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アシュラ

「その目、お妃様にそっくりですな。」

 そういって現れたのは、アシュラだった。

「何しにきた。」

 コクウはナーシャを庇うように身構えた。

「はじめて会うのに、いきなりの戦闘モードはないだろう。」

 彼は、部屋の入り口に仁王立ちしていた。


「アシュラは4人いる。かれらは四つ子で、議会から派遣されたイチゾウからシンゾウまでの4人のお目付け役だ。」

 ジゾウが彼の後ろから説明を加えた。

「もっとも、ほかの3人は権力に負けてそれぞれに取り込まれてしまったがな。」

 目の前のアシュラは悲しそうに語った。

「お前たちが最初に会った帝国のアシュラは、フンヌだ。やつは一番気性が荒い。わたしはヒソウ。サンゾウについているのは能天気なカンキ。議会でシンゾウの側にいるのが道化のカイラク。こいつが一番何をお考えているのか読めない。権力を持ったイチゾウ兄弟をそれぞれ監視する立場なのだが、すっかり改宗させられてしまった。」

 ヒソウはがっくりと肩を落とした。

「そう嘆くな。いまはまだ、それぞれが牽制し合っている。このバランスが壊れぬ限り、こう着状態は続く。」

 ジゾウはヒソウを励ました。


「さっきのはどういう意味です?」

 コクウが身構えたまま、口を挟んだ。

「そう、怖い顔で睨むな。お妃様のことか?」

 ヒソウは腰掛ける眉を下げ泣きそうな顔で語り始めた。


 皇帝の体を持ったジゾウには許嫁がいた。彼女はその体がイチゾウに乗っ取られたことを知らずに妃となった。そして一人の女の子を授かった。人口受精に人工子宮が当たり前の時代。彼女は自らの体内でその子を昔ながらの方法で出産した。その子は母親に似て、それは透き通った紫の美しい瞳を持っていた。しかし、妃は皇帝の正体がイチゾウだと知り、王宮を抜け出しさ迷い歩いた。やがて力尽きた時、イチゾウの体を持ったジゾウに発見された。二人は帝国の力の及ばない辺境の星へと逃れた。お妃は失意のあまり失明された。すでに彼女は第二子を身ごもっていた。そしてコクウが生まれた。

「ナーシャとあなたは姉弟なのです。フンヌとの連絡が途絶え正確なことはわからないが、宮廷に残された彼女は権力闘争に巻き込まれ、王族の証であるその目を奪われ、今の王女に移植されたのでしょう。」

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