芸人の星ナンボカ
「ようこそ、おいでやす。だんな、これから一番人気のタカシ・クロシの漫才が始まるよ。」
「病み上がり欠死体は出ないのかい。」
「ここだけの話。枕営業がばれて妊娠中。一度は強姦という発表があったんだけどね。売れっ子だったが貧しかったんだろうね。会社が派遣だと高くなるからって、口利きってことで安く下請けさせてピンはねしてたらしい。産婆が面倒をみるって噂もあるけどね。」
小さな小屋があちらこちらに建っている。
「ここは、芸人の星、ナンボカ。一大保守勢力のヨシポンのお家騒動でごたついているからな。敵も追ってはこれまい。」
コショウとコクウはある小屋に入った。
「タロウ一座へようこそ。」
入り口で木戸銭をはらうと、中へと通された。中には見たこともないような生物がうようよいた。どうやら、見世物小屋のようだ。
「本日はセイカイ3タロウの日。コワモテASO、オコボレYAMADA、キワモノYAMAMOTOの中から正解にふさわしいと思うものを選んで応募いただくと当選者にはすてきな景品があたります。」
「騙されるなよ。応募者が当選するんじゃない。選ばれたものが当選者なんだ。かれらには、正当な女性と金が手に入る。だから、必死さ。」
二人は二階に通された。部屋には二人のしわだらけの宇宙人がいた。
「シュウ議員にサン議員殿。おふたりともお元気でなによりです。」
コショウが丁寧に挨拶をした。
「サンゾウの金玉の袋がなんのようだ。」
「サンちゃん、それを言うなら金魚の糞だろう。」
「わかってまんがな。シュウちゃん真面目すぎ。」
「以前お話をしたミロク観光の件でお伺いしました。」
コショウの説明に
「なんや。それ、はよ言うて。演芸は生が一番。芸人と客の一体感、これが真髄やろ。」
サン議員はなまず髭をゆらせて言葉をたたみかけた。
「はい。ですので、観光のメインとして若社長と下見に参りました。」
「まあ、ゆっくり見ていくといい。提案のあった体験型アトラクションね。いくつか検討しているけど、一朝一夕で芸事が身につくわけじゃないから、なかなか難しいよ。素人いじらせたらサンちゃんの左に出るものはいないけどな。」
丸坊主で丸顔のシュウ議員が頭をなでながら答えた。当然、サンも黙ってはいない。
「それ、一番下手ってことやないかい。つるっぱげ師匠いいかげんにしいや。」
「誰がつるっぱげじゃ。わしはシュッとしているからシュウなんや。」
顔を真っ赤にして怒るシュウにサンも言い返した。
「シュッシュいうて頭から湯気噴いて、おのれはヤカンか。」
この星では、誰でもが根っからの芸人だった。




