえ教職課程なんだから、こういう時はきちんと指導しなくちゃダメだろ」

「ハイ・・・」

((流石の姉さんも、未来の上司には弱いんだな))

同時に同じ事を考えるレイエス兄妹でした。




トントン「オリビア」

翌朝、オリビアの部屋のドアをノックするアリア

「おはよぉ~どうしたの?」

シャーロットもオリビアの部屋にやってきました。

「時間になっても出てこないから寝坊してるかな?って思って起こしに来た」

「全くオリビアは」

そう言いながら、シャーロットがドアに手を掛けると、簡単に空いてしまいました。

「鍵掛かってない、不用心な・・・ット言っても女子寮だから大丈夫かな?オリビア、もう朝食の時間だよ」

部屋に入ると、オリビアが机の上に突っ伏しています。

「チョットオリビア、どうしたの!」

モゾモゾと動き出すオリビア

「あれ?アリア・・・あぁ~今何時!」

「もう6の鐘なった、朝食の時間だよ」

「そう・・・えぇ~まずい!急いで用意する・・・着替え?あ!マダ制服のママだった、じゃあこのままでイイカ朝食行こう!」

「このままでイイカ・・・じゃないわよ!何言ってるのよ、髪はボサボサ、顔にインク着いてるし、このまま行ったら皆驚くわ」

「ホント?チョット待って!」

急いで部屋に備え付けの洗面所で顔を洗い、頭から水をかぶるオリビア

「チョット何やってるのよ、髪長いんだから乾くわけ無いじゃない」

驚く2人ですが

「大丈夫よ」

洗面台に髪を垂らすと

(表面の水成分だけ位置エネルギー増加)

そう念じながら、さっとオリビアが髪をなでると、いつも通りのサラサラヘアーになっていました。

「え?イマ何やったの?」

「髪に着いた水だけ重くしたの、失敗すると髪の毛の水分まで持って行かれちゃうから気を付けなくちゃいけないんだけど」

「イヤ、何言ってるのかわかんないし」

「まあ、オリビアだからねぇ~・・・デモもの凄く便利そう、私も教えてほしい」

「良いわよ、飛行具を扱うのと逆のイメージだから、今度教えるね」

気軽に答えるオリビアですが

(きちんと物理法則から教えないと無理かも?教えられるかな?)

少しだけ軽はずみな返事をしたことに後悔してしまいます。


「もしかしたらず~っと魔道具の設計図書いてたの?ほとんど寝てないんじゃナイ?」

心配するアリアですが

「ダイタイのと頃は書いて力尽きた」

あまり気にすることがナイオリビアです

それよりも・・・

(とても設計図って言える物じゃないけど、大まかな考えは伝わるかな?兄さんなら後どうにかしてくれそう・・・でもヤッパリ、もう少し細かい詳細描き加えないと)

新しい装置のことが気になって仕方がありません。


「それでどんな魔道具なの?」

自分の思考に入り込み、立ち止まりそうになるオリビアに声を掛けるシャーロット

「え?・・・ああ・・・涼しい風が出る魔道具よ、上手く行けば部屋全体を冷やせるかもしれないわ」

「「凄い!出来そうなの?」」

2人が同時に驚きます

「たぶん・・・でも、どのくらい冷やせるかは、熱交換器の効率次第ねぇ~」

「ねつこうかんき?相変わらずオリビアは何言ってるかわかんないわね」

「要するに冷却魔法で作った氷から、効率よく冷風を作り出すって事」

「あ!なんか分かった!冷蔵庫と風魔道具組み合わせたみたいな」

「さっすがシャーロット、その通り!」

「よく分かるわね」

っと、感心するアリア

「ホラ、昨日食堂で思いついたみたいだったから」


流石に朝食の時はほとんどこの3人だけ

さっと食べて授業の準備をします。

「食べたら眠くなってきた」

大あくびをするオリビア

「ダメよオリビア、アリア教室に行く前にもう一度オリビア見張りに行かなくちゃ」

「そうね、コレ絶対寝ると思う!」

「眠くなってきたって言っただけ、絶対寝ないから!」

「「え~」」

全く信用されていないオリビアですが

流石に2人からそう言われては、寝てしまうわけには行きません

部屋に戻るときちんと授業の用意をして、2人を待っていました。


しかし午前中は、全クラス合同の座学、しかも歴史と国語

何度もうとうと仕掛けてしまいましたが

アリアとシャーロットが両脇を固め、授業中ずっとオリビアを見張って居たので

教師に注意されるようなことはありませんでした

もちろん、ただ起きていただけで、授業の内容など、全く頭に入っていないオリビアでした。

1学期はこれでおしまいです

夏休み、当然マット達が作った物で遊びに行きます

ジョンとマットとリロイ

同じ歳は、マット・ジョンソン、ですから

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