作戦開始
橙の園、南側に位置する丘に火山の国の兵が陣取っていた。
黒い甲冑を身にまとい、威風堂々と、橙の園を見据えているのはロシェ。
そして、赤い服を着たアウルムだ。
「準備ができたみたいね。」
東西の山から狼煙が上がる。
それを見て、アウルムはにこりと微笑んだ。
「絶対に、俺から離れないでくださいよ。」
「分かっているわ。っていうか…。」
ちょいちょいと、ロシェの袖を引っ張り、しゃがむように促す。
しゃがんだロシェの背中にアウルムはしがみついた。
「私、あんまり歩けないし…あんたに背負ってもらうことにしたから。」
アウルムの我が儘には馴れっこなのか、ロシェは静かに溜息をついた。
「…振り落とされないでくださいね。」
「大丈夫。あんたが守ってくれるんでしょ?」
「…ふう、全軍突撃開始だ。派手に暴れてこい!!」
「…はじまったか。」
「王子、我らも向かいましょう。」
東の山で待機していた草原の国、ローレルとアカンサスの軍は火山の国兵が突撃したのを見て、そう呟いた。
「王子のことは隠密部隊が身を挺してお守り致します。」
姿こそ見えないが、ローレルを守るために草原の国王族直属の隠密部隊が控えていた。
「…ありがとう。でも私のことは、あまり気にしなくていいよ。私なんか気にせず、隠密部隊は橙の民の一般人を保護することに専念してほしい。
「お優しいのですね。王子。」
アカンサスの言葉にローレルは曖昧に微笑んだ。




