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美容院に行ってきてください

公園へ向かった日から二日程経つとたしかに口座に金は振り込まれていた。


缶コーヒー代の120円と引き換えに1万円の報酬を得た三郎は次の指示があるというまでの間、現在の異常な状況に疑問を抱きながら様々なことに思考を重ねた。


相手の目的はなんなのか、相手の正体は誰なのか、いつまでこの指示は続くのか、そしてはたして公園にいたワンピースの女性は三郎を監視していたのか。そのどれもが分からなかった。


そんなことを考えているうちに日にちはあっという間に過ぎていった。数ヶ月前に始めたブログもすっかり更新をしなくなっていた。

今の三郎が気になるのはブログのコメントよりも仕事依頼主からのメールであった。


先日の仕事は簡単なものだったが次はもしかしたら恐ろしい指示が来るかもしれないと恐怖心もあった。


三郎は伸び放題の髪をかきむしりながら考えた。



そしてこの前の缶コーヒーの仕事からちょうど一週間、今日は次の仕事のメールが来る日だ。


三郎はまだ日の上がらないうちに目が覚めてしまった。たしかに報酬は貰えたが引き換えに不安なことや恐怖心が増え全くわりに合っていないと思った。できることならもうこんなことは辞めてしまいたいと。



しかし相手からのメールはそんなこと構うことなく送られてきた。


内容は


『おはようございます。先週はお疲れ様でした。さて、今回のお仕事ですが美容院に行って髪をカットして貰ってください。カット代として5000円振り込んでおきますので。それではよろしくお願いします』


というものだった。


先週も思ったがますます理解に苦しむことになった。しかし相手の言う通りにしないと住所が割れている以上本当に殺されてしまうかもしれない。三郎をつき動かすのは恐怖心のみだった。



三郎は自分で髪を切っていたので美容院に行くなど10年近くない。自分で切るといっても肩ほどまで髪が伸びたら適当にハサミを入れて切るだけなのだが。

なによりも三郎は美容師と会話をすることが酷く苦手だった。


しかし命もかかっているので渋々重い腰を上げた。



そしてまずは銀行へ金を下ろしに向かった。



別にやましいことはないが三郎はできるだけ人の視線を浴びたくなかったので駅の近くの美容院は避け郊外にある場所を選んだ。



さほど大きくもない建物で椅子が三つほどしかない小ぢんまりとした美容院に見えた。

三郎は美容師と会話をしなければならないので気が重いからかドアまで重く感じられた。


中はよく掃除されているといった感じの綺麗な雰囲気だった。先客もいないようで人の視線もあまり感じることなく済みそうだと三郎はとりあえずホッとした。



ドアの開くベルの音で奥から美容師が出てきた。

三郎はその美容師の姿に驚くこととなった。


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