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証言16
ゆっくりと現れたその正体を、僕は知っていました。
宝石のような長い髪。
真っ白な肌。
細い手足。
ガラス越しでしか見たことのない、その姿。
僕の目の前で絵画が動いていました。
部屋入って来たのは、二度と拝むことが出来ないと思っていた"あの子"でした。
あの子は僕が見ていた時からほとんど変わっていませんでした。
ただ一つ…違うのは、透き通っていた瞳が真っ黒に染まっていることです。
文字通り目の色が変わっていて、あの子から感じる生のエネルギーは、もう微かなものではありませんでした。