惑星テレ
長年放置された辺境の星々は、支配を強めていく新帝国エルマンに脅威を感じた。そこで、各星の独立性を保ったゆるやかな共和性の強い自由連合を結んで対抗した。惑星テレはさらに遠く辺境にあったため、その存在自体が忘れられていたこともあり、エルマン帝国と自由連合との覇権争いも知らずに、独自に進化したヒューマノイドたちがおだやかに暮らしていた。
「ここのところ雨が少なくて芋の大きさも半分だ。」
男は、麻の袋の中からわずかの芋をテーブルの上に置いた。
「とれるだけいいですよ。隣村では、いよいよ人がいなくなったそうです。ここもいつ砂漠に飲み込まれるか。」
男の妻が、奥のキッチンで料理をしながら答えた。
その時、表でノックをする音が聞こえた。
「あいてるから、入ってきな。」
男は、入り口に向かって大声で叫んだ。この辺りで尋ねてくるのは近所の知り合いぐらいだった。
「ドルードはきさまか?」
数名の銃を持った機械仕掛けのアンドロイド兵士が入ってきた。はじめて見る。連中だ。
「俺に何のようだ?」
男は、なめられないようにすごんで見せた。
「アレクはお前の息子だな?今どこにいる。」
「どこって、町の学校だよ。ここじゃ、食べ物も十分じゃないからな。寄宿舎にいるほうがよっぽどうまいものが食えるってもんだ。」
「そうか邪魔したな。」
男は立ち去ろうとする兵士に後ろから
「あいつに何の用だ。親として聞く権利ぐらいはあるだろう?」
そう叫んだ。一番後ろにいた兵士が振り返ると
「本当の親ならな。」
と、言い放って出て行った。
「帝国の手のもの者だな。」
そういって、奥から小さな老人が現れた。
「忘れられたこの星なら、安全だと思ったんですが。」
男はしずんだ面持ちで、テーブルの上の芋を眺めていた。




