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魔法少女アミノさん!

作者: 海棠 琴梨
掲載日:2017/04/02

魔法少女アミノさん!




いつもの柔らかな活気は姿をくらまし、どこか気持ちの悪い熱気に包まれた商店街にひたすら、気持ちの悪い声が響いた。


「ぎゃはははは! この商店街をもっともっと熱くしてやる!」


 野太い声は大きな岩石を無理やり人の形に固めたような体に輝かんばかりの白いタンクトップをまとい頭にはテニスのラケットを鉢巻きで…とにかく人間の装いではなかった。そう、やつは人間ではなく、市民の生活を脅かす怪人なのである。


 怪人が手を挙げればそれだけで、商店街の気のいいおっちゃん、おまけをしてくれるおばちゃん、近所のうるさい犬たちは目を空ろに輝かせ、雄たけびをあげる。


「どうだ!これがお前たちの望んだ熱気あふれる商店街だ!!!」


 どや顔の怪人がこぶしを握ると、商店街はさらに気持ちの悪い熱気に包まれる。



 そんな怪人の前に立ちはだかるちいさな影が一つ。


「出たわね!怪人シューゾー! この商店街は好きにさせない!」


ちいさな少女がポケットから何かを取り出し、掲げ叫んだ。


「あみのかるぼきしるきいどろジェーン 側鎖でちぇーんじ!」


 瞬間、大きな光が少女を包んだかと思うと、

「魔法少女アミノさん! 見☆参!」


装いをまるっきり変えた魔法少女がそこに現れる。フリル満点のドピンクなロリータ服に、金髪のツインテールにはこれまたドピンクなシュシュ。何枚もレースの重なるスカートにはアクセサリーの連なったチェーンが装着されている。



「この私が来たからにはこの商店街は好きにはさせない!」


ビシィッとアミノさんが怪人を指さした。


「それさっきも言ったぞー」

「え!?……そんなことどうでもいいのよ! いいから私と戦いなさい!」


 慌てるアミノさんこんなヒーローで大丈夫か?


「大丈夫よ! 問題ないわよ!」


メタ発言自重しろwww


それでは戦闘シーンいってみよー!



「くらえ! 《怪人の熱視線》!」


怪人が気持ち悪い視線をアミノさんに向けると、途端に紫色のナニカがアミノさんを包み込み、


「うっ…。き、気持ち悪すぎて体調がぁ…」



「ふはははは!アミノさんといえども熱視線にはかてないぞ!」


ニヤニヤと怪人がこちらを舐めまわすように見ているぞ!どうする!?アミノさん!



画面の前のみんな固唾をのんだ瞬間、アミノさんがスカートの中に手を突っ込むとそこからはなんと可愛らしいロリ仕様のミニハットが!女の子がそんなところに何を入れているんだ何を!


「追加プロテイン! 瞬間回復! ≪しゃっぺろ~ん≫!」


 透明なバリアがアミノさんを包み込むと、怪人の熱視線は風に吹かれたように霧消した。



「ふふーん!組み変わってしまったアミノさんをシャペロンは包み込んで直してくれるのよ!こんな攻撃はもうきかないわよ!」


「ぐぬぬぬぬ!なんだとう…!もっと、もっと熱くしなくては…!

 ≪モットアツクナレヨ!!!≫

≪モットアツクナレヨ!!!≫

≪モットアツクナレヨ!!!≫」



怪人シューゾーが叫ぶと、怪人の筋肉がにわかにムキムキと盛り上がり、気持ち悪いことに、タンクトップがはじけ飛んだ!!!本当に気持ち悪いぞ!!!



「させないわ!!! 必殺プロテイン! 冷却効果!!!≪カテキン効果≫!!!」



 アミノさんが叫ぶと一帯に緑色の風が巻き起こる。


「ああ、緑茶のような安らぎ…」

「火照っていたからだが冷えていくわ…」

「落ち着くなあ…」


 するとたちまち気持ち悪い何かに侵されていた商店街の皆さま正気に戻る。



「なんだ…と? きさま!何をした! ううっ。俺の体も冷えていく…だと?」

「カテキンには実は余計な熱を冷ます効果があると言われているのよ。だから、あなたも人並みの温度まで、さがるわ」


 言うがはやいか、みるみる表情を変えていく怪人シューゾー。いや、肉屋の跡取り修造。そこに気持ちの悪い空気は残っていなかった。


「ああ、俺は何を…。ただ、ただ俺はこの商店街を活気づけたくて、ただそれだけで…」


「わかっているわ。大丈夫。あなたはあんなにも熱くならなくてよかったのよ。これからは人並みの温度、そうね、40度を超えないくらいでがんばればいいの。今後は気をつけるのよ」


「ああ、ありがとう。アミノさん!俺、頑張るよ!」



「お礼なんていらないわ!商店街の平和を守るため、おいしいたんぱく質をとるためなんだから! それでは、さらば!」


アミノさんは、走り去る。




ありがとう!魔法少女アミノさん!

 これからも彼女は商店街の平和を守り続ける!

 次回!「PHの高低差」お楽しみに!




――一方そのころ

「脱アミノー!」

 アミノさんは変身をとき、善良な少女、網野さんへと戻っていた。

「毎回毎回、熱と㏗とばっかり…。他の敵は出てこないの?飽きたんだけど」







 




はいはい、じゃあ、いつものテーマ発表行きまーす。ズバリ『生物で魔法少女作れるんじゃね?』です。もちろん、生き物って意味じゃないよ。科目的な生物だよ。あとで語録のせますけれども、生物の内容ってすっごく擬人化しやすくてね。これの構想練ってた頃は先生の話す言葉がすべて設定にしか聞こえなかったあ…。


【語録】

アミノさん…アミノ酸。アミノ基とカルボキシル基の官能基をもつ有機化合物の総称。

あみの…アミノ酸を構成する物質。アミノ基。20種

かるぼきしるき…アミノ酸を構成する物質。COOHのこと。

いどろジェーン…アミノ酸を構成する物質。イドロジェーン(水素)

側鎖…アミノ酸との組み合わせによって出来上がるたんぱく質が変わる。

怪人の熱視線…たんぱく質は熱に弱く、40度を超えると変性をはじめ、さらに温度があがると失活にいたる

しゃっぺろ~ん…分子シャペロン、たんぱく質シャペロン。折り方の間違ってしまったたんぱく質を包み込み、正しい形質にもどす働きがある。

カテキン…緑茶に多く含まれる。体を冷やすかどうかは眉唾。

PHの高低差…たんぱく質は㏗がかわると、熱と同様に、変性、失活を始める。

脱アミノ…脱アミノ反応。人間の肝臓でアミノ基が取り外されアンモニアへと変化する、アミノ酸分解の過程である。


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