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「アッキー、なんであの二人に会ったことあるって私たちに言わなかったの?」

私のものすごい剣幕に怯えるコンちゃん。たまたま同席しただけなのに気の毒な人。

「二人じゃないよ。二人のうちの一人だけだよ。髪の短い方。」

そんなの言い訳にならない。

「晴ちゃんと田益が別れた後あいつから電話がかかってきたんだ。遊びに来ないかって。あいつと俺は古い付き合いだからさ。」

私を裏切ったような気持ちになって言えなかったらしい。なんだかアッキーを笑っちゃいそうになり、私の怒りは妙におさまった。

「で、遊びに行ったの?」

「うん。晴ちゃんごめんね。」

謝らなくてもいい。

「あいつのアパートに行ったら、あいつ一人じゃなくて彼女もいた。どうやら彼女に会わせたくて俺を呼んだらしい。彼女の顔を見た途端、怒りがこみ上げてきちゃってさ。それが顔に出たみたいであいつが顔色を変えて、あわてて彼女に先に車に行ってるように指示した。」

アッキー、怒ってごめんなさい。やっぱり貴方は幼なじみだ。

「俺は新しい彼女なのか聞いたら、「パートナーだ。」と言いやがった。」

「はあ?パートナー?彼女とは違うパートナーとて何?」

「おそらく体の関係はあるけど、愛してはいない。お互い一緒にいた方が都合がいい利害関係で結ばれている関係だと理解した。だって彼女があまりにも俺の知っている田益と不釣り合いだから。」

確かに状況からして新しい彼女としか思えないのだが、私が見ても彼女は翔に合わない。私が彼女に嫉妬をしているからそう見えるのかと思っていたが、アッキーにもそう見えたのか。

「あいつ俺の気持ちがわかったのか、俺に対抗するように晴ちゃんの悪口言い始めた。晴ちゃんにはとてもじゃないけど言えないヒドいことばかり毒ずいてたよ。」

聞いてみたいような、聞きたくないような。聞いたらきっとものすごくショックだろうから、聞かないこととする。アッキーも話したくないようだし。

「怒り頂点に達して一言言ってやろうとしたら、言わせないようにアパート出て車に乗りやがった。俺が追いかけて行ったら、彼女が車のドアを開けて。日帰り温泉に行くことになってたようで。何も知らない彼女の前で晴ちゃんの話できないから、無言のまま温泉の後ラーメン屋行って帰って来た。」

その時のアッキーの怒りがものすごく伝わってくる。聞いていた私もまた再び怒りがこみ上げてきた。ただ一人翔に同情したのがコンちゃん。

「まあまあ。どんな女にしろ、田益が選んだ彼女なんだから、俺たちは心よく受け入れるべきだよ。」

確かにあんたの立場だったらそうだろうけど、それ私の前で言う?この人とことん鈍いわ。

「アッキーの話はわかった。話は戻るけど、彼女たちの話で一番良くわからないのは、なぜ翔は事業を始めなかったのか。彼女だかパートナーだかなのに、なぜ彼女にわからないの?」

あまり頼りにならないが、アッキーがそれに答えた。

「本当の意味での彼女じゃないからわからないんじゃないのかな。」

「彼女じゃなくても、ただの職場の同僚でも、翔が事業を始める頃に職場を辞めたことは知ってるんだから、辞めた後のことをよく知らないということ?」

「まあ、そうなんだろうな。」

「辞めた後の翔を知ってる人って誰?」

鈍いと思っていたコンちゃんが鋭い一言を投げかけた。

「ゴルフ場がクローズした後はスキー場で働いてたでしょ。事業を始めなかったということは、スキー場で働いてたんじゃないの?スキー場の同僚が何か知ってるんじゃないの?」

確かに!

「それで、翔が働いてたスキー場ってどこ?」

「知らない。」

「俺も知らない。」

二人揃ってまたこれだよ。

まったくポンコツ二人組だな。

「コンちゃん、彼女に連絡取ってスキー場どこか聞いて。」

わかんなきゃそうするだろうが。

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