竜話
短めです。
少し離れていたうちにレイが傷つけられていた。
傷はすでに完治したが、それでも次襲われたらどうなるからわからない。
もし後手に回っていたらもっとひどいことになっていたかもしれない。
やはりレイと共にいるべきではない。
人間の住む場所に送るべきなのだ。
しかしまだそれでも感情が邪魔する。
次、次何かあった時にまた考えよう。
「竜王......竜王!!」
「うん?なんか言ったか?」
「海に行きたいです」
「あぁ」
少しぼんやりしすぎていたようだ。
まだ警戒するべきだと言うのに。
「では背に乗れ」
「はい」
レイを乗せて、いつものように海へと降りる。
この辺りは人間が簡単に来れるような場所ではない。
そのため堂々と姿を晒すことができる。
海に着くとレイはいつも通り、魚を獲り海水を確保している。
あんな怪我をしたのに平然としている。
俺が原因だと言うのに、憎まれ口の一つも言わない。
まもりびととは言うが、竜王は守られる必要などない。
ただレイといるのが心地よくこの環境にレイの優しさに甘えてしまっている。
(やはりレイをあの神殿に返すか)
「キャッ......!!」
レイが声をあげる。
急ぎ声の方を見るとレイが尻尾で吊るされている。
「捕まっちゃいました」
「レイ......お前少し抜けてるだろ?」
竜王の鋭い爪で海竜の尻尾を切り落とす。
「脆いなぁ!!」
竜の尻尾から抜け落ち落下するレイを手でキャッチする。
その隙に海竜は逃げ出す。
「逃げたな」
「助けてくれてありがとうございます」
どうにも最近見る竜は出来損ないばかりだ。
小さく角がない。それに弱い。
(どうにか知ってる竜を探さないとこれはダメかもしれん)
そしてその時にレイを連れて行くのは無理だ。
やはりこの竜王と一緒にいてしまっては危険なのだ。
これは丁度いい機会なのだ。
「レイ今一度神殿に戻るぞ」
「神殿ですか? わかりました。おばあさまにも挨拶したいですしね」
読んでいただきありがとうございます。
次も読んでくれると嬉しいです。