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異世界転生?・・・してませんよ!  作者: 美都崎 里美
1章 オリビア 前世を思い出す
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第1話 公爵家令嬢です

普通に一生を送り、老衰で大往生

それなのに、何で異世界転生?

「ココは異世界ではありませんよ」

デモどう見ても?

神林善吉 享年86歳

平均的な工業大学を卒業してから

従業員300人弱の中堅製造会社に就職

定年前の役職は取締役技術部長

(大卒は少ない時代でしたので、自然と役員になりました)

定年後75まで嘱託として会社に残り

社員の指導に努めました


31の時に同じ会社の4歳下の女性と結婚

33で長男が生まれ父親となり

その後生まれた二人目の女の子との4人家族

夫婦2人で必死に2人の子どもを大学卒まで育て上げ

還暦過ぎた辺りから、夫婦2人暮らし


退職後も比較的元気に暮らし

余り大きな病気もしませんでした

まさにピンピンコロン

周りに迷惑を掛けることのない幕引き

かなり良い人生、思い残すことは特にない、大往生!

転生なんぞ望まない!

この人生だけでわしはもう満足だ!!






そんな記憶を12歳の誕生日の朝に思い出しました!






目を覚ますと豪華なベッドの上でした。

まるで貴族のお嬢様のようです。

それもそのはず、今の私は公爵家のご令嬢です。


今まで生きてきた12年間の記憶もきちんとあります。

でも昨日とは違う前世の記憶も混在しているのです。

どちらかというと、私自身は私自身、昔のことをただ思い出しただけ・・・

そんな感覚です。

そして、何故今日、12歳の誕生日に思い出したかも、はっきりと分かっていました。


それでも、かなりの混乱はあります。

すぐに起き上がることができません。

どうにか身体を起こしたものの、そこから動くことが出来ません。

ベッドの上で起き上がった姿勢のままボ~ットして居ると、鐘の音が聞こえました。

アレは朝6時の鐘、

今まで通りいつも朝起きる時間です。

そういえば、時間って前世とあまり変わっていなかったのねぇ~

程なくメイドが来る頃だなぁ~

ココの一日は20時間

時計はありませんが、専門の人間が太陽と方角そして日付から正確に時間を割り出し、鐘の音で伝えます。

朝の6時は前世の朝6時とほぼ同じ感覚です。

1年は468日、1ヶ月39日の12ヶ月

太陽までの距離が、前世の地球と余り変わらないので、公転周期もほぼ同じ。

自転が同じくらいだったのが、前世を思い出した身には、少しばかり助かります。

たぶん、ある程度同じような条件でないと、同じような人類は生まれないのでしょう。


10進法が普通のこの世界で、1年が12ヶ月なのは、大昔に暦を決めたときに

ちょうど12で割り切れるので、12ヶ月にっと、決まったそうです。

10ヶ月にしようとする意見も合ったそうですが・・・

ムリに両手の指の数にするよりも、毎月同じ日数の方が都合が良い。

そんな取り決めがあったそうです。


1年が前世のダイタイ1.28倍なのですから、

12歳の誕生日と言っても元の世界に換算すると、15.36歳

なりたてJK!大人になり始めた少し難しい年頃と言った感じです。

もちろん一日の時間も全く同じでは無いはずですが、感覚的にはあまり変わっていないようです。


そんな事をつらつら考えていると、ノックの音がしました。

「失礼します。お嬢様お目覚めですか」

メイド服姿の若い女性が入ってきました。

「メアリ、おはよう」

ナンの違和感もなく、普通に朝の挨拶をする私。

「あら?お嬢様まだベッドの上ですか?」

「ちょっと考え事をしていてね」

「また何か新しい発明ですか」

「そんなに次々いい考えが出るわけないじゃない」

「レイエス家の天才妖精姫といわれているお嬢様ですからね、驚くようなことを考えられていても、私は驚きませんよ」

なんとなく矛盾することを言いながら、朝の用意をするメアリ

「やめてよその言い方は」

「そうですよね、お誕生日おめでとうございます。妖精は卒業、立派な淑女ですね」


そう、私の名前は、オリビア・ド・レイエス

アビステル王国、4公爵の一つレイエス家の第4子にして次女、

これでも、公爵家令嬢です。

物心ついたコロから、他の子供と違い、計算能力が桁違い

図形に関しては新しい発見をするほどでした。

1カ所の角度が円の1/4の角度を有する三角形、斜辺と垂辺を1:2にすると角度も1:2になる

8歳の子供の考えとしては驚くべ発見です!

本人からすると、3辺の長さが同じ三角形を半分にしただけだから、当たり前じゃない

気がつかない方が不思議?

その程度の感覚でした。

今思えば、前世の記憶が影響していたためでした。

(ピタゴラスの定理なんて当たり前よね)

それから直角二等辺三角形と半正三角形の定規が作られ(もちろん木製ですよ)、職人に非常に重宝されました。

そしてサラにその後に、三角形の角度の和がちょうど平らになること。

そのコトから、角度は360分割すると、非常に便利であること。

等など!

今までは「こんな感じで、このくらいの角度で」実に抽象的な指示をしていた世界から、正確にモノを伝える事を推奨、取り決めてしまいました。


さらに、温度計はあったものの、メモリがバラバラ

氷水と沸騰したお湯は、分量に関係なく一定の値になる事を発見!

これを100分割して1度とすることを推奨しました。


記憶を思い出してみれば

ただ端に水の融点と沸点を指摘しただけ

アンデルス・セルシウスがやったことそのままですね♪


しかしこれもこの世界では画期的

水の温度上昇で魔力を測っていたことも有り

大変重宝されました。


そして妖精と言われるその容姿

海に面したココの土地柄、少しばかり肌の色は黒いのですが

流れるような銀髪にお人形のような小さな顔

美しく長い手足に、だいぶ女性らしさが見え隠れしてきた身体

妖精と言われても誰も否定する者は居ないでしょう。


(確かにもの凄い美少女ね)

鏡の前で着替え、髪の毛を整えられていると

前世の記憶が混じった目線で、そんなコトを考えてしまいます。

ちょうど着替え終わったころ、バ~ンッと勢いよくドアが開きました。

「お誕生日おめでとうオリビア、今日もかわいいわねぇ~」

入ってきたのは5歳年上の姉アメリアでした。

オリビアには余り似ていない、金髪碧眼、少し派手目の美人です。


私には兄弟が居ます

兄2人、姉1人、そして弟の5人兄弟です。

ただし兄と姉は異母兄弟、私と弟とは母親がチガイマス

私たちの母親は、元々レイエス家で侍女として働いていた男爵家の4女


まあ言うならば、旦那様のお手つきです。

母の名前は、ミラ

奥様である、ソフィア様とはタイプの違う美人です

いかにも高位貴族の奥様らしい、華やかな美しさのソフィア

それに対して、ミラは清楚な印象の美人

世の男性全てが護ってあげたくなるような透き通った美しさです。


そんなタイプの違う美人侍女に手を出した旦那様に、

奥様は怒髪天を突く壮絶な怒りを!・・・あらわにすることはなく、

(もちろん、旦那様は相当攻められましたよ)

「我が家は公爵家、しかも成り上がりと揶揄されることも多い家柄、兄弟は多いに越したことがありません。王族と公爵家には側室が認められています。ミラをあなたの側室になさって下さい」


自分の身分は侍女のママ、子どもは婚外子扱いで結構です。

出来ればこのまま侍女として働かせて下さい

お屋敷においていただけるなら、私が育てます。

謙虚なミラがそんなお願いをしましたが、

この娘は公爵家の血を引く物です、公爵令嬢として扱うべき!

ソフィアの強い願いに押し切られ、ミラは側室に収まりました。


その後、体調を崩しがちだったソフィアは、公務もミラに任せ

療養生活をしていましたが、数年で帰らぬ人となりました。

亡くなる直前まで、ソフィアとミラの関係は良好で

「あなたがいれば安心です。後は頼みましたよ」

それが、ソフィアの最後の言葉でいた。


喪が明けて1年、ミラは公爵家の正室となりました。

本人は側室のママでと、願っていたミラでしたが

ソフィアの遺言と言うこともあり、公爵夫人となりました。

前妻が存命の間はおとなしくしていたミラですが

正妻になった途端に横暴な振る舞いが目立つ!

等ということも無く

前妻を偲びながら、家族7人、仲良く暮らしていました。


ミラはその外見通り

おとなしくしとやかな女性でした

自分を認めてくれたソフィアのことは、大変尊敬しており、

その子どもも、分け隔て無く愛情を注いでいました。


しかし、2人の兄ワイアットとノア、そして姉のアメリアはと言いますと。

後妻の子、しかも元は下位貴族の女性から生まれてきた2人の兄弟を、ことあるごとにいじめ倒し・・・

等と言うことも無く、ごく普通の仲の良い兄弟として育ちました。

特に姉のアメリアは、美しいオリビアのことを猫かわいがり、

アメリアも貴族らしい美しい少女ですが、ミラの透き通るような美貌と、高位貴族の華やかさを受け継いだオリビアは、幼少時から群を抜く美しさでした。

さらに10歳の頃には、少しずつ女性らしさが体型にも現れ、いずれは傾国の美女になる・・・ット言われるほどの美少女に育っていました。


メアリに付き添われ、姉と一緒に、同じ階にある広間に移動します。

レイエス家では、朝と晩はなるべく家族全員で食事を取るようにしています。

兄と姉が学校に行くようになり、父と上の兄は領地を飛び回っていることも多いので、本当に全員が揃うのはだいぶ少なくなってしまいました。


家族の食堂として使用している広間には、30代くらいの美しい女性と、元の世界の感覚では小学生くらいの少年がすでに待っていました。

「おはようオリビア、誕生日おめでとう」

「誕生日おめでとう、姉さん」


「お母様ありがとう、リアムも有り難うね」

そう言いながら、弟の頭をなでて席に着くオリビア

「止めてよ、子ども扱いするのは、ボクだってもう9歳なんだから」

チョット憤慨するリアム

「そうやって怒ってるリアムもかわいいわぁ~」

今度はアメリアがそう言いながら頭をなでます。

「も~アメリア姉さんまで」

そんなやりとりをしていると、広間にもう一人若い男性が現れました。

「お!今日もみんな仲が良いなぁ~、オリビア誕生日おめでとう、来年からいよいよ学校だな!」

「ノア兄さん帰ってたのね、有り難う♪そうなの、いよいよ学校なんだ、本格的に魔法が使えるよ!」

今日はにちの日、日本で言う日曜日です

全寮制の王立魔法学園に通っている兄ですが、たった一日しかない休み、

それでも妹のために、急いで帰ってきていました。


因みにこの世界にも曜日に当たる物があります

地水火風心光日、太陽の日である日の日は、学校や役所などがお休みになります。


「お父様とワイアット兄さんは?お出かけ?」

「昨日から領地の外れの方に出かけたわ、今晩には絶対に帰るって言ってたわ」

「お父様も兄さんも、オリビアには甘いからなぁ~」

「ノア兄さんだって姉さんには甘いじゃないか、ボクには厳しいくせに」

姉2人にいじられていた末っ子は、何となく兄に反発します。

「おまえは公爵家の男子だ!厳しく教育されて当然!それが俺の優しさだと思え!」

仲の良い兄弟ですが、そこは男同士!

そして、兄貴風を吹かせたい年頃のノアです。


「でも兄さんいつの間に帰ってきたの?」

「昨日の夜、もちろん真っ暗になる前な・・・鐘2つ分近く全力でぶっ飛ばした!」

「え?そんなに?大丈夫だったの?」

「僕の飛行具はスピードが出るように工夫しているからね」

平均して子爵以上の貴族は飛行具というモノを所有しています。

形状も使い方も、魔法のほうきのような物ですが、

兄の自慢の飛行具は、どれにでも付いている腰掛けと、足かけ台、操縦バー(まあ要するにハンドルです)

その他に、風防、そして魔力ブースターという魔方陣が付いています。


「でも鐘2つ分くらい全力って、いくらノアでも魔力切れを起こしますよ、タダでさえあなたの飛行具は燃費が悪いのですから」

「大丈夫だよ母さん、自分の許容範囲はちゃんと把握してるからね」

安心してよと、母親ににっこり微笑むノア

「ノア様は昨日お帰りになってから、今朝までズ~ットお休みでしたよ」

「あ!メアリ、バラすんじゃ無いよ!」

少しばかり慌てるノア

「それで帰って来たのに気がつかなかったんだ、全く兄さんは、無茶ばっかりしてぇ~嫌いになっちゃうわよ」

「そんなコト言うなよ、お兄ちゃん急いで帰ってきてくれて有り難う。って抱きついてきて良いんだよ」

「もう12歳なのよ、抱きつくわけ無いじゃない」


オリビアに冷たくあしらわれ、目に見えて落ち込むノア

並べられた朝食を、もそもそと食べ始めました。


「オリビア、流石にノアがかわいそうだから、有り難うくらい言ってあげなさい」

「有り難う姉さん、あれ?デモ姉さんはいつ帰ってきたの?」

そうです、王立魔法学校は5年制です

5歳上のアメリアは現在5年生、昨日まで学校に居たはずです。

そして明日の朝、ノアと同じように夜明けと共に帰らなければイケないはずですが、

「私5年ですからね、それに今は卒業準備期間、毎日講義があるわけじゃないのよ、昨日の内に帰ってきたわ。明日も学校に行かなければイケナイのは午後からですからね。大体この時期2~3日実家に帰るのは研修扱いになるんですよ。知ってるでしょ」


学校を卒業した魔術師がする仕事

当然、貴族としての職務です。

実家の仕事をすることが、インターンのような扱いになります。

もちろん、授業の一環、レポートの提出は求められます。


「そ、そう言えばそうだった・・・でも、オリビアが入学と同時に卒業ですよねっ!ねえさん♪僕は来年4年生だから2年は一緒に通えるよ」

「甘いわねぇ~私、来年から教職課程に進むことにしているから、あと2年は学校に通うわ、その後はオリビアが卒業するまで教師として学校に残るから」

思いっきりどや顔をするアメリア

「え~何時決めたの?母さんは知ってるの?」


「私も昨日聞きました。ホントに・・・事前に相談もしないで・・・デモ、女性が手に職を付けるのはとても良いことだと思いますけど・・・イライジャ様は納得されたの?」

イライジャ ツー ブルックス 侯爵家嫡男

アメリアの婚約者です

「もちろんよ」

(有無を言わせませんでしたけどね)

「ブルックス侯爵は?」

「婚約者が王立魔法学園の教師というのは箔が付く、って言ってくれたわ♪」


「父さんは?」

「たぶん母様やブルックス侯爵と同じこと言うと思う。それに、オリビアの面倒見たいからって言えば賛成するに決まってるでしょ」

サラにランクアップしたどや顔で答えるアメリア

「う~んそうだよねぇ~・・・それにしても、よく教職課程に進めたよねぇ~姉さん以外と頭良かったんだ」

「失礼な弟ね!ちゃんと条件は満たしているわよ、試験も無事に通ったし」


魔法学園の教師になるには、申請する段階で資格がいります。

申請できるのはAクラス以上で、座学の成績が学年10番以内、サラに筆記試験と面接

採用されるのは毎年多くて1~3人程度、採用者無しの年もザラにあります。極めて狭き門なのです。


「あ!そしたらボクが入学したときは姉さん2人とも居るんだね」

「え~、リアムが入学してくる頃は、私教師だから、ビシビシ鍛えてあげるわよ!」

「なんで僕には厳しいのさ!」

「リアム・・・姉さんには逆らわない方が身のためだぞ・・・そうだ!僕も教職を取ろうかな?」

「あなたは座学で、30番以内になったことないでしょ、飛行具だって魔改造とか言ってるけど、魔方陣書いたのワイアット兄さんじゃない」


「・・・・」

姉にやり込められ、ぐうの音も出ないノア


何となくいつも通りの光景だなぁ~

そうは思った物の、少しばかり兄がかわいそうになったオリビア

「でも、ノア兄さん家で一番魔力が強いじゃない、それでなければ今日帰ってこられなかったでしょ」

「アラ、学校に入ったら魔力はオリビアにだいぶ迫られそうだって、言ってたんじゃなかったかしら?」

追い打ちを掛けるアメリア

「そ、そうだわ、兄さんの飛行具、赤く塗ると普通の飛行具の3倍の速さになるわよ」

「ホントか!」

必死に話をそらすオリビア、そして簡単に信じるノアに

「そんなわけ無いでしょ、どっから出てきたのよ、そんな考え」

ぴしゃりと言い放つアメリアでした


どっから出てきたんでしょうね?

昨日までは知らなかったことですからね♪

見てる物がうっとりするような、笑顔で微笑むオリビア。


家族仲いいのは、イイコトです。

良い家に生まれ変わって良かったわ。

そんなコトを考えながら、朝食を取るオリビアでした。

読んでくださった方、有り難う御座います。

そして、こちらでは初めまして

美都崎里美ともうします(本当は初老のおじさんです)

今回はこちらに投稿したくなりましたので、

全くそう言う要素はない話にしてみました。

ただしTS物であることは譲れませんでしたけどね♪

ついでに、今までの異世界物とは全く違う内容にしてみたつもりです。


次の話で、この世界のこと、魔法のことが詳しく出てくる予定です。

引き続き読んでくださる方、

楽しみにしてください。

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