第二話「気づき始めた違和感」
放課後、天草みのりに告白しようと決意するも、言葉が出る前に拒絶された。
その瞬間、目の前が真っ白になり、気づけば同じ放課後に戻っていた俺・蒼井ナギト。
これは夢か、それとも――何かがおかしい。
だが今度は、ほんの少しだけ違う……みのりの態度も、目に映る世界も。
放課後、何度目かの放課後。
俺はまた、同じように屋上にいた。
天草みのりが帰る準備を始めるのを、何度目かでようやく認識する。
前回と変わらず、同じ空気。いつもの景色。でも、何かが違う。
「もう、帰る時間だね」
みのりがそう言って、俺に向けて軽く微笑む。
しかし、その笑顔に違和感を覚えた。
──あれ?
前回も、確かこの瞬間、俺は告白を決意していたはずだ。
それなのに、告白することもなく、ただ言葉を飲み込んだまま、終わってしまった。
それが、何故か今、同じように繰り返されている。
何かおかしい。それが、俺の胸の中でうごめく違和感となっている。
「……あ、また、同じことを言ってる?」
思わず、口に出してしまった言葉に、みのりはちょっと驚いたような顔を見せる。
「え? そんなことないよ?」
彼女の返事には、全く気づかない様子がうかがえる。
だが、俺は確信していた。これは、繰り返しだ。
何度も同じように繰り返す、あの失敗。告白できなかった自分。
なぜだろうか、全く覚えがないのに、あの瞬間の感情だけはリアルに思い出せる。
「ねえ、どうしたの?」
みのりの声が、まるで現実を突きつけてくるように耳に響く。
その問いに、俺はまた息を呑む。言葉が出ない。
──これもまた、あの時と同じ。
答えられない。
何かしらの理由があるようで、何もわからない。
まるで、自分の立ち位置が定まらないような感覚。
それでも、みのりの微笑みに、どこか違う印象を覚える。
それが、俺に更なる違和感を与えていた。
「……どうしたの?」
その言葉に、俺はふと我に返った。
「いや、なんでもない。」
俺は口をつぐみ、何とか平静を保とうとする。
その後、みのりと一緒に帰ることになり、二人で歩き出す。
歩調が合うわけでもなく、ただ黙々と並んで歩いている。
しかし、ふとした瞬間、感じる違和感が強くなる。
──あれ、前回も同じ道を歩いたはずだ。
でも、どうしてこんなに変な感じがするんだろう?
それは、ただ単に“繰り返し”という言葉にとらわれているせいだろうか。
それとも、俺の中で起きている何かが関係しているのか。
不安な気持ちを抑えながら、帰路につく。
その途中、突然、みのりが足を止める。
「そういえば、今日の放課後、何かおかしかったよね?」
その言葉に、心臓が跳ねた。
──どうしてみのりがそんなことを言うんだ。
そんな風に聞いてくる理由がわからない。
でも、その瞬間、何かが「ピン」と来る。
──ああ、もしかしたら、俺の中で感じている違和感は、ただの“感覚”ではないのかもしれない。
それは、もう少し深いものだ。
「おかしいって、何が?」
「だって、あなた、少し前に告白しようとしてたんでしょ?」
みのりは笑いながら言うが、その笑顔にはどこか余裕が感じられた。
──告白……俺が?
その言葉が、さらに俺の心を乱す。
何が起こった? それが理解できない。
──この感覚、もしかして——
これが、ループの実感だろうか。
俺はその場で立ちすくむ。
天草みのりの態度が、なんだかひどく違和感を覚えさせた。
心の中で何度もその言葉を繰り返し、手のひらにじわりと汗がにじんでいく。
俺の視界が揺れ、ふと気づけば、放課後の教室の中には誰もいない。
空気の温度が、急にひんやりと冷たく感じてきた。
「やっぱり、これは…」
これまで感じたことのないような不安が胸を締め付ける。
その不安が、だんだんと確信に変わりつつあった。
「次、どうすれば…?」
その時、ふと耳にした言葉が俺の心を一層ざわつかせる。
「また、やり直さないと。」
声の主は、思いも寄らない人物だった──
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第二話「二度目の告白」いかがでしたか?
前回は告白前に拒絶されて終わりましたが、今回はほんの少しだけ希望のある「保留」へと変化しました。
微細な違和感や、ヒロインの“無意識的な記憶の名残”の意味とは?
次回は物語のもう一つの真実が、少しだけ顔を出します。
どうぞ、お楽しみに!
こまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
次回の更新は【5月上旬】を予定しています。
※神社でのお勤めで中々書けず申し訳ございません。。。
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