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赤い狐

 数日の後、砂漠の風がぴたりと止んだ。砂は静かに地上にはりついている。澄んだ大気の中を、青白い月光が降り注ぐ。


 三角のモニュメントから、いつもは風の音にかき消されていた低い唸りが聞こえる。やがて、闇の中へと四本足の動物が飛び出してきた。長い鼻にとがった耳。赤い毛並みに太い尻尾。全身真っ赤な、狐のような動物が次々と現れる。


 彼らもまた町の学校に着くと、敷地内を駆け回った。砂を掘り返し、やはり何かを探している。ヒューマノイドには、目もくれない。かれらは、かすかな音もききもらさぬように耳を立て、時折辺りを警戒している。あちらこちら掘り起こし、手が付けられない状況だった。邪魔をするものは容赦なくかみ砕かれた。ほとんどのヒューマノイドには自己修復機能があるが、それでも苦痛が伴うことには違いない。人々は、ただ彼らの行動をじっと見ているしかなかった。

 朝になると彼らは消えた。後には無数の穴が開いている。砂地なので穴は簡単に埋まるが、それ以上に恐ろしい光景が敷地には広がっていた。無数の黒い球体が転々とそこかしこに散らばっている。それは、まるで人が近づくことを拒むかのように腐ったような異臭を放っていた。


 人々は、その日は糞の始末に追われた。


「やつらの探しているのは、王子ではなさそうですね。」

 教授の一人が鼻を抑えながら校長に話しかける。

「この地下には、かつてヒューマノイド製造工場があった場所だ。転送ログと製造ログの照合をするつもりだろう。そうなれば、いくらログの転送先をごまかしても、どの星に転送されたかが特定されてしまう。」

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