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お仕事紹介します

更新頻度は多くないですが良ければよろしくお願い致します。

『俺は高田三郎。30歳、無職、童貞だ。今回はみんなに俺の生活を教えてあげようとブログを始めてみたいと思う』


たいした内容もないのにブログを始めようと暗い部屋でキーボードを叩くこの男が高田三郎だ。


三郎は兄が二人いて銀行員とかたや公務員の職業に就いている。

優秀な兄が二人もいるにも関わらず三郎は無職なのだ。


幼い頃の三郎は物覚えも良く両親からも将来が期待されていた。

しかし内向的な性格からか中学に上がると徐々に学校を休むことが多くなってきた。

なんとか出席日数は足りて高校へ進学することができたのだがそこでも人との関わりが上手くいかずほぼ引きこもる生活を送るようになってしまった。



それでも家族周りの視線もあり大学受験を試みたが三度失敗。しかたなく就職活動を行うため上京するも全く良い結果は返ってこなかった。

両親からは「なんとか働く場所が見つかるまではそっちで頑張りなさい」と距離を置かれ現在は家賃2万のボロアパートに住んでいる。


しかし就職活動をするわけでもなくバイトをするでもないまま今年30歳をとうとう迎えてしまった。

三郎とは距離を置いた両親だが仕送りはしてくれるようで現在はそれだけで生活をする始末である。



そんな三郎も日々の生活に虚しさを覚え始め出会いを探す目的でブログを始めたのだった。


(こんな俺でも気が合う人がいるかもしれない。今までの奴らはたまたま気が合わなかっただけだ。もしかしたらこのブログのコメントのやり取りをしているうちに相手が俺のことを好きになってくれるかも)


と、はたから見たらそんなことありえないという妄想までしていた。



三郎は自分の生い立ち、趣味などを綴った内容のブログを毎日更新し続けた。

そして30分ごとにブログの閲覧数、コメント数を確認した。


しかしいつ見ても閲覧数は一桁、コメントはゼロと目も当てられない結果になった。




そんなブログの更新と確認をしてから三ヶ月以上経ったある日のこと。

三郎は趣味のテレビゲームをしていた。時間だけは無限にある三郎はこれに半日もの時間を費やすのだ。30分ごとに確認していたブログも徐々に飽きてきてあまり確認の作業をしなくなってきていた。コメントも相変わらずゼロのままだった。


テレビゲームに一区切りついたところで久々に自分のブログを覗いてみるとコメント一件の表示があった。見間違いではないかと何度も目をこすったが間違いなく一件のコメントがついている。


三郎は持っていたテレビゲームのコントローラーを放り投げコメントを表示させるためマウスをクリックした。


早くコメントを見たい三郎にとってパソコンの読み込み時間ですら煩わしく思った。


そしてコメントが表示された。




『あなたに合ったお仕事紹介します。指示されたことをするだけの簡単なお仕事です』


コメントを見た瞬間に三郎は落胆した。


(よくある迷惑メールみたいなもんだなこれは)


そう三郎は思った。


しかしせっかくの初コメントだからととりあえず返事を書いてみることにした。


『せっかくのお誘いですがお断りさせていただきます』


三郎はこんなものかと感じながら再びテレビゲームを再開する。



それでも一回コメントがついたんだからもしかしたら別の人からもコメントがつくかもと安易な希望を抱いてしまい再度ブログを確認するとコメントが新しくついていた。


また気分の高揚してきた三郎は嬉々としてコメントを確認する。



しかし新しいコメントは驚くことに先程の迷惑コメントかと思われた者からだった。

しかにその内容はさらに驚くべきものだった。


『そうですか。でもあなたには断る権利はないですよ。だって断ったらあなた、死んでしまいますよ』


なんとも恐ろしい脅迫文のようになっていた。


三郎はすぐに返事を返した。


『そんな脅しみたいなことはやめてください。死ぬわけないでしょ?』


するとすぐにまた返事が書かれた。


『本当ですよ。私があなたを殺します。信じられないなら明日あなたの家に贈り物をします。そうしたら信じてもらえるかと思いますので』


三郎はブログで趣味などは書いたが住所は書いた覚えがないしただのいたずらだと思ってもう返事を書くのをやめた。


そして夜も深くなったのでベッドへ向かった。しかしあのコメントには妙に確信めいたところがなくはなかったので気になってしまった。


仕事の内容はなんだったのか、殺すとしたらどうやって殺すのか、贈り物とは一体なんなのか様々なことが頭に浮かんでくる。


三郎はなかなか寝付けなかった。

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