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潜入

 惑星ヘムの衛星軌道で待っていると、突如、大型の戦艦が傍らをかすめていった。

「怪しい、小型艇を拿捕しました。」

 コクウたちの船は、戦艦に固定された。


「わしらは、しがない香木売りです。これ、タバコウ。」

 といって、ジゾウは束になった香木を見せた。二人は、フードを深く被り、腰には細いチューブを何本も巻いていた。

「これはこれは、上質な束香だ。最近はいらいらすることが多くてな。沈香の束をくれ。」

 沈香は気持ちを落ち着ける香りの香木だ。それを香炉の中にいれ、短く切ったチューブを差して吸う。吸引法は慣れるまではむせるが、効果は抜群だ。


「王女への手土産に困っていたところだ。ちょうどいい、一緒にまいれ。」

「しかし、このような下賤の者を連れて行っては。」

「かまわん。何かを企ておろうと何もできまい。」

 艦長は部下の忠告を一蹴した。


「ようやく着いたか。千手切りのアシュラ、お主が最後じゃ。」

「ちと、船の具合が悪くて。代わりといっては何ですが、面白い物を拾って参りました。」

 艦長は、コクウたちを呼びよせた。

「ほう、香木売りの親子とな。私の趣味ではないが、現場の連中には好評でな。ここでは、金以上の価値で取り引きされている。税を納めるなら商売させてやろう。」

 王女の指示で、二人は採掘場へと連れて行かれた。


 採掘場で働く連中相手に、束香を売っていると影から一人のすすけた女性が手招きをしている。

「コクウさんですね。」

 コクウには彼女が自分を助けてくれたナーシャであることはすぐにわかった。姿形にとらわれない盲目の彼女にとっては、その所作で彼であることは容易に判断できた。

 しばらくぶりの再会であったが、二人には余韻に浸ってる時間は無かった。

「最下層にドルードさんはいます。案内役と交代しましたのでついてきてください。」

 目が見えなくても、迷うことなく坑内を進んでいく。ここの内部のことは熟知しているようだ。ジゾウは上の階に残り、王女たちの動きに気を配っていた。

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