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サンゾウとシンゾウ

 うつけと称されたシンゾウであったが、彼にも目指す政治はあった。それは他に類をみない長期に安定した政治である。宇宙には似たような資源の星が多い。そのため、自由貿易では互いに利益を削り、消耗していく。そこで、彼は各産業の代表となる大名を任命し、かれを通じてその業種を掌握しようと目論んでいた。


「鉱業や林業などの資源についてはギルド化が進んでおります。しかし、食料の生産については共通化が困難でいまだ星ごとに分裂しております。」

 報告を受けたシンゾウは激怒した。

「何をもたもたやっておる。よいか、食料・飲料・エネルギー。この3つを牛耳ることが大切なのだ。協力しないやつらには援助を打ち切れ。小さくまとまっていては、外から巨大な勢力がくれば太刀打ちできない。そのためには盾となる超巨大な1社が必要なのだ。戦国乱世の時代は終わりだ。これからは安定した大名政治の時代。政治が安定すれば、生活も安定する。しかし生活が安定しても政治は安定しない。」

「本当にそうなのか?」

「サンゾウ兄さん!」

 ドアの前に立つ坊主頭の男にシンゾウは駆け寄った。

「お前は、民衆の生活を安定させるつもりはあるのか?」

 サンゾウはドアに寄りかかったまま同じ質問をした。

「可能性ですよ。あくまで可能性。ですが、アンテイは目指しますよ。安くて低い、安低ですがね。」


 シンゾウは皇帝と王子の両方の間でうまく立ち回ろうとしていた。どちらが勝つかはわからない。ならば、双方とつきあっていくことが己の保身のために必要だ。

「王子側の勢力を排除しないでいるだけでも感謝してくださいよ。」

 シンゾウの言葉にサンゾウは鼻で笑いながらも

「ああ。」

 と短く返した。

「ジゾウのやつが動き出したというのは本当か?」

 部屋に入るとサンゾウは声を潜めて尋ねた。

「ああ、やつの体を乗っ取ったイチゾウが言うのだから間違いない。なのでサンゾウ兄さんに来てもらった。やつはまだ兄さんを政界から逃げ出して中立でいると思い込んでいるはず。やつの動きを見張って欲しい。」

「わかった。手ごろな小姓が居る。やつを間者にして見張らせよう。」

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