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証言8
それからしばらくして、僕達の部屋には僕ともう1人しか居なくなりました。
最後の仲間は女の子で、大人しくてあまり喋らない子でした。
僕が早くみんなのところに行きたいねと言うと、
「…怖い」
と言いました。
どうして?と聞くと、別の場所に行くのは怖いと言いました。
彼女は震えていたので、移動になったら体が強くなるみたいだから大丈夫だよと言って慰めました。
僕も新しい場所での生活は少し心配でしたが、あの子がいる限りどこでも生活出来る気がしました。
今週の検査の日、いつものように廊下からあの子を見ようとして、僕は…その場に立ち尽くしてしまいました。
あんなに透き通っていたガラスが、真っ白に曇り、何も見えなくなっていたのです。