帝国の象徴
「王子はまだみつからんのか?」
帝国エルマンの城の一室で、老人がこえを荒げていた。
「は、転送履歴から二足歩行のヒューマノイドQ878タイプというのはわかっております。しかし、古い機体なのでそのほとんどが帝国圏外にあるため、操作には難航しております。」
一人の軍服姿の男が、ドアの前で直立のまま報告をした。
「なにも、いまさら王子探しなどされなくても。」
側近の一人が口を挟んだ。
「新たな帝国には、新しい象徴が必要なのだ。女神エルノに選ばれたものこそ、広大な帝国を統率するにふさわしい。わしは上皇として、帝国の繁栄を見届ける。」
女神エルノに選ばれたものには、生まれながらにその証がそなわっていた。体の一部が虹色に輝きを放つ。帝国内には二人の王子候補がいた。虹色の羽を持つ龍族の子。虹色にかがやく角を持った鹿族の子。
かれらは病によりすでに亡くなっていた。王は悲しんだ。連日、女神エルノの像に祈りをささげた。やがて、七色に光る左目を持った人族の子が発見された。
当時の帝国は新王子発見におおいに沸いた。が、それもつかの間。かれは青年になると何者かによって冷凍され、その意識はひそかに転送されたのである。
転送結果はすべてログとして記録されているためすぐに見つかるだろうと思われた。しかし、それを実行したものたちは、帝国外の古い転送装置を使うことで、それを阻止した。けれでも追跡する手段はあった。丹念にログをたどり、転送先のヒューマノイドにも現れる女神からの祝福の証を見つけることだ。古いログは転送先の星が巧妙に改ざんされおり、帝国は未だ型番の一部を入手することしか出来ていなかった。
かれらは、転送先の可能性のある星をしらみつぶしにアンドロイドに探させた。アンドロイドはかつて星を統治するために造られたロボットだ。役人や兵士など役割はさまざまだ。




