第七話 助けに来てくれたみんな
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
なにやら怪しげな商人に騙されて拘束されてしまったタヴァータ。いったい、どうなってしまうのか!?
「........旦那も今から、その商品たちの仲間入りになりやすからねぇ.......♪」
ヴィーラムさんが、にやあっとした薄気味悪い笑みを浮かべて言い放った。
「........ヴィーラムさん.........な、なにを..............」
僕が、震える声でおそるおそるたずねる。
そんな僕をよそに、ヴィーラムさんがにやにやしながら答えた。
「............なにって.........言葉通りの意味でさぁ。 旦那は今から、奴隷としてあーしの所有物になったんすよぉ.........♪」
「.............そんなっ.......離してくださいっ.........!!!!!!」
必死に抵抗するが、土の大男に掴まれた両腕はびくともしない。
「............あぁ........あーしはなんてツイてるんですかねぇ.......♪
こんなに新鮮で可愛い奴隷がタダで手に入っただけでなく、おまけにそれが人間だなんて.......♪」
「..........こんなことして.......許されるとでも思ってるんですかっ!?!?」
「............うるさいっすねぇ。 旦那にゃあちいとばかし黙っててもらうとしやしょうか。」
「....んむぅぅぅっ.........!?!?!?」
そういってヴィーラムさんが軽く指をはじくと、僕の口に口枷らしきものが詰め込まれる。
「..........旦那ぁ。 それ中にトゲ入ってるんで、迂闊にしゃべらないほうが身のためっすよぉ?」
「.............んむぅ...........!?!?!?!?」
恐怖でがたがたとふるえる僕を横目に、ヴィーラムさんが心底嬉しそうにつぶやく。
「........これだけ上物なら10億はカタいっすねぇ......♪ しかも人間ときちゃぁ、全国の変態たちにどんな扱いを受けるのやら........♪
........きっと実験されて、分解されて、ポーションの材料にでもされちゃいやすぜぇ......♪」
怖い。
怖い怖い怖い。
だれか。 たすけて。
「.........うーん.......でも、こんな可愛いのを他の奴らに渡しちゃうのはもったいないっすねぇ.......♪
いっそ、あーしの性奴隷として100年くらい飼うってのもぉ......... あはっ....♪
想像しただけでゾクゾクするっすねぇ.....♪」
たすけて。
ナキシーさん。 クロエさん。 オトリアさん。 マサリーさん。 ガーネッコさん。
騎士団のみなさん。ギルドのみなさん。 冒険者のみなさん。
おねがい........!!!
だれか............たすけて..................!!!!!!
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!
僕達のはるか上から、激しい爆発音が響き渡った。
その刹那、まるで断層が起きたかのように、僕達の上の地面が真っ二つに割れた。
「.........なっ........バカなぁっ..............!?!?!?!?」
「............いたぞぉぉぉぉっ!!!!!! タヴァータだぁぁぁぁぁっ!!!!!」
地面を割った先から出てきたマサリーさんが、喉が張り裂けんばかりの勢いで叫んだ。
(...........まっ........マサリーさんっ........!!!!!)
「.........漆黒の拘束っ.......!!!!」
「......じゃっ......裁きの光線っ......!!!!」
「......ぐおおおおっ!!!! 重力斬っ!!!!!」
(.........クロエさんっ!! オトリアさんっ!! ガーネッコさんっ!!!!)
クロエさんが闇の魔法らしきものを唱えてヴィーラムさんを閉じ込め、オトリアさんとガーネッコさんがそこに攻撃を叩き込む。
「.......タヴァータくんっ!!!! 無事かぁっ!?!?!?」
「..........兄ちゃん。 俺等が来たからにゃぁもう安心だ。」
「.....なんてひどいっ......傷ついた子どもたちがこんなにっ........!!!」
「........子どもの保護は俺達に任せろっ!!!!」
(.........ナキシーさんっ.....!!! 冒険者のみなさんっ.........!!!!)
ナキシーさんが僕に駆け寄り、ギルドの冒険者のみなさんが奴隷となっていた子どもたちを保護していく。
「..........ナキシーさぁああんっ!!!!! うわああああああああああああんっ!!!!!!!」
「.....ぐすっ......ひぐっ.......ぶじで.......無事で良かったっ.......!!!!!!!!!」
拘束を解かれた僕が、ナキシーさんに駆け寄る。
思わず大粒の涙をこぼしながら、子どものように泣きじゃくった。
ナキシーさんもまた、涙を流しながら僕を抱きしめてくれた。
「...............ふふっ........あははははははっ......♪
........随分大勢で攻めてきちゃってぇ..........ギルドや騎士団も相当暇なようで、羨ましい限りでさぁ。」
クロエさんの魔法で生み出した檻に閉じ込められていたヴィーラムさんが、余裕しゃくしゃくと笑いながら話し始めた。
「.........七罪人の一人、グリード・ヴィーラムだな。 貴様の悪事もここまでだ。
王都直属騎士団団長ルリオン・ナキシーの名に誓い、私が引導を渡してやろうっ!!!!」
ナキシーさんが、ヴィーラムさんの方へと向き直って刀を構える。
「.......んははぁっ.......♪
その殺気ぃっ.........なかなかイイですぜぇ.......♪」
「..........覚悟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!!!!」
ナキシーさんが、勢いよくヴィーラムさんに斬りかかる。
しかし、ナキシーさんの刀身はしっかりとヴィーラムさんの腕によって防がれていた。
「........ぐっ.........!!!!!」
「........効いてねぇーんでさぁ。 これっぽっちも。」
「.......嬢ちゃんっ!! ここは避難が最優先だっ!!!
兄ちゃんと子供ら連れて一旦引くぞぉ!!!!」
冒険者のおじいさんが、ナキシーさんへ撤退の提案を出す。
僕や子どもたちがいる以上大規模な戦闘は避けたいと思ったのだろう。
「.........おっとぉ。 逃げようったって、そうはいきゃぁせん♪」
「..........うわあああああああああっ!?!?!?!?!?」
「「「「「「「「「.........タヴァータ(くん)(さん)っ!!!!!!!!!」」」」」」」」」
ヴィーラムさんの手のひらから出現した土の塊が、僕の手足に巻き付く。
僕は、またもやヴィーラムさんによって拘束され、身体の自由を失ってしまう。
「............皆さん、ご存知ですかぃ......?
人間ってのは、魔力耐性が圧倒的に低いんでさぁ。」
「........やめてぇっ!!! タヴァータくんになにをするつもりなのぉっ!?!?!?」
「.....そんなか弱い生き物を依り代にして、あーしのちょー膨大な魔力を注ぎ込んだら........
いったいぜんたい、どーなっちまうんですかねぇ......♪」
「.........貴様っ、禁忌魔法を使う気かっ...............!?!?!?!?!?
やめろっ...........やめろぉぉっ.......!!!」
「..................いでよっ!!!!!!!!! 神獣・大地の人造巨人っ!!!!!!
すべてをっ...................破壊しつくせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!!!」
「.................やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ヴィーラムさんの、強大な魔力に包まれて。
僕の意識は、闇の底へと落ちていった.................。
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