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忌子(いみこ)と卑身子(ひみこ)

「では、皆様。出発は明日ということで、ひとまずは個室でお休みください。」

 食後の団欒も済み、各自は部屋に分かれた。種族によって、落ち着ける空間というものが異なる。宇宙時代、種族別に部屋を分けるのは至極当然であった。


「お邪魔いたします・」

 コクウの部屋に一人の少女が来た。シゾウやコクウ、王女と同じ、人型の少女だった。

「必要なものがありましたら、ご命令ください。」

 盲目の少女はドアの前に立っていた。


「よかったら、中で休んでいきなさい。」

 コクウは親切のつもりでいったが、少女は震えていた。

「めっそうもございません。あとで、王女様にしかられます。」

 コクウは、頭をかきながら

「それは、すまなかった。母を思い出したものですから。わたしの母も盲目で、身分が低く、卑身子とよばれていました。よければ、話し相手になってください。」

 少女は壁伝いに恐る恐る部屋の中に入ってきた。

「適当に時間を過ごして、部屋を出て行くといい。必要なものがあれば私の代わりに自由に使っていい。」


 少女は長い前髪で開くことの無い目を隠すようにしていた。

「この星の生まれかい?」

「いいえ、王女のお世話係として連れてこられました。」

 少女は、か細い声で答える。

「その目は生まれつき?」

「いえ、小さいころは見えていたようですが、事故か病気か幼いころの眼球摘出手術で一命は取り留めた

 ものの代わりに視力を失ったと王女様より聞いております。盲目の忌子として捨てられていたところを王妃様に救われたのです。」

 少女は幼いころ見た風景のわずかな記憶を楽しそうに語った。そして、コクウが話す他の星の風景に聞き入った。


「就寝の時間です。」

 館内に放送が流れる。ヒューマノイドはその言葉をコクウの星の言語に直して伝える。

「こんなに楽しかったのは始めてです。明日の朝、また参ります。」

 少女はそういい残して部屋を後にした。


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