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10.ぽんこつ皇太子

皇宮舞踏会当日。


私はサディと、姉様は皇太子の豪華な馬車と共に会場に到着した。

姉様に対する人々の視線は凄まじいもので、良い意味でも悪い意味でも注目の的だ。いろいろな視線に威嚇しながらもようやく舞踏会の会場に着いたというのに、皇族のパートナーである姉様とは一旦離れなければいけない。

姉様のドレスは星空をイメージした黒色の生地に宝石で飾ったドレスで、私が言った通り皇太子はデザインをお揃いにして舞踏会に臨んだ。令嬢たちのピュアな眼差しも嫉妬の眼差しも、様々な視点があると思うけれど、姉様の後ろ姿はいつも以上にかっこいい。


「おじょ...マリアさま。皇帝陛下と皇后陛下に挨拶に向かわれては」


向かわれては、というのは平民であるサディにはいくら皇宮舞踏会公爵家の者のパートナーと言えど、謁見することは招待されたもの以外はマナー違反のため、一人で行くことを進めたのだ。


「そうね。姉様も心配だし皇族たちへ挨拶してくるわ」


会場の一番奥。ゴージャスな装飾が一番盛り上がっているところに皇族は凛々しく存在した。もちろんそこにはあの皇太子と、パートナーである姉様も。皇族の圧倒的オーラに負けない姉様は流石ね。


「皇帝陛下、皇后陛下にご挨拶申し上げます。サヴィチェワ公爵家のマリア・サヴィチェワと申します」


これであっているのかしら、と姉様をちらりと見た。あのクールな姉様にしては少し表情を緩めてくれたように見えて少し距離が縮まったように感じる。


「あら、この方がナターシャの妹君なのね。小さなころに一度会っているけれど大きくなってとてもよく似たわね」

「光栄です、皇后陛下」


綺麗なブロンドの髪と黄金に輝く瞳を持つ皇后陛下は、当時皇太子だった現皇帝が一目惚れしたそうだ。皇帝がアピールにアピールを重ねてようやく結ばれたのだと、本にもなっているそのストーリーは、家庭教師に散々読まされた。

確かにあのストーリーは大好きだし、皇帝や皇后を馬鹿にしたいとかそういうつもりではなく、単純に話が膨張されて書かれているために現実味がなくあまり面白くはないのだ。


「マリア嬢。先日は息子が突然訪ねて悪かったな。ナターシャではなく君を急に訪ねたから驚いただろう」

「ち、父上!」


皇太子は慌てた様子で皇帝の話を止めた。それもそうだ。姉様に秘密で尋ねたというのに、皇帝が口走っちゃったのだから。悪意はなさそうだけれど。


「あ、それは大丈夫です。姉様の妹として正式に挨拶をさせていただきましたので」


ちらりと皇太子を見る。グッド。とでも言いたげな表情でこちらを見ているけれど、君の見なけれないけない方向は私ではなく姉様だろう。ほら、凄く嫌そうな顔をしている。また挨拶もなく自分のいないところで皇太子が家に訪れていたのを知ったのだから。

ごめんね、姉様。こればかりは一人の男のか弱い精神を守ってあげて。


『ぽ・ん・こ・つ』


口でそう形を作ってやる。皇太子だって関係ない。姉様にあんな顔をさせた罰だ。










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