兄弟
「皇帝。議長がお見えです。」
重たいドアが開かれ、一人の老紳士が広く荘厳な雰囲気の漂う部屋に入ってきた。部屋の主はテーブルの前で食後のティーを味わっている。
「議長選はどうなっている。」
主は目を閉じたまま、ゆっくりと口を開いた。
「順調に進んでおります。すでに多額の支援金によってかなりの議員が皇帝派になっております。状況も過半数を超える勢いです。じきわれら兄弟が宇宙の覇者となる日がまいりましょう。」
「油断するでない。足元をいつすくわれるやもしれん。シンゾウよ。ジゾウのやつが動きだした。やつから目を離すな。」
議長は一礼すると、部屋を去った。
「おそれながら、シンゾウ様の監視はいかがいたしましょう。」
部屋の隅から声が聞こえた。
「しょせん、末っ子のうつけ者よ。大事無い。それより、王子に加担する議員どもを始末することが重要だ。もっとも用がなくなれば、やつも始末するだけのこと。」
皇帝は低い声をしぼりだすようにうめいた。
「サンゾウ様はエナイを信仰する神官どもを束ねて王子軍に加わった模様にございます。」
シンゾウは移動しながら密偵の報告を受けた。
「これで、兄弟3つ巴か。あんな連中に負けるわけにかいかないが、しばらくはタカミのミモノといくか。」
議会では議長の姿が消えた。議長の命が危ないという噂が広まり、ステルス行動に出たようである。




