第十七話 はじめての戦闘、はじめての宿
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
“ 東の摩天楼 ” へ向かう旅に出た僕たち。
しかし、開始早々恐ろしい魔物に襲われてしまい...........!?
「........ふぅ。 大分歩いたな。 少し休憩するか。」
「........ですね!」
「.............................おーっ................!」
僕たちが王都を出発してから半日ほど。
ナキシーさんに常時回復魔法をかけてもらっているおかげか、体が弱い僕でもらくらく歩くことが出来る。
..........しかし、ずっと同じ景色の森の中を歩いていると、体は楽でも精神的には疲れてしまうのだ。
僕たちは王都から持ってきた大きめの絨毯を地面にしき、そこに座り込んだ。
「........そういえば、僕たちが出発してから一回も野生の魔物と遭遇してないですね。」
僕がそうやって、内心気になっていたことをナキシーさんに話した。
こういうファンタジーな世界では、よく森の中で魔物の群れなどに襲われるという展開を耳にするが.........
実際には、どうなのだろうか。
「本来なら、この森はレベル指数の高い魔物が潜むかなり危険なエリアなのだがな............。
私達の...........特にきみたちの魔力がすさまじくて、魔物もうかつに出てこられないんだろう。」
そうやって、ナキシーさんが苦笑いした。
確かに僕の魔力はヴィーラムさんから譲り受けた強力なものだし、レムももとは神獣なのでステータスがバグっている。
今のところ緊急脱出用にしか使えないと思っていたが、魔物避けになるならかなり便利だ。
「.......私たちを襲う魔物がいるとすれば.........神獣クラス......とまではいかなくとも、このエリアの主くらいのものだろうな。」
「..........へぇー.........そうなんですn..................!?!?!?!?!?!?!?!?」
僕がナキシーさんの話に相づちを打とうとしたその瞬間。
僕の眼の前に...........なにやらすさまじく大きなイノシシっぽい魔物が姿を表した。
よくよく見ると右目に大きな傷があり、真っ赤なたてがみが炎のようにゆらゆらとゆらめいている。
「...................あぁ.........あわわ..............!?!?!?」
「.............ど、どうしたんだタヴァータくん!!!!!! 何かいるのか!?!?!?」
「.........ナキシーさんっ!?!?!?!? う、うううううしろにぃっ!?!?!?!?」
全身の血の気が、さぁっと引いていくのが感じられる。
これが、さっきナキシーさんが言っていた森の主にちがいない............!!!!!
「..................っ!?!?!? ふたりとも、下がっていろっ!!!!」
瞬時に振り向いたナキシーさんが、すかさず剣を構えて臨戦態勢をとる。
「............こいつは、討伐難易度A級の業火の大猪っ..............!!!!
それも、今までに見ないほど大きい個体だ!!!!!!」
噂をすればなんとやら。
まさか、僕たちの眼の前にこんなヤバそうな魔物が表れるなんて。
僕がガクガクと震えていると、業火の大猪が勢いよく突進をしてくる。
「.........ブモオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!!」
「........くっ........!!!!!」
「ナキシーさんっ!!!!!!!!!」
なんとかナキシーさんが盾で攻撃を防ぐも、完全にダメージが無効化できていないようだった。
盾で吸収しきれなかった衝撃が、びりびりとナキシーさんの体に伝わってきている。
「.........私達が勝てるような相手ではない............!!!!
私が攻撃を引き付けるから、そのうちにレムを連れて王都に戻るんだっ!!!!!!!」
ナキシーさんが、決死の表情でそう訴える。
「........絶対ダメですっ!!!!!!!
ナキシーさんを置いて逃げ帰るなんて、絶対にできませんっ!!!!!!」
僕も負けじと、決死の表情でそう言い返す。
ナキシーさんを置いて、そうかんたんに逃げ帰れるわけがないじゃないか。
「.........ブモオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!!」
「まずいっ!!!!! またアレがくるぞっ!!!!!」
そうこうしているうちに、業火の大猪がさっき見せた突進をしかけてくる。
「.........うわあああああああああああっ!?!?!?!?!?」
「............くっ............!!!!」
まさに絶体絶命。
僕が、ナキシーさんとレムを連れてあわてて空間転移魔法を使用しようとしたそのとき............!!!!!!
「..................................ごあーーーーーーーーーー・・・・・・」
チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「「..........................!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」」
僕たちの後ろでずーっと大人しくしていたレムが無表情のまま口を大きく開けると、そこからいきなり超極太の光線が放たれた。
そのあまりの迫力とまぶしさに僕とナキシーさんがとっさに目をつぶり、おそるおそる目を開けると.........
「................やっつけた..........................。」
そこには、体が完全に丸焦げになって炭化した..................かつてヘルフレイムボアだったものが、突進する直前のポーズのままぴたりと動かなくなっていた。
「「................ええええええええええええええええええええっ!?!?!?!?!?!?」」
そのあまりに奇想天外な光景に、僕とナキシーさんが思わず大声をあげてしまう。
「レム、すごいよっ!!!!!! こんな力を持っていたなんてっ.......!!!!!」
「人間の少女の姿になっても、私達を苦しめたあの技は健在なのだなっ.......!!!」
「..........えへへ........................ てれる........................。」
僕たち2人が目をきらきらさせてレムに詰め寄ると、レムは無表情のキレイな顔を少しほころばせて照れていた。
「............助けてくれて、本当にありがとうっ!!!!!」
「.....私からも礼を言う。 本当に感謝する!!!!!」
「...........えへへ...............................!」
僕たちが誠心誠意お礼を言うと、レムは照れたようににこっと笑った。
僕たちが業火の大猪と対峙してから、およそ半日。
その後もたびたび強そうな魔物と対峙したが、そのたびにレムの極太レーザーによって一匹残らず消し炭にしてきた。
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...........なんか、ソシャゲの序盤で運良く強いキャラを当てて無双しているみたいな感覚だ。
そんなことを妄想して.............沈みかけてきた夕日に照らされながら、僕たちはある場所へと向かっていた。
「............着いたぞ。
ここが、わが王国が運営している宿屋だ。」
「...................うわああああああっ..............!!!!!!」
僕が、思わず感嘆の声を漏らす。
僕たちの眼の前にあるそこには..............とても大きな木造の建物が、僕たちを飲み込むようにおおきくそびえ立っていた。
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