逃亡
「すぐに逃げてください。捕まれば奴隷として鉱山で働かされます。」
先ほどの盲目の少女が部屋に飛び込んできて休止中のコクウの体を起こした。
「あなた方は、コショウ様の客人なので、身分を示すものがありません。王女ヒレニ様が、お二人を捕らえて鉱山用のヒューマノイドに移植するおつもりです。」
突拍子もない話だったが、彼女が嘘をつく理由も無い。二人は、となりのドルードの部屋に行った。そこには無残にも解体されたヒューマノイドが一体転がっていた。
「ドルード様は、残念ながらコアを持っていかれてしまったようです。コアを別のヒュ-マノイドに移植されてはもはや見分けもつかないでしょう。」
コクウから状況を聞いた少女は、残念そうに言った。
「彼は、仲間だ。放っては置けない。」
「待ってください。私が、探しておきます。ですから、ひとまずはコショウ様とお逃げください。」
「必ず、迎えに来る。それまで、生きていてくれ。」
少女の言葉に、コクウは急いで部屋を飛び出そうとした。が、急に振り返り、
「名前は?」
と尋ねた。
「ナーシャ。」
少女はそう告げると、長い黒髪をなびかせて通路を反対側へと去っていった。
コクウはコショウの部屋に飛び込むと、
「お前が俺たちを売ったのか?」
と激しい口調で尋ねた。
「何のことだ?明日早くには出発するぞ。ゆっくり休め。」
本当に彼も何も知らないようだった。
二人は、逃げるための作戦を練った。
「ワシを人質にして転送部屋まで行け。わしが一緒なら、一般の兵隊どもは手出しができん。」
コショウはコクウと共に周囲を警戒しながら静かに部屋を出た。




