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証言17
あの子は扉と反対側の壁の方を見ていたかと思うと…
天井を蹴って
壁から出ていきました。
それは一瞬の出来事で、それでいて静止画のようで。
あの子は天井を駆けて壁の方へ跳び、壁を破壊して外へ出たのです。
分厚い壁を粉々にして出ていくその姿は、まるで大きな翼でも生えていて、優雅に羽ばたいていくようでした。
僕はしばらくの間、呆然とあの子の出ていった跡を見ていました。
ふと気付くと、どこからか何かが燃える音が聞こえてきます。
上を見ると白い煙が部屋に入ってきていました。
ガラガラと重いものが崩れる音もします。
このまま白い建物は壊れてしまうと思ったので、僕は逃げることにしました。