鉱山の星ヘム
ドルードとコクウの意識が転送された先は、粉塵の舞う黒い砂の星だった。
「お待ちしておりました。」
杖を突いた茶色のしわだらけの小柄な老人のヒューマノイドが二人を出迎えた。
「初めまして。」
コクウのヒューマノイドは老人に挨拶をした。
「わしは、コショウ。星によって使うヒューマノイドは見た目が異なります。まずは、サポートシステムで相手の登録情報を確認してください。右耳の辺りをを軽くトントンと叩くと情報が表示されます。ここでは年寄りほど信頼されますでな。身分に応じて杖の種類が異なります。わしの紫色は外交特権の印。そのお客のあなたたちも同じ資格になります。この上は、貴族の黒があります。黒の杖を持った一行がいたら、道を避けてください。上級の者に逆らえば、即逮捕です。怖がらなくてもいいですよ。階級ごとに誇りというものがあるので、むやみに理不尽なことをされることはありませんから。」
コショウについてエレベータに乗ると、地中深く潜っていった。
エレベータが開くと目の前に大きな口を開けた、どすぐろい生物がいた。
「ジャー。」
という低くこすれる音とともに口が眼前に迫ってくる。コクウとドルードは壁に張り付くように避けた。もう下ることはできない。
「これ、さがりなさい。」
彼の後ろから甲高い声がした。ヒューマノイドの機能によって相手言語や表情は利用者の文化に応じた形式に自動変換される。
「サー・コショウ、視察ご苦労。これから新しい労働者たちがやってくるのでな。こいつも興奮しているのだ。」
黒い杖をついた若い女性がしゃべった。
「これは、これは王女ヒレニ様。いつにもましてご健勝で。」
コクウは深く一礼をした。コクウとドルードもあわてて真似る。
「この星もいつまでも資源に頼っていくのも限界がある。観光で外貨が稼げるとなれば安泰だ。せっかくだ、私が案内しましょう。」
王女はそういうと、構内を走る列車に乗った。
「鉱物を回収する列車です。これなら鉱山の隅々まで見て回れます。」




