間話 日常
日常回つまり......
神殿を出て降り立った崖は、竜王というでかい生き物がいるにも関わらず不便がないぐらいに広い。
そんな安定した土地であるからか、それとも外敵がいない環境だからかレイも竜王もリラックスすることができた。
目を少し向けると海を見下ろす綺麗な景色。
海が近くにあり潮風が吹いているため少し髪はべたつくがそこまで気にならない。
そんな環境に加え近くには木々が生い茂る場所がある。
その場所でレイは食料を調達していた。
「木の実と鳥さんとってきましたよ」
そういうレイの胸元には3匹の鳥とたくさんの木のみがあった。
服の裾を掴んで引っ張り、カゴのように服を使う。
少し重いのか腕がプルプルとしていた。
狩ってきた鳥は汚れないように事前に敷いてあった大きな葉っぱの上に置かれ並べられる。
食事は基本レイが調達する。
そして調理も...と言いたいところだが、記憶喪失のせいなのか元々なのかわからないが、レイにはそういった知識はない。
そのため、レイのすることはある程度食べられそうになるまで適当に捌くことである。
もちろん適当というのはちょうどいいという意味ではなく感である。
竜王は食べられるのならなんでも良いと言っているが、レイがそれを許さない。
食べるなら一緒のものを安全にとレイは言う。
まぁ安全に食べるためには焼く必要がある。それをやるのはレイでは時間がかかりすぎるため竜王なのだが......
そして出番の竜王は、のそのそと鳥の置いてあるあたりに近づく。
そして竜王がフッと火を吹きかける。
人間の感覚で言うと口笛を吹くぐらいの勢いでだ。しかし竜王の火はそれでも過剰だった。
「これは......すごいですね...」
竜王にかかれば鳥は真っ黒だ。
下に引いてあった葉っぱも見るも無惨な姿になっていた。
しかし焦げたことなど気にしていないかのように竜王は振る舞う。
「ふん、食えればそれでいい」
言葉通り丸焦げの鳥肉を爪で刺し口に放り込む。
なんら嫌な顔をせず、さも当然のように2個3個と平らげる。
結局安全なのかわからないものを竜王に食べさせてしまった。だがまぁきっと焼いてあれば大丈夫だろうとレイは判断する。
「私は木の実をいただきますね」
鳥肉を竜王が全て食べてしまったため、レイは食べられるのかわからない木の実を食べる。
レイは安全なものを食べるべきだと主張したが、それはまもりびととしての言葉であって、レイ自身はそこまで食にこだわりはない。
こだわりはないというか毒ですら食べることができる。
少し乱れた食生活ではあるが、寝る場所があり食べる場所がある。
そのうえ外敵にも気付きやすい土地。
レイと竜王は中々に充実していた。
読んでいただきありがとうございます。
今日は短かったためもう1話更新予定です。