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少年探偵とサイボーグ少女の血みどろ探偵日記  作者: 小夏雅彦
第一章:サイボーグ少女と雷の魔物
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05-ブレード

 骨の剣を振りかざす怪物、ブレードロスペイルは横薙ぎに剣を繰り出した。路地はそれほど広くないが、しかしこの剣を振るには十分な横幅がある。バックステップで攻撃を回避、軌道上にあったゴミ箱が真っ二つになった。恐るべき破壊力、喰らうのはマズい。


 ブレードは手首をクルクルと回転させ、剣による無限軌道をいくつも作る。あの中にバイオサーモンが飛び込んだら、見事な刺身にされてしまうだろう。僕も後退やスウェーで避けざるを得ない、受け止めることは出来ないはずだ。


 こういう時、どうすればいい?

 懐に飛び込み、剣を無力化すべきだ。僕は繰り出される剣撃を避けることに専念した。何度も振り回され、切り裂き、そして……このタイミング! ブレードが繰り出した大振りな斬撃を、飛び込み前転の要領で回避! 懐に飛び込んだ僕を迎撃するために、ブレードは素早く手首を返す!


「おっと、ボクのことを忘れて貰っちゃ困りますよ!」


 蹴りの反動で上方に跳んだクーデリアが、更に窓枠を蹴って急降下。加速をつけた踵落としを繰り出した。ブレードは舌打ちし、左の鞘でそれを受け止める。同時に、右の剣を薙ぎ僕を切り裂こうとした。僕は前転気味に飛び込み剣を掻い潜り、中腰姿勢のまま拳を繰り出す。ブレードの能力は上半身に集約されている、ならば下半身は?


 僕の予想は当たっていた。

 命中こそしなかったが、ブレードは僕の攻撃を嫌いそれを大きく避けた。そして、そこにクーデリアが追撃をいれた。ブレードの鞘を蹴り後方に跳び、弾丸のような勢いで跳び蹴りを繰り出した。僕の攻撃を避けるために後退したブレードに、ちょうどそれは当たった。骨をまとめてへし折る鈍い音がした。


「グワーッ!?」


 尾てい骨に叩き込まれた攻撃に、ブレードは悲鳴を上げた。人間ならば致命的なダメージを負うだろうが、ロスペイルはそうならない。それでも、甚大なダメージを受けたに違いない。大腿骨まで突き抜ける衝撃力、太ももの筋肉はズタズタになったはずだ。


「ヌゥーッ! 猪口才、な……!」


 ブレードは僕を切ろうとするが、しかしその上体がガクンと崩れた。

 クーデリアの放った、足首を狙った水面蹴りを受けたせいだ。足首をへし折られたブレードは背中から地面に倒れた。僕は立ち上がり、ブースト機構を作動させた。


 両腕が炎を纏い、白熱。それを左右の腕に向けて繰り出した。それほど強度の高くなかったブレードの腕は一瞬にして両断された。甲高い悲鳴が上がった。


「勝負あったな、ブレード。

 どうして僕たちを追っていた? 話してもらうぞ」

「バカめ、お前などに話すと思っているのか。

 事は貴様の想像を遥かに超えて……」


 僕はブレードの腹を踏みつけた。

 甲高い悲鳴が上がった。


「エイジアの赤熱機構はキミの腹なんて一秒で踏み抜くぞ。

 だが、一瞬では終わらせない。

 キミの腹を毎秒1mmずつ、焼き溶かして行くことにしよう。

 キミの生命が維持できなくなるまで、何秒必要だ?

 ちょっと試してみようじゃないか、化け物」


 クーデリアがやや慌てた様子で僕を見るが、それを無視した。脚部赤熱機構を作動させ、ロスペイルの腹を踏み込む。焼け焦げる嫌な臭いが辺りに立ち込める。


「やはり、ガキだな。小僧。この程度の痛みで、俺が吐くとでも?」

「すぐに分かる。お前は自分の痛みに耐えて秘密を守れるタマか?」


 ロスペイルの哄笑が聞こえて来た。

 続けて、クーデリアが僕を突き飛ばした。


 何を? すぐに理由は分かった。ロスペイルの穴と言う穴から青白い光が放出されたのだ。ロスペイルの体が醜く膨張し、そして爆発四散した。


「ッ……! まさか、自爆するなんて!

 何を考えてるんだこいつ!」


 僕は苛立たしさを壁にぶつけ、装着を解除した。

 証拠が一つ消えてしまった。


「危なかったですね……

 あのままいたらふっ飛ばされてましたよ、結城さん」

「うん、ありがとう。

 キミのおかげで助かったよ、クーデリア」


 クーデリアは誇らしげに胸を張った。

 しかし、すぐにしゅんとなる。


「でも、大事な証言者がいなくなってしまいましたね。

 これからどうすれば……」

「大丈夫だよ、クーデリア。

 彼らが事件に関与していると分かっただけでも収穫だ。

 そうでなきゃ、会社に来ただけの探偵を始末しに来たりなんてするものか。

 それに、彼らはロスペイルとも関わりがある。

 もしかしたら、キミのことを知る機会にも……」


 そこまでは求め過ぎだろうか? ともかく、一歩前進はしたのだ。これからは敵に目をつけられることになるだろうが……それはそれだ。来るなら全部倒してやる。


「さあ、戻ろうクーデリア。

 オニキス氏のバックグラウンドを調べなきゃ」


 こんなことを単独で行えるはずはない。彼を支援する何者かがいるはずだ。そしてそれを探ることがカッツ氏の、鵲さんの死後の平穏を守ることになる。


 鈍色の空を、僕は見上げた。

 二度と押し潰されたりしない、あんな重圧などに……!


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