竜話
短めです
勢いよく飛び出したが安全な場所があるかわからない。
竜王は同じ竜種の場所がわかるが、状況が状況のため迂闊に近づけない。
それに知ってる竜種の気配がない。
というより竜種の気配を全く感じない。
竜種に似た気配なら感じるのだが......
本当に何もわからないのだ。
「あっ! あの辺りなんていいんじゃないですか?」
そうレイが指を刺す方向には大きな崖があった。
確かにここならば人が来るには時間がかかるだろう。
それに竜の気配も崖の上からは感じない。先客がいるということもないだろう。
「いいかもな」
崖の上に向かい飛んでいく。
上から見ても人が来るのは難しい。
良い立地だ。
ただレイからすればすこし不便だろう。
「着いたぞ」
「はい。ありがとうございます」
「少し降れば生き物も居そうですし、食べ物もどうにかなりそうですね」
「そうだな」
少しぶっきらぼうに言う。
竜王は少し悩んでいた。
こんな場所にレイを住ませて本当にいいのだろうか。
人間とかいう生き物と一緒に暮らすのが幸せなのではないかと
この場所は竜王からすれば人間から狙われることはない良い場所だが、レイからすれば情報収集もしづらく食料も手に入れづらい。
(やはり人間の住処にかえすべきか)
なんて考えていると元気な声が竜王を呼ぶ。
「見てください。今日の朝ごはん手に入れましたよ」
そう嬉々として言うレイの手には鳥が吊るされていた。
「崖の下には海もありますし、暮らせていけそうですね」
「ガハハハハッ」
もうこの環境に順応しているレイを見ると、悩んでいたことが馬鹿らしくなる。
きっと竜王がなんと言ってもレイはまもりびとだからっと言って離れない。
ならば今はこれで良い。
そう思った。
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