第十八話 はじめての女湯①
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
王都を出発し、1日中歩いて森の中の宿へと到着したタヴァータたち。
しかし、なんやかんやあって....... ナキシーさんやレムたちと一緒に女湯に入ることになってしまい...........!?!?
僕たちを飲み込むようにおおきくそびえ立つ、とても大きな木造の建物。
堂々とたたずむそれは..........森の中にあるとは思えないほどの大きな存在感を放っていた。
「...........すごいですっ!!!!
森の中に、こんなおおきな建物があるなんて!!!」
僕が興奮気味にさけんでいると、ナキシーさんがにこりと笑いながら答えた。
「ここは、我が王国が運営している宿だ。
王国各地に転々と存在しているから、これから世話になる機会も多いだろう。」
そういって、ナキシーさんが宿のドアを開けて中へと入っていく。
僕とレムがそれに続くと、中ではたくさんの冒険者たちでにぎわいを見せていた。
なかには、ちらほら見知った顔もまぎれこんでいる。
「......おおーっ!!!
森の中なのに、冒険者の方がたくさんいますねっ!!!!!」
「...........ここの森は、討伐クエストや収集クエストがたくさん出ているからな。
そこそこ腕のたつ冒険者なら、いい稼ぎ口だろう。」
ナキシーさんが、そう教えてくれた。
クロエさんとこのギルドが運営している宿ほどではないが、かなりのお客さんがいるようだ。
ナキシーさんとレムがホテルのフロントへと向かうなか、僕はその物珍しさに思わずきょろきょろと見回していると..............
「........あっ!!! タヴァータさん!!! お久しぶりです!!!!」
「...........タヴァータ様っ!!! まさか、こんなところでまたお会いできるなんて!!!!」
「......あ、みなさんお久しぶりです。
みなさんもここに来ていたんですね!!!!」
近くにいた、王都の顔なじみの冒険者パーティーのみなさんに話しかけられた。
そうして、僕が長いこと話し込んでいると........
宿のフロントで受付を済ませてきたナキシーさんとレムが、少し浮かない顔をしながら戻ってきた。
「...........タヴァータくん、すまない。
今日はどうやら予約で一杯らしく、2人用の小さな部屋ひとつしか借りられなかった...........。」
「..........まあ、混んでいたなら仕方ないですね..............
予約してくれて、ありがとうございます!!!!!!!」
しょんぼりしているナキシーさんを励ますべく、僕ができるかぎりの笑顔でねぎらう。
まあ、こればっかりはしかたがない。
「..........じゃあ、僕はそのへんで野宿するので、部屋はナキシーさんとレムで使ってください!!」
「................え?」
「...................?」
僕が2人にそう伝えるやいなや、2人がきょとんと不思議そうな表情をして首をかしげた。
「.......いや、だって2人用って言ってたじゃないですか..........
そ、それに、女性二人のお部屋に僕が入るわけにもいかないですし!!!!」
僕があわてて説明するも、2人はさらにきょとんとした表情でこう言う。
「..........タヴァータくん........? 仲間なのだから、同じ部屋で過ごすなんて当たり前のことじゃないか。
それに、きみひとりで野宿なんてしたら危ないぞっ..........!!!!」
「.............おふとん...............................つなげれば................................みんなで.........................ねられる。
きょうは.........................いっしょに.............................ねよ。」
「..................え.................えぇ............!?」
2人の曇りなき純粋な目に、僕が思わず困惑する。
今までは個室で生活していたので、他の人と..........それもこんな美少女たちと同じ部屋で過ごすのはかなり緊張する...........。
「.......それとも、わたしたちと相部屋は嫌か.................?」
「......................っ..........................!!!!」
「..........いえっ!!! べつに、そんなことはないんですけどっ............!!!」
2人の悲しそうな表情に、僕は思わずそう答えた。
まあ、嫌ではないんだけど...................
「.............なら、問題はないな!! さっそく、部屋に荷物を預けに行くぞ!!!!」
「......................................♪」
「.............は、はい...........!!」
僕は内心すごくドギマギしながら、2人のあとをとぼとぼとついて行くのだった............。
あれから数時間後。
部屋のなかで少し休憩した僕たちはは、宿の中にある食堂へと足を運んでいた。
思えば、騎士団の居住区とクロエさんの宿以外での夜ごはんは初めてだ!
「...............わぁ.......!!! このお料理、すごく美味しいです!!!」
「.........ああ! ここの料理人は腕がいいな!」
「.....ばくばくばくばくばくばくばくばくばくばくもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごく」
表情ひとつ変えずに口いっぱいに食べ物を詰め込んで暴飲暴食をしているレムを尻目に、僕とナキシーさんが美味しい料理に舌鼓を打つ。
お代はあとですべて国王陛下が払ってくれるらしいので、金銭面も気が楽だ。
.............まあ.......さすがに申し訳ないので、ツケ代として今日レムのレーザーで消し炭にした魔物たちの素材を提供したけどね。
................しかし、レムよく食べるなぁ。
身体も大きいし、あれだけ大技連発してたらそりゃぁおなかもすくだろうけど.................
「...........ご馳走様でした。」
「....................けぷ。
.................................................おいしかった。」
そんなことを考えているうちに、どうやら2人が食べ終わったようだ。
「..........美味しかったです!!! ありがとうございました!!!!!」
「..........ようし! 食事も済んだことだし、風呂でも入るとするか!!」
「はい!!!」
「.............................おーっ..................!!!!!」
僕たちはお店の人にお礼を言って、今日一日の疲れを癒やすべく、宿の大浴場へとルンルン気分で向かっていった。
...............このあと、僕の身に降り注ぐ数々の苦難も知らずに.............。
数分後。
僕たちが宿の大浴場へと向かうと、男湯と女湯を分ける仕切りらしきところになにやら張り紙がされてあった。
僕はまだこの世界の文字を知らないので、なんと読むのかはわからないのだが................
ものすごく、嫌な予感がする。
「......................ねえ...................パパ.......................。
このもじ..........................なんてよむの............................?」
「..........わ、わからないけど........たぶん “ 機械の故障により使えません ” とかかな............?」
僕がいい感じに........そうであってほしい願望を込めて文字の内容を予測する。
だが、現実は非情だった。
「.........そうか。2人はまだ文字が読めないんだったな。
ええと、なになに.........?
“ ただいま大規模な魔力障害の発生により、男湯の火の魔石が使用できません。
この時間帯は女湯ですので、種族にかかわらず男性はご利用できません。 ※30歳以下のお子様を除く
ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございません ”
・・・って書いてあるぞ! 」
ナキシーさんが、得意げにそう答えた。
なんか桁がひとつ多い気がするけど............たぶん記入ミスだろう。
「.............なるほど...........。
男湯が使えないならしょうがないですね! じゃあ、僕は部屋にもd・・・・」
まあ、使えないものはしょうがない。
諦めて部屋に戻ろうとした瞬間..................
「...........ああ。 じゃあ、今日はタヴァータくんも一緒に入るとするか。」
「............................パパと....................おふろ......................♪」
なにやら、僕の耳を疑うような発言が聞こえてきた。
とっさに逃げようとするが、レムにぎゅうっと両腕で抱っこされて身動きがとれない。
「.............!?!?!?!?!? まままま待ってくださいっ!!!!!!!!
僕は男ですっ!!!!! み、みなさんと一緒に女湯に入るわけにはっ................!!!!!!!」
僕が激しく混乱して身をよじりながら、声を荒らげる。
しかしそんな精一杯の抵抗もむなしく、2人はずんずんと更衣室へと足を運んでいる。
「............確かにタヴァータくんは男の子だが、まだとても幼いじゃないか。
それに、先程の看板にも “ ※30歳以下のお子様を除く ” と書いてあったし、なにも問題はないだろう。」
「.................♪ ............................♪♪
.................................パパと........................おふろ.........................♪」
ナキシーさんに何事もないかのような口ぶりでそう伝えられ、僕がようやく事の重大さを理解しはじめた。
この世界の基準では、13歳はまだ小さな子供なのだ。
そりゃそうだ。ヴィーラムさんだって1000年以上は生きてるって言ってたし、この世界に初めて来た日も.......... 騎士団のみなさんが言う年齢の感覚が僕より1〜2桁くらい多かった。
おそらく、人間以外の生物はみんなものすごく寿命が長いんだろう。
そんな人達から見る13歳なんて、ほぼ赤ちゃんみたいなものだよなぁ.............。
「.............まあ、たまには裸の付き合いといこうじゃないか。
安心しろ。 裸を見られたり見てしまったりするのは恥ずかしいかもしれないが、この世界は入浴時に身体をタオルで隠すマナーがあるから大丈夫だ!」
「............な、なにひとつ大丈夫じゃないですよおおおおおおっ!!!!!!!!!」
僕の魂の叫びもむなしく...........
僕はレムにされるがままに、女湯の脱衣所へと連行されるのだった.............。
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