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王子

 カメたちが去った後、校長は一人で、通路の壁を押した。壁の模様にまぎれた扉を抜けると、そこは隠し部屋になっていた。ひとりの男がベッドの上に顔中血まみれで横たわっていた。眼帯を外した左目の奥には無数の小さな機械がうごめいている。

「また、ご自身の目をくりぬかれたのですか?」

 校長は、部屋にころがるいくつかの丸い玉を見ながら言った。

「おまえにわかるか。私は、王子などなりたくなかった。故郷で静かに両親とともに暮らしていたかった。それをおまえたちが引き離したのだ。わたしは、この目が憎い、私を王子にした、エルノが憎い。」

 男は、よほどつかれているのかぐったりしたまま、低くうなった。


「アレク殿下、その体は作りものです。何度傷つけようが体内ナノマシンによって修復されるのです。」

「解っている!しかし、この目が、頭が、心がうずくのだ。」

「ご辛抱を。本来同じ属から世継ぎが現れることなどあってはならなかった。しかし、なぜか他の属の王子は病に倒れ、現王と同じ人族がら王子が産まれた。王は冷凍されているとはいえ、老いていく己に不安を覚え、禁断の生体間転送を行う決心をした。生体間転送は同族でのみ可能な技術。遥か昔、ヒューマノイドが開発される前の技術です。」

 王子はギロリと右目で校長を見合見つけた。白髪の老人は後ずさりをした。


「一つの体に2つの魂。私が勝てば良いだけだ。」

 王子はゆっくりとベッドから起き上がった。

「精神の戦いは平常心を失った者の負け。やつは必ず、王子の未熟な心のすきにつけ込んできます。残念ながら今の殿下では負けます。外が少々騒がしくなってまいりました。この部屋から出ぬように。」

 校長はそう言い残すと部屋を出ていった。王子は一人ボッチの部屋で、疲れをいやすように眠り込んだ。

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